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「奥さんの胸はもっと大きくなる」ボリス・ジョンソン英首相迷言集

ニューズウィーク日本版 2019年7月31日 11時45分

<ブレグジット強硬派の新英首相は、数々の失言や問題行動で有名だ。なぜこんな人物が愛され、支持されるのか>

7月23日に保守党党首選を制し、英首相に就任したボリス・ジョンソン。その一挙手一投足に、世界中が注目している。合意なきEU離脱となればイギリス、EUだけでなく世界経済全体に影響を及ぼしかねないが、ジョンソンはその可能性を排除していない。実際、ジョンソンならやりかねない――。

本誌は8月6日号(7月30日発売)で「ハードブレグジット:衝撃に備えよ」特集を組み、ジョンソンの人物像や「危険度」、ハードブレグジットの現実味を検証した。特集ではジャーナリストのウィリアム・アンダーヒルやコリン・ジョイス(元デイリー・テレグラフ紙東京支局長)に、ジョンソンの複雑な魅力について解説してもらった。

というのも、元ジャーナリストで元ロンドン市長として知られるジョンソンだが、何より有名なのは数々の失言や問題行動だ。「イギリスのトランプ」とも呼ばれるこの人物が愛され、支持される理由は、とりわけイギリス国外の人には理解しがたいかもしれない。

ジョンソンはジャーナリスト仲間から「人々が息をのみ、目を見開くような数々のひどい嘘をついた」と評され、世論調査では59%から「信用して中古車を買うことができない人物」と回答され、かつての上司からは「真実を大事にしていない」と致命的なこき下ろし方をされている。

その一方で、難ありの性格や行動が、なぜか受け流され、許されてしまうという不思議な力の持ち主でもある。そして博学で、才能ある作家で(ジョイスは「作家としてのジョンソンの才能を、イギリス人以外に説明するのは難しい」と書く)、選挙に抜群に強かったりもする。

ここではデリケートな話題も外国の要人相手にもお構いなし、ジョンソンのヤバさと立ち直り力の強さが見えてくる、過去の驚愕発言を紹介しよう――。

「保守党に投票すれば、あなたの奥さんの胸はもっと大きくなるし、あなたがBMW M3車を所有できるチャンスも大きくなる」

――2005年の英総選挙で保守党への投票を呼び掛けて。身も蓋もない公約。

「染めたブロンドに不機嫌そうな口元、無情な青いまなざしで、精神科病院にいるサディスティックな看護師みたいだ」

――2007年のインタビューで、米大統領選を戦っていたヒラリー・クリントンを描写して。ヒラリー大統領になっていたらどんな顔をして会うつもりだったのか。

「(女子が大学に行くのは)結婚相手を見つけるためだ」

――2013年、世界イスラム経済フォーラムで、マレーシア女性の大学進学率が増加したと発言するマレーシア首相の話に割り込んで。

【参考記事】ボリス・ジョンソン英首相はハードブレグジットにやる気満々だ



「『一部ケニア人』の大統領は、大英帝国を毛嫌いする先祖の血を引いている」

――2016年のサン紙のコラムで、バラク・オバマ米大統領について皮肉って。

「ナポレオン、ヒトラー、さまざまな者が(ローマ帝国黄金期のような欧州統一を)試みたが、悲劇に終わった。EUは同じことを違う手法で試みている」

――2016年、サンデー・テレグラフ紙のインタビューで。よりによってヒトラーとEUを並べるとは。

「(イスラム女性の全身を覆うブルカ姿は)銀行強盗に見える......郵便ポストみたいな格好を好んで選ぶなんてばかげている」

――2018年、デイリー・テレグラフ紙のコラムで。デンマークが導入したブルカ全面禁止には賛成できない、という内容を書いてはいるのだが......。


※8月6日号(7月30日発売)は、「ハードブレグジット:衝撃に備えよ」特集。ボリス・ジョンソンとは何者か。奇行と暴言と変な髪型で有名なこの英新首相は、どれだけ危険なのか。合意なきEU離脱の不確実性とリスク。日本企業には好機になるかもしれない。



ニューズウィーク日本版編集部

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