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ボルトンが警鐘「北朝鮮は核兵器のウォルマートかアマゾンになりかねない」

ニューズウィーク日本版 2019年10月1日 15時40分

<トランプに解任されたボルトンが、トランプは北朝鮮に甘過ぎると警告。怨恨か、それとも安全保障専門家としての信念か?>

北朝鮮に対する強硬路線が嫌われ、ドナルド・トランプ米大統領の安全保障担当補佐官をクビになったジョン・ボルトンがワシントンに帰ってきた。北朝鮮の核兵器のことがよほど心残りだったのだろうか。

9月30日、解任後初めて公の場で発言したボルトンは、北朝鮮は核兵器の数を着々と増やしており、外国に売る可能性もあると警告。トランプの北朝鮮政策を批判した。

「北朝鮮は日を追うごとに、ますます危険な国になりつつある」と、ワシントンのシンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)が主催する会議でボルトンは述べた。「現在の北朝鮮のやり方が気に入らないとすれば、もし北朝鮮がアメリカ各地の都市に到達できる核兵器を手にしたときはどうなると思うのか? その時が来てから行動するのか?」

ボルトンは、金正恩朝鮮労働党委員長の出方に楽観的過ぎるトランプの姿勢を批判した。アメリカ政府は今や、当初の条件だった朝鮮半島の非核化どころか、北朝鮮が保有する核兵器を削減するだけで制裁を緩和する可能性があるとボルトンは言う。

「金正恩の戦略的決断は、目標地点に到達可能な能力のある核兵器を維持し、さらにそれを開発・強化するためならどんなことでもするということだと私は考えている」とボルトンは述べた。

「軍事行動という選択肢もある」

ウォール・ストリート・ジャーナル紙は7月の報道で、トランプが金と首脳会談を繰り返す間にも、北朝鮮は既に推定で20基~60基の核兵器を保有しており、さらに1年で6基~7基ほど製造できた可能性があると示唆した。

ボルトンは、北朝鮮が他国に核兵器を売りまくる可能性も示唆した。「目標到達能力のある核兵器を頼めばいつでも配達してくれるウォルマートかアマゾンのような存在」になるかもしれないというのだ。

ボルトンによれば、アメリカが現在、北朝鮮に科している制裁は十分な効果を発揮していない。北朝鮮があまり核兵器や長距離ミサイルの実験を行っていないのは、もう実験する必要がなくなったからからだという。

北朝鮮への対抗手段として軍事行動という選択肢もあることを示唆した。

ボルトンはこう締めくくった。「われわれが関心をもつべきなのはこうした問題であって、米朝首脳会談が再び実現するかどうかではない」

(翻訳:ガリレオ)

<参考記事>ボルトン解任はトランプにしては賢明だった
<参考記事>米朝会談決裂の下手人は「壊し屋」ボルトンか


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ベンジャミン・フィアナウ

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