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旅のプロたちが推薦する「日常を忘れられる」夢の旅行先

ニューズウィーク日本版 2019年7月12日 14時8分

<長い休みは、普段忙しい親にとって親子でまとまった時間を一緒に過ごすチャンス。子供たちや大学生にとっても日頃の緊張から解放されるいい機会だ(もちろん社会人も)。それならいっそ日常から思い切り離れられる海外旅行はどうだろう。でも、どこへ? そんな人のために、本誌記者ポーラ・フローリックが旅のプロにおすすめの場所を聞いた>

子連れにおすすめの旅行先

■アンティグア・バーブーダ、アディロンダック(米ニューヨーク州)
推薦人:トム・マーチャント(オーダーメイド旅行会社「ブラック・トマト」創業者)

カリブ海に浮かぶ小国アンティグア・バーブーダは「魅力あふれる楽園の島。ニューヨークから飛行機で5時間ほどで、子供にとっても移動がそれほど負担にならない」と、マーチャントは言う。「素晴らしいのは無人島のジャンビーベイ。子供向けの探検プログラムがあり、カメの保護教育や料理教室、セーリング、シュノーケリング、カヤックなどが体験できる」

ビーチに興味がなければ、米ニューヨーク州アディロンダックにあるリゾート「ザ・ポイント」がおすすめ。ロックフェラー家がサラナク湖に所有していたグレート・キャンプを改装したもので、「子連れの家族旅行に完璧なアクティビティーがそろっている」。暖かくなる4月以降はカヤックやカヌー、釣り、テニスが楽しめる。「携帯電話の電波も届かないような場所で、家族でゆっくり過ごしてみては?」。ただしザ・ポイントが子供向けになるのはイースターの週末のみで、普段は大人が休暇を過ごす場所だ。


■セレンゲティ国立公園(タンザニア)
推薦人:ステーシー・リードル(サファリ手配会社「ドゥマ・エクスプローラ」創業者)

「春はタンザニアの新緑の季節。観光客はほとんどいない」と、リードルは語る。「セレンゲティ国立公園では、動物たちが草原を移動する壮大な光景を見ることができる。隣接するキャンプに3〜4泊してサファリを楽しんだ後、雄大なンゴロンゴロ盆地や、動物たちの水飲み場でもあるマニャラ湖観光を追加すれば、完璧な1週間の旅になる。何といっても、この時期のタンザニアは宿泊料金がとても安いのが魅力。最大でピークシーズンの6割引きになるから、サファリを一段と手頃な価格で楽しめる」


UGURHAN/ISTOCKPHOTO

■ロンドン(イギリス)、ハワイ島(米ハワイ州)
推薦人:メリッサ・ビッグズブラッドリー(個人旅行手配会社「インダガー」創業者・CEO)

「首都ロンドンは子供でも歴史の重みを感じられる街。ロンドン塔に登るのも楽しいし、バッキンガム宮殿で衛兵を見るのもいい」と、ビッグズブラッドリーは語る。「ナイツブリッジにあるバークレー・ホテルは交通の便もよく、屋上にプールがあるから子連れには理想的。子供向けのバスローブやアフタヌーンティーも用意してくれる」

ハワイ島もおすすめだ。「ハワイの魅力は亜熱帯の自然と旅行客を歓迎するホスピタリティーにある。ホテルでおすすめなのはフォーシーズンズ・リゾート・フアラライ。水族館やキッズクラブ(5歳以上)があり、フラダンスや貝殻細工を習うこともできる」



■ザイオン国立公園など(米ユタ州)
推薦人:パビア・ロサティ(高級旅行サイト「ファゾム」CEO)

小さな子供連れにはユタ州南部の車の旅がおすすめだと、ロサティは言う。「飛行機でラスベガスまで行ってレンタカーを借りる。最初に目指すのはザイオン国立公園だ。絶景の中でのハイキングもいいし、美しい峡谷での水遊びも楽しい。赤い奇岩の1つエンジェルズ・ランディングはトレイルが整備されているから、子供は喜んで駆け上がるだろう。でも、高所恐怖症の人には要注意の高さだ」

ザイオン国立公園にはホテルもあるから、そこで数泊しよう。さらに奇岩が森のように並ぶブライス・キャニオンや、コダクローム・ベイスン州立公園など、州道12号線沿いに国立公園が続いているから、ドライブで迷う心配はない。「この辺りは大昔は海だったらしい。自然に圧倒される旅になるのは間違いない」


■インカ帝国の遺跡(ペルー)
推薦人:マルタ・トゥッチ(「ナヤ・トラベラー」共同創業者)

「ペルーでは多様性に満ちた経験ができる」と、トゥッチは語る。「中南米でも観光インフラが最も整備されている国の1つだから、家族連れでもカップルでも、一人旅でも安心して訪れることができる。定番はインカ帝国の首都クスコから『聖なる谷』やマチュピチュ遺跡をたどるコース。アマゾンの熱帯雨林に立ち寄れば、魔法の世界に迷い込んだ気分になれる」


SIEMPREVERDE22/ISTOCKPHOTO

10代の子供におすすめの旅行先

■モロッコ
推薦人:マルタ・トゥッチ(「ナヤ・トラベラー」共同創業者)

「エキゾチックで活気に満ち、古い伝統と現代の利便性が共存しているモロッコは家族旅行にぴったり」と、トゥッチ。アトラス山脈に抱かれたトドラ渓谷、雄大なサハラ砂漠、大西洋岸のリゾートなど、この国の自然は多様な表情を見せる。砂漠でのキャンプや渓谷のトレッキング、「バラの谷」の名で知られるケラア・ムゴナ村を訪ねたり、港湾都市エッサウィラでサーフィンを楽しんだりと、冒険心をそそるアクティビティーも盛りだくさんだ。


KASTO80/ISTOCKPHOTO

■タラマンカ山脈(コスタリカ)
推薦人:トム・マーチャント(「ブラック・トマト」創業者)

「息をのむようなコスタリカの美しい自然の中で絶景アドベンチャーを経験すれば、普段は斜に構えているティーンエージャーでも感動するはず」と、マーチャントは言う。「家族連れにはラフティングがおすすめ。活火山のアレナル山見学もワクワクする」

ホテルはボートでしかたどり着けないパクアレ・ロッジがおすすめ。ケーブルを使ってジャングルの中をターザンのように移動するジップライン「スカイトレック」もスリル満点だ。「コスタリカの首都サンホセは、安全で活気があって建築が素晴らしいから、少なくとも1泊する価値はある」



■アムステルダム(オランダ)
推薦人:パビア・ロサティ(「ファゾム」CEO)

家族旅行では、10代の子供は退屈して膨れっ面になるのがお決まりの展開。でも首都アムステルダムならそんな心配はないと、ロサティは言う。おすすめはレンタサイクルで運河沿いの道を探索すること。この街は自転車利用者が多いことで知られる。「空港から都心までは電車であっという間。市内のどこに何があるかも分かりやすい」

春にはオランダ名物のチューリップが色とりどりに咲き誇る。美術館・博物館も多く、子供の教育にはもってこいだ。市立と国立の美術館やゴッホ美術館、科学実験を体験できる科学技術センター(NEMO)、『アンネの日記』が書かれたアンネ・フランクの家などを訪ねよう。


■アイスランド、ベリーズ
推薦人:メリッサ・ビッグズブラッドリー(「インダガー」創業者・CEO)

「アイスランドには地殻プレートの割れ目でのスキューバダイビングや氷穴探検(写真)、アイスランディックホースの乗馬体験など、ここでしか経験できないアクティビティーが多い」と、ビッグズブラッドリーは言う。「この世のものとは思えない風景にたくさん出合える」

一方、ベリーズはイギリス連邦の一部のため、中南米では珍しく英語が公用語の国。「有名なサンゴ礁と素晴らしいビーチ、マヤ帝国の遺跡が最大の魅力だ」と、ビッグズブラッドリーは言う。「環境保護活動など地元のボランティア活動にも参加できる」


TIZIANO VALENO/ISTOCKPHOTO

大学生におすすめの旅行先

■チャールストン(米サウスカロライナ州)
推薦人:トム・マーチャント(「ブラック・トマト」創業者)

「この街で楽しめないなんてあり得ない」と、マーチャント。「絶えず進化を続け、実に素晴らしい料理と飲み物を堪能できるのだから」。カラフルな街が一段と活気づくのは春。ダニエル島では女子テニス・トーナメント「ボルボ・カーズ・オープン」が開催され、リバーフロントでは音楽と食の祭典「ハイ・ウォーター・フェスティバル」で人々が酔いしれる。この時期は天候もほぼ完璧で、夜もセーター1枚で大丈夫。


■ポルトガル、ウルグアイ
推薦人:メリッサ・ビッグズブラッドリー(「インダガー」創業者・CEO)

ビッグズブラッドリーによると、「ポルトガルはヨーロッパきってのクールな国」だ。古い歴史と豊かな文化、活気あふれる首都に牧歌的な田園地帯と、あらゆる魅力がちょっとずつある。外せないのは川岸の丘に位置する街ポルト(写真)。パステルカラーの家々が立ち並ぶこの街には『ハリー・ポッター』の創作のヒントとなった書店もある。

一方、ウルグアイのホセ・イグナシオは洗練された南米文化が息づく海辺の街。牧場での乗馬やグルメお墨付きのレストラン巡りを楽しめる。


KISA_MARKIZA/ISTOCKPHOTO



大人たちにおすすめの旅行先

■ベネチア(イタリア)
推薦人:トム・マーチャント(「ブラック・トマト」創業者)

ベネチアを訪れるなら、観光客がそれほど多くない「春が最適だ」と、マーチャントは言う。プロならではのアドバイスとして彼が勧めるのは、ドルソドゥーロ地区に滞在すること。ここは現代アートの中心地で、有名な美術館や教会にも近い。バーカロと呼ばれる庶民派の居酒屋で、オンブラ(グラスワイン)片手にカウンターに並んだチケッティ(つまみ)を食すのもオツなものだ。


■リビエラ・マヤ(メキシコ)
推薦人:パビア・ロサティ(「ファゾム」CEO)

メキシコのリゾートに行くなら、「観光地化されたカンクンを避けて、リビエラ・マヤを目指すこと」と、ロサティは言う。「料理は最高、ビーチはゴージャス。世界で2番目に大きなサンゴ礁や多くのマヤ遺跡があり、地下の川やセノーテと呼ばれる透明な深い泉など奇観も多い」。おすすめのホテルはエセンシアとジャシタ。しゃれた設計と心のこもったおもてなしが、大人の旅にぴったりだ。とりわけ贅沢なホテル、ローズウッド・マヤコバには、お子様お断りのビーチクラブ「アキ・メ・ケド(私はここにいる)」がオープン。ビーチチェアでくつろいで、ゆったりとカクテルはいかが。


SOMATUSCANI/ISTOCKPHOTO

■オマーン
推薦人:マルタ・トゥッチ(「ナヤ・トラベラー」共同創業者)

旅好きにもさほど知られていないが、多忙な日常から逃れるにはオマーンは理想的。まずは古くから港町として栄えた首都マスカットでスーク(市場)を見て回り、『千一夜物語』の世界に浸ってほしいと、トゥッチは言う。健脚カップルには、ジャバル・アフダル(緑の山)を仰ぎ見ながら、ワジ(枯れ沢)を歩くトレッキングがお勧め。さらに足を延ばしてワヒバ砂漠で満天の星を眺めながら一夜を過ごすもよし。アラビア半島最北端の飛び地ムサンダムも穴場だ。入り組んだ海岸線には手つかずの自然が残り、透明な青い海に心も体も癒やされる。


SARAHLOIS/ISTOCKPHOTO

[2019年4月16日号掲載]


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ポーラ・フローリック

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