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サウナで心臓病リスクを吹き飛ばせ

ニューズウィーク日本版 2019年1月8日 15時15分

<サウナ好きは心臓病や脳卒中での死亡率が低い――幅広い層への調査で本場フィンランドから「お墨付き」が>

熱いサウナには心臓病で死亡するリスクを低下させる効果が期待できる――。「サウナの本場」フィンランドでの研究結果が11月29日付で医学誌BMCメディシンに発表された。

それによれば、サウナに週4~7回入る人は週1回の人より致命的な心臓疾患になるリスクが低いという。1週間に合計45分以上サウナを利用する人も、15分未満の人に比べてリスクが低かった(フィンランド式サウナはほとんどが熱風式で湿度10~20%、室温は頭の高さで80~100度、足元が30度)。

サウナには血圧の安定、脳卒中や脳・肺疾患の予防など多くの健康効果があるらしいとの研究結果はこれまでにもあったが、調査対象は男性が大部分だった。

そこで今回、東フィンランド大学やユバスキュラ大学などの研究者らは女性や高齢者にも注目。1998~2015年に実施されたサウナ利用と心臓病の関係に関する研究で収集されたデータを調べた。

調査対象はフィンランド中部クオピオ市内と周辺に住む53~74歳の男女1688人(51.4%が女性、平均年齢63歳)。研究チームがサウナの利用頻度のほか、病院や医療センターの記録、死亡証明書などを分析し、心臓血管系の病気が原因で死亡したケースを調べたところ、他のリスク要因を考慮に入れても、サウナの利用が心臓の健康維持に効果的であることが明らかになった。

これまでも指摘されていたサウナの健康効果を裏付ける結果だと、心臓専門医でアメリカ心臓病協会の広報を担当するジーナ・ランドバーグは言う。

一方、論文の共著者であるユバスキュラ大学の心臓専門医ヤリ・ラウッカネン教授によれば、今回の研究は女性や高齢者を対象に含めた点が意義深いという。「サウナは心臓血管系の健康状態改善やリラックス効果など、健康全般を向上させる新たなツールになり得る」。ただし、低血圧をはじめ心臓に異常がある場合は注意が必要だという。

あくまでもサポート的に

ランドバーグによれば、今回の研究ではサウナの利用頻度が自己申告に基づいているため、より正確な結果は無作為に選んだ対象グループとの比較調査を待たなければならないだろうという。「サウナを利用できる人はより教育水準が高く高収入で、食習慣が健康的かつ余暇も多い傾向がある。普段からサウナを利用する人の他の健康習慣や社会経済学的データに目を向けることも重要だろう」



心臓の健康維持全般については、ランドバーグは次のように指摘する。「軽視されがちだが、ストレスを減らすことに加えて、運動する習慣や野菜・果物中心のヘルシーな食事といった健康的な習慣も大切。どれもサウナより安上がりで手っ取り早い」。つまり心臓にいい習慣を続けることがカギというわけだ。

いくらサウナが健康にいいといっても、サウナに入るだけで日頃の不摂生のツケを帳消しにできるとは思わないこと。健康的な生活習慣を心掛けた上でサポート的に利用するのがコツのようだ。

<本誌2018年01月01&08日号掲載>



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カシュミラ・ガンダー

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