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21世紀に輝き続ける世界の偉大な現代建築8選

ニューズウィーク日本版 2019年7月6日 11時15分

<古来から建築物はその時代の物語を世に伝えてきた――新時代を照らし出す偉大な現代の建築家の代表作を紹介>

建築ほど、ある社会の文化を映し出すものはないといっていいだろう。ローマのコロッセオ(円形闘技場)、インドのタージ・マハル、カンボジアのアンコールワット......。古来、建築物はその時代の物語を世に伝えてきた。新ミレニアムを照らし出す偉大な建築家と代表作を紹介しよう。

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01 パシフィック・デザイン・センター(ノーマ・メリック・スクラレック)

【冒頭写真】

スクラレックはアメリカの黒人女性建築家の先駆けだ。パシフィック・デザイン・センターの「青い鯨」と呼ばれる建物はロサンゼルスの象徴ともいえる存在。建築界の巨匠セサル・ペリのパートナーとして彼女も設計に携わったと広く考えられているが、黒人で女性だったため正式に設計者に名を連ねることはなかった。唯一、正式にスクラレックの作品と認められているのは東京のアメリカ大使館だ。

02 ラ・ムライヤ・ロハ(リカルド・ボフィル)

ABBPHOTO/ISTOCKPHOTO

スペインの建築家ボフィルが設計したカルぺ(スペイン)のリゾート施設群ラ・マンサネラ内にある遊び心あふれる集合住宅。スペイン沿岸部の地中海とアラブの影響が巧みに、かつ鮮やかに融合されている。50年たった今も斬新さは色あせていない。

03 オスカー・ニーマイヤー美術館(オスカー・ニーマイヤー)

CESAR FERRARIーREUTERS

ブラジル南部クリチバの美術館は「ニーマイヤーの目」と呼ばれる展示スペースが特徴的。鋼鉄とガラスを使うのは「ブラジル・モダニズム建築の父」の典型的なスタイルだ。

04 ベルリン新ナショナル・ギャラリー(ルートビヒ・ミース・ファン・デル・ローエ)


MANFRED BRUCKELS/WIKIPEDIA

ドイツ出身の「近代建築の巨匠」が設計した美術館は完全オープンプランで柱や壁は最小限。地上と地下の2層構造で、梁は片方の端だけが固定され、もう片方は外部からの支えなしに宙に浮いているように見える。

05 ヘイダル・アリエフ・センター(ザハ・ハディド)

SAIKO3P/ISTOCKPHOTO

アゼルバイジャンの首都バクーに12年に完成。ハディドらしい流線形の女性的なフォルムが旧ソ連圏に初登場した。アゼルバイジャン文化の感性と未来への楽観が融合されている。



06 イスラム美術館(I.M.ペイ)

MATTEO COLOMBO/GETTY IMAGES

エジプトの首都カイロのイブン・トゥルーン・モスクにある13世紀の泉に着想を得た壮大な美術館は、イスラムの芸術と建築へのオマージュだ。カタールのドーハ沖の人工島に立ち、幾何学的なラインをビルなどが損なう心配はない。

07 すみだ北斎美術館(妹島和世)

MIZOULA/ISTOCKPHOTO

東京・墨田区の中心部に位置する美術館で、外壁を長方形のアルミパネルで覆った地上4階、地下1階の5階建て。プリツカー建築賞を受賞した妹島が設計を手掛けた。世界的にも有名な江戸時代後期の浮世絵師である葛飾北斎の作品約1800点が所蔵されている。

08 チバウ文化センター(レンツォ・ピアノ)

ONFOKUS/ISTOCKPHOTO

イタリアの建築家ピアノが設計したニューカレドニアのヌメアにある文化施設。「グリーン建築」のはしりで、ニューカレドニアの先住民カナックの伝統的家屋を模した10棟の建物が空気の流れを利用し自然換気を実現した。モンスーンシーズンの強風にも耐えられる。

<本誌2019年7月9日号掲載>


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ニューズウィーク日本版編集部

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