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最高の天体ショーを世界最高の「特等席」で楽しもう

ニューズウィーク日本版 2019年5月4日 13時15分

<日食、流星群、オーロラ――エキサイティングな天体イベントを最高の観測地で優雅に鑑賞>

今年はエキサイティングな天体ショーがめじろ押し。全部が自宅でくつろぎながら楽しめるわけではない。特別な宇宙の神秘を自分の目で見るために、特別な場所に出掛けてみよう(日付は現地時間)。

みずがめ座η(エータ)流星群(5月5~7日)

明るさは今年1番とはいかないが、それでも流星たちの素敵なショーが見られそう。最高の観測スポットは、南の地平線か水平線がよく見える赤道付近や南半球だ。

天体観測に適した暗い夜空と広い地平線(水平線)がお望みなら、ガラパゴス諸島を巡るクエーサー・エクスペディションズの豪華クルーズがおすすめ。グレース・ケリーが新婚旅行で使ったヨットに滞在しながら、ガラパゴスの野生動物を観察してチャールズ・ダーウィンの足跡をたどることができる。夜明け前には船のデッキや島の上から、流星のシャワーを満喫できる。

皆既日食(7月2日)

月が4分間にわたり太陽を完全に覆い隠す。皆既日食は年に何度もあるが、それぞれごく狭い地域でしか観察できない。そのため地域単位で考えると、皆既日食を見られる機会はごく少ない。今回の日食の場合、観察できるのは南米のみ。太陽が完全に隠れて見えるのはチリとアルゼンチンの一部だけだ。

[1]ラセレナ(チリ) EAQ/iStock.

チリのラセレナ(写真[1])は、皆既日食が満喫できる数少ない場所の1つ。日食は2時間強続くが、太陽が完全に隠れるのは午前4時38分からの2分だけ。ラセレナに行くなら、海岸沿いのフンボルトペンギン国立保護区にも足を延ばそう。

飛行機に短時間乗れば、チリのアタカマ砂漠で火星を思わせる絶景も味わえる。ここは理想的な天体観測スポットでもある。

部分月食(7月16日) 

ヨーロッパ、アフリカ、中央アジアの一部で観測できるが、条件がよさそうなのは東欧とアフリカ。観測場所の選択肢はたくさんあるが、南半球の一部は少し肌寒いかもしれない。

クルーガー国立公園(南アフリカ) Jaysi/iStock.

重ね着が気にならない人には、南アフリカのクルーガー国立公園(写真[2])がおすすめ。夜の空は暗く、昼は刺激的なサファリが楽しめる。旅の締めくくりにケープタウンまで足を延ばし、南ア産のワインを味わうのもいい。

ペルセウス座流星群(8月12~13日) 

最も人気のある流星群の1つで、1時間に200以上の流れ星が出現する(今年は満月で空が明るいため、残念ながら一部の流星は見えない)。

流星が見え始めるのは午後10時頃から。北半球は暖かい季節なので、薄手の毛布にくるまりながら夜空を見上げるロマンチックな体験が期待できそう。

北半球なら観測可能。例えばアメリカでは、魅力的な観測スポットはカリフォルニア州、アイダホ州、ペンシルベニア州にもあるが、暗い夜空が一番期待できそうなのは9つの「星空保護区」を持つユタ州。アンテロープアイランド州立公園では、ほかにもさまざまなアクティビティーを満喫できる。この自然公園はグレートソルト湖に浮かぶ島にあり、ボート、ハイキング、さらにはゴルフも楽しめる。



水星の太陽面通過(11月11日)

水星が地球と太陽の間に入り込み、太陽の表面を通過していくように見える。100年に13回しか起きない現象なので、ぜひ見ておきたい。

5時間半にわたって続くから、観測スポットを探す時間はたっぷりある。昼間に起きるので、暗い夜空は必要なし。選択肢はたくさんあり、アジアとオーストラリア以外ならどこでも条件がいい。

寒さが苦手な人には、モロッコをおすすめしたい。砂漠のトレッキングやガイド付きラクダ・ツアーに参加すれば、自然に恵まれた静かな場所で水星の移動を楽しめる。マラケシュやカサブランカに滞在して、モロッコ独特の宿泊施設「リヤド」の屋根の上から天体ショーを楽しむこともできる。

ふたご座流星群(12月13日)

1時間当たり100以上の流星が出現する。ただし、月が満月に近いので、月明かりが流星ショーの邪魔になりそう。空が暗ければ暗いほど、見える流星の数は増える。最高の観測スポットは少々寒いので、重ね着の準備を忘れずに。

写真[3]ジローナ(スペイン) Eloi_Omella/iStock.

スペインのバルセロナから車で数時間のアルバニャは、天体観測ツアーで有名な場所。南へ1時間のところには、ジローナ(写真[3])の旧市街がある。海岸沿いの道を走れば、地中海に突き出た12世紀の要塞都市を起源とするトッサデマールの旧市街に出る。

金環日食(12月26日)

皆既日食では太陽が完全に隠れるが、金環日食は明るい光の輪が残る。アジアとオーストラリアの大半で観測可能で、午前10時前後から約6時間続く。昼間に起きるので、観測スポットの選択肢は多数ある。

写真[4]シンガポール Werasaksaeku/iStock.

なかでも最高の場所の1つは、食と豪華ホテルが魅力のシンガポール(写真[4])。マリーナ・ベイ・サンズの屋上なら、巨大プールでリラックスしながら日食をたっぷりと楽しめる。

少し珍しい体験がお好みなら、インドネシア・リアウ諸島への小旅行もいい。ビンタン島はシンガポールからフェリーで50分だ。象ウオッチングに出掛けたり、ビーチに寝そべったりしながら日食も楽しめる。

オーロラ(9~3月)

太陽から放射される荷電粒子が大気中の酸素原子や窒素原子と衝突して起きる発光現象。夜が長い冬の間、毎年現れる。オーロラと言えばフィンランドのラップランドが有名だが、それ以外の場所でも見ることができる。

例えばアメリカなら、北極圏から250キロほどのアラスカ州フェアバンクス。ここを拠点に冬のデナリ州立公園まで足を延ばそう。日中はオーロラを待ちながら、犬ぞり体験や冬の列車ツアーが楽しめる。ただし、オーロラは毎晩出現するわけではないので、滞在期間は1~2週間ぐらいみておくこと。

<本誌2019年04月23日号掲載>



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