Infoseek 楽天

緊急入院し、生き方を見つめ直そうと考えた翌日、連載終了のメールが届いた

ニューズウィーク日本版 2023年9月12日 20時15分

<たかがジョーク、されどジョーク。連載最終回をどうぞ>

【最後のジョーク1】

人類は間違いを繰り返す。どうにも欠陥が多い。しかし、それも仕方がないことなのだ。ちゃんと理由がある。

旧約聖書によれば、神様は初め、天と地を創造され、6日目になって人をつくり、7日目に休まれたのだという。

そう、人間をつくったとき、神様はとても疲れていたのだ。

◇ ◇ ◇

4年もの長期連載となった当コラムも、今回で終了である。

実は小生、先月から悪いジョークのような日々を送っていた。

時々、感じる左胸の痛み。やむなく総合病院へ行き、さまざまな検査を受けた結果、狭心症の疑いとのこと。「心臓の血管のどこかが細くなっているのではないか」というわけである。

困ったなあと頭を抱えていると、ある日さらなる痛みに見舞われ、病院に行くとそのまま緊急入院。翌日、カテーテル(医療用の細い管)検査を受ける運びとなった。

局所麻酔した右手首からカテーテルを挿入し、そのまま動脈の中を通して心臓まで送り込み、先端から造影剤を注入して、冠動脈等の血管の流れを細かく撮影。その結果によって、ステント(網目状の筒)を血管の細くなっている部分に入れるか、それとも心臓バイパス手術か、投薬でOKか。

カテーテルが入ったままの状態で、医師から告げられた運命の一言は「投薬で行けそうです」。思わず目を瞑(つぶ)った。

病室に戻り、まだ右手首が痛むなか、病床でぼんやりと考えた。「これまでの生き方を見つめ直す良い機会。仕事との向き合い方もよく考えて、しばらくゆっくり過ごそう」と。

私たちはなぜ生きるのか

翌日、スマホに一通のメールが届いた。送り主は、私の病状のことなど知らない本誌の担当編集者。メールの内容は、当コラムの連載終了を伝えるものだった。

理由は、誌面リニューアルによる「円満終了」とのことだったが、あまりのタイミングに私は思わず笑った。なにやらお告げめいているようでもあり、ジョークっぽくもあり、なんとも不思議な感じがしたのである。「世の中とは面白いものだな」としみじみ感じた。

◇ ◇ ◇

【最後のジョーク2】

神様が思う人類への疑問。

「人間は皆、天国に行きたがるのに、誰も死にたがらない」

◇ ◇ ◇

現在は退院し、投薬治療を受けながら、ゆったりとした時間を過ごしている。家族や友人と、何げない話題で笑い合う時間が、たまらなくいとおしい。

では、当連載もいよいよ幕を下ろさなければ。

人はなぜ生きるのか。皆がそんな疑問を抱きながら、悩み多き日々を生きている。肌の色が違っても、考え方が異なっても、生き物の中でユーモアを解するのは人間だけ。論破や攻撃よりもユーモアを。批判にも「笑い」を交ぜて。

たかがジョーク、されどジョーク。人間、たくさん笑ってから死にたいものだ。

人生とは、笑うためにある。

この記事の関連ニュース