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ウーバーだって、マナーの悪い乗客はお断り!

ニューズウィーク日本版 2018年10月3日 16時0分

<ドライバーの声に配慮し、配車大手ウーバーがオーストラリアとニュージーランドで低評価ユーザーのアカウントを一定期間停止に>

運転手に暴言を吐いたり、交通ルール違反の走行を強要したり。今も昔も、そういう悪質な乗客はタクシー運転手にとって悩みの種。だから米配車サービス大手のウーバー・テクノロジーズは、たちの悪い乗客の排除に乗り出した。

ウーバーは以前から乗客/運転手の態度を評価するシステムを導入しているが、今後は態度の悪い乗客を積極的に排除する方向に進むらしい。同社のオーストラリア&ニュージーランド統括本部はサービス・ガイドラインを9月19日から変更すると発表し、5段階評価で4点に満たないユーザーは締め出す方針を示した。

そうしたユーザーにはメールで注意を促し、「短期マナー講習」を受けるなどして点数の向上を勧告する。効果がなければ警告メッセージを2、3回送り、それでも駄目なら利用アプリのアカウントを半年間限定で停止するという。

「講習を受けるなどして基準を満たせばアカウントは復活できる」と新ガイドラインは定めている。ただし、また点数が下がれば利用できなくなる。

5段階評価で4点が最低ラインというのは厳しいようだが、同地区担当ゼネラルマネジャーのスーザン・アンダーソンによれば、オーストラリアではユーザーの90%が4.5点以上を獲得。地区内の約280万人のうち、影響を受けるのはせいぜい「数千人」程度だという。

「乗客とドライバーが互いに敬意を払う環境をつくりたい」。アンダーソンはそう語る。「試験的に警告メッセージを送ってみたが、人は注意されれば行動を改めるものだ」

最低限の挨拶はして

車両を傷付ける、車内で嘔吐する、ドライバーの体に触れるといった行為もアカウント停止につながる。銃器の持ち込みはドライバーも乗客にも禁止。「性的行為」も禁止だ。ガイドラインには「ドライバーや同乗者との性的行為は容認されません。ドライバーへの暴力行為も許されません」とある。

ウーバーはドライバーの声を聞いた結果、乗客にマナーを改めてもらうには規定の変更が必要だと考えた。ブラジルでは既に、点数の低い乗客のアカウントが停止されている。



では「よい乗客」に求められることとは何か。アンダーソンによれば「例えばよくあるトラブルは、迎えに来いと指定した場所が駐停車禁止だった場合。こういう時はドライバーに大きなストレスがかかる」。

アプリの地図で乗車ポイントを指定する前に、そこが安全に車を止められる場所かどうかを確認するのが「よい乗客」。バス専用レーン内を指定するなどは論外だ。

「会話も大事」だとアンダーソンは言う。「車内でせっせとスマホをチェックするのもいいけれど、せめて『こんにちは』と『ありがとう』だけは言って。それでずっと印象がよくなる」

そのとおりですが、ウーバーさん、悪質ドライバーの排除も忘れずにね。

<本誌2018年10月02日号掲載>



[2018.10. 2号掲載]
アン・ルー

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