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深海で体長5メートルの巨大サメが至近距離に!(迫力動画)

ニューズウィーク日本版 2019年7月25日 17時58分

<深海の「生きた化石」とも「海のT・レックス」とも呼ばれる幻の巨大サメを追って深海に潜ったら、特大のが出て寄ってきた>

深海に潜む「生きた化石」、カグラザメ。調査チームがその体にタグを装着し、撮影することに成功した。

カグラザメは大きいもので体長6メートル、体重1トンにもなる世界最大級のサメだ。大半のサメの鰓裂(さいれつ。体側のスリット)を5対だが、カグラザメは6対あり、長い尾びれ、丸みを帯びた吻、大きな緑色の目、櫛状の歯といった分かりやすい特徴を持つ。


潜水艇を覗き込んだ大型(5メートル)のメス

世界中の熱帯と温帯の海域に分布し、通常は「海のトワイライトゾーン」と呼ばれる、水深約200〜1000メートルの、太陽光がほとんど届かない中深層に生息しているが、水深1500メートルの深海を泳ぐ姿も確認されている。

これまでに発見されたカグラザメの祖先の化石は1億8000万年前、恐竜の多くの種がまだ誕生していなかった頃のものだ。その当時からあまり進化しておらず、いくつかの原始的な特徴をとどめている。

「まるで水中でティラノサウスに遭遇したようだった」と、フロリダ自然史博物館が主催した調査に加わったギャビン・ネイラーは声明で述べている。「初期の人類ホモ・エレクトゥスが誕生したのは約180万年前だから、人類より100倍も長い歴史を持つことになるが、祖先の時代から大して変わっていない」

<参考記事>推定500歳!地上で最古の脊椎動物はガリレオの時代から生きてきた

ホオジロザメばかり調査されてきた

フロリダ州立大学のディーン・グラブズが率いた調査の目的の1つは、謎に包まれたカグラザメの行動を知るため、その体にタグを装着することだった。

「(カグラザメに)着目した調査はほぼゼロだった」と、グラブズは声明で述べている。「私が調べたいと言うと、他の研究者たちは『無理だよ』とあきれ顔をする。彼らが間違っていることを証明してやろうと挑戦意欲を燃やした」

「ホホジロザメのタグ付けには多額の資金が投じられてきた。カグラザメもそれと同じくらい大きい捕食者なのに、その生態はほとんど知られていない」と、グラブズは指摘している。「本当に珍しいサメなのか。それとも、本気で探す人間が少ないだけなのか」

<参考記事>シャチがホホジロザメを餌にし始めた

タグ付けで水深、水温、周囲の光の量など様々なデータが得られれば、深海ザメの興味深い生態が見えてくるはずだ。

タグは3カ月後にサメの体から自動的にはずれ、海面に浮き上がって、記録されたデータを衛星経由でチームに送信する仕掛けだ。



深海でタグを付ける世界初の試みを成功させるため、調査チームはオーシャンXが提供した潜水艇ナディールを使用。3次におよぶ調査で12回余りの潜航を試みた末、6月29日、水深約500メートルでタグの装着に成功した。

「水深500メートルではどんなミッションも達成困難だ」と、ネイラーは本誌に語った。「
それに比べ、この深さでカグラザメを見つけるのはずっと簡単だった。まずまず多く生息しているようだ」

効率的な捕食者

狙ったターゲットに命中したかどうかを確かめるため、チームはサメを撮影。体側からタグが突き出しているのを確認できた。

今のところ世界のカグラザメの生息数は不明だが、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストでは、カグラザメは「準絶滅危惧種」に指定されている。

主として死肉を食べると考えられているが、IUCNによると、ありつけさえすれば、エイやほかのサメ、イカ、カニ、ナマコ、エビなど、いろいろな獲物を食べる効率的な捕食者だという。


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潜水艇を覗き込んだ大型のメス



アリストス・ジョージャウ

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