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才媛、モデル、サッカー選手... 世界を騒がせる注目の王室メンバーたち

ニューズウィーク日本版 2019年5月8日 17時25分

<ロイヤルベビー誕生が伝えらえた英メーガン妃など、話題に事欠かない各国の王族10人を紹介。現代社会に受け入れられるため「君主」たちはどう変容してきたか。その一端を垣間見るためにも、知っておきたい王族がいる>


※5月14日号(5月8日発売)は「日本の皇室 世界の王室」特集。民主主義国の君主として伝統を守りつつ、時代の変化にも柔軟に対応する皇室と王室の新たな役割とは何か――。世界各国の王室を図解で解説し、カネ事情や在位期間のランキングも掲載。日本の皇室からイギリス、ブータン、オランダ、デンマーク王室の最新事情まで、21世紀の君主論を特集しました。


◇ ◇ ◇

ワチラロンコン国王(66)

Vajiralongkorn

JULIAN PARKER-UK PRESS/GETTY IMAGES

タイ

国民からの人気絶大だったプミポン前国王の死去に伴い2016年に即位したが、皇太子時代からワチラロンコンの評判はすこぶる悪かった。3度の離婚を経験し、王室行事に興味を示さず、外国に滞在してばかりの遊び人とみられ、派手なパーティーの様子やタトゥー姿などが報じられてすっかり変人扱い。今年3月に実施された民政移管のための総選挙後も情勢が不透明ななか、国王が軍からの独立と自らの権力強化を狙っているとの臆測も流れている。

ビクトリア皇太子(41)

Victoria

MICHAEL CAMPANELLA/GETTY IMAGES

スウェーデン

王位継承順位1位で、即位すれば1720年以来の女王となる(上写真左)。米エール大学に学び、陸軍で訓練も受けるなど、強靭な帝王学をたたき込まれた。一方で、摂食障害の過去を公にするなど弱さもさらけ出している。当時、体力作りのため通ったジムで出会ったのが、トレーナーだったダニエル(右)。当初は交際を猛反対されたが、教養を身に付ける訓練を7年続けて認められ、2010年に結婚。2人の子供に恵まれ、今では国民の人気も絶大の夫婦だ。

メーガン妃(37)

Meghan Markle

SAMIR HUSSEIN-POOL-WIREIMAGE/GETTY IMAGES

イギリス

ヘンリー王子と昨年5月に結婚。離婚歴のあるアメリカ人女優で活動家、ヘンリーより年上で母親は黒人、と異例ずくめで、新時代の王室を形作ると期待を集めた。メディアに終始追われ、身に着けた服などが飛ぶように売れる現象は「メーガン効果」と呼ばれる。第1子妊娠中からバッシングが激化し、親族のトラブルやキャサリン妃との不仲説、エリザベス女王との確執の噂などが次々報じられるように。善くも悪くも英王室で一番の注目を集める存在だ。



ハムダン王子(36)

Hamdan bin Mohammed

GARETH CATTERMOLE/GETTY IMAGES FOR DIFF

アラブ首長国連邦(UAE)・ドバイ

誰でもSNSではリア充をアピールしたいものだが、ドバイ皇太子のハムダンはスケールが桁違いだ。端正な顔立ちで個人資産額は推定120億ドルともいわれる大富豪、英陸軍士官学校で学んだエリートで独身、となれば熱い視線を浴びるのも当然。インスタグラムのフォロワー数は780万人に上り、ワイルドな鷹狩りの場面や肉体美を披露してマリンスポーツを楽しむ姿、スカイダイビングで空から自撮りした写真などを惜しげもなく披露している。

ニコライ王子(19)

Nikolai

VICTOR VIRGILE-GAMMA-RAPHO/GETTY IMAGES

デンマーク

長身に端正な顔立ち、モデル級のルックスの王子は、昨年2月に本物のランウェイでプロのモデルとしてデビューした。女王マルグレーテ2世の次男ヨアキム王子と、香港出身のアレクサンドラ元妃(2005年に離婚)の間に誕生し、アジア系の血も引いている。王位継承順位は7位と低く、18歳の成人後に公費が割り当てられないため、モデル業は生計を立てる手段でもある。おとぎ話の世界から飛び出した王子さながらだが、現実はシビアだ。

ムハンマド・ビン・サルマン皇太子(33)

Mohammad bin Salman

REUTERS

サウジアラビア

近代化を進める改革者か、権力維持を最優先する独裁者か――。実父サルマン国王の右腕として、国家運営を一手に担う。石油依存からの脱却を唱え、女性の自動車運転を解禁するなど改革を推し進める一方で、政敵や活動家を拘束し、イエメン内戦に介入する強権ぶりを見せつけてきた。極め付きが2018年10月にトルコで起こったジャーナリストのジャマル・カショギ殺害事件。ムハンマドが殺害を命じた疑惑が高まり、国際社会から強い非難を浴びた。

ラニア王妃(48)

Rania al-Abdullah

ROYAL HASHEMITE COURT/GETTY IMAGES

ヨルダン

女性王族が姿を見せない中東において表舞台で活躍し、社交界の花、中東一の才媛とうたわれる。クウェートでパレスチナ人医師の娘として生まれ、イラクのクウェート侵攻後にヨルダンに移住。シティバンクに勤務するごく普通のキャリア女性だったが、アブドラ皇太子(当時)に見初められ、1993年に結婚した。社会的弱者の地位向上に取り組み、ユニセフ(国連児童基金)大使も務めるラニアは、ビジネスの才能と人脈、社交性を最大限に発揮している。



ファイク・ボルキア(20)

Faiq Bolkiah

DARREN WALSH-CHELSEA FC/GETTY IMAGES

ブルネイ

世界で最もリッチなサッカー選手はクリスティアーノ・ロナウドでもリオネル・メッシでもない。英プレミアリーグのレスターシティーに所属するファイクだ。彼の伯父は、世界有数の大富豪であるブルネイ国王。異例の王族サッカー選手となったファイクはアメリカ生まれで、英プレミアリーグのクラブの下部組織で実力を磨き2016年にレスターと契約。U-23ブルネイ代表でもある彼がサッカーの実力でも稼げる選手に成長するかは、未知数だ。

ハラルド5世国王(82)

Harald V

JORGEN GOMNAES, THE ROYAL COURT/GETTY IMAGES

ノルウェー

威厳あふれるたたずまいの中に、理想と情熱を秘める国王。民間人であるソニアとの交際が物議を醸したが、彼女と結婚できなければ一生独身で王位も継承しないと宣言し、意志を貫いて1968年に結婚した。2016年、ヨーロッパが難民危機に襲われ、移民に寛容なノルウェーでも排外主義が高まるなか、ガーデンパーティーの席で多様性や同性愛者の権利を訴えた熱い演説が話題に。その動画がネット上で異例の拡散、大ヒットし、国民の感動を呼んだ。

ムスワティ3世国王(51)

Mswati III

IHSAAN HAFFEJEE-ANADOLU AGENCY/GETTY IMAGES

エスワティニ(旧スワジランド)

14歳で王位継承者に選ばれた際には実母が摂政を務め、18歳の成人に達した1986年に正式に即位した。既に15人の妻を持つムスワティだが、毎年一度、国中から数万人の少女たちを集め、国王の前で上半身裸で「処女ダンス」を踊らせ、その中から新たなお相手を選ぶのが恒例行事に。絶対君主制でムスワティが強大な権力を握るこの国は、成人のHIV感染率が世界一高く、平均寿命が49歳、失業率は25%と、問題だらけだ。

<2019年5月14日号掲載>

※この記事は本誌「日本の皇室 世界の王室」特集より。詳しくは本誌をご覧ください。


ニューズウィーク日本版編集部

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