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これぞ「王室離脱」の結果...米NYで大歓迎された英ウィリアム皇太子、弟夫婦が受けた扱いとの違いは歴然

ニューズウィーク日本版 2023年9月24日 13時0分

<英ウィリアム皇太子と弟のヘンリー王子夫妻。米ニューヨークを訪問した際の最大の違いは、集まった群衆の「位置」にあった>

英王室のウィリアム皇太子が、9月18日と19日に米ニューヨーク市を訪問し、通りを埋め尽くす多くのファンたちに温かく迎えられた。この時の様子は、弟のヘンリー王子と妻のメーガン妃が今年5月に同市を訪れた際の様子と比較され、インターネット上で話題となっている。何より大きな違いは、彼らを一目見ようと集まった群衆やパパラッチたちの「位置」だ。

■【動画】ヘンリー&メーガンの時とは、群衆の「位置」が...ウィリアム皇太子のNY訪問シーン

ウェールズ公ウィリアム(ウィリアム皇太子)は市内の消防署を訪問後、集まった人々に近づき、握手や会話を交わしたり、写真撮影に応じたりした。サセックス公爵(ヘンリー王子)夫妻が今年5月、市内のジーグフェルド・ボールルーム(舞踊場)を車で出発したあとに起きた騒動とは対照的な光景だった。

集まった人の数に注目したくなる人もいるだろう。ウィリアム皇太子をひと目見ようと集まった人のほうが、どう見ても多かった。

しかし、ヘンリー王子夫妻が5月にニューヨークを訪問したときと比べて、何よりも目を引く違いは、ウィリアム皇太子が訪れた消防署が面するリバティ・ストリートが、当局によって閉鎖されたことだろう。おかげでウィリアム皇太子は、落ち着いて動き回り、柵の向こう側に集まった人たちと交流することができた。

それに対してヘンリー王子夫妻は、レンタカー会社ハーツの事務所を通り抜けて、ジーグフェルド・ボールルームに入場した。また出発時には、パパラッチに取り囲まれながら、待機していた車に急いで乗り込んでいた。

彼らの「ステータス」が生んだ扱いの違い

こうした違いは、彼らの「ステータス」によるものだろう。ウィリアム皇太子は英国王室の公務の一環として訪問しており、国を代表する立場だった。

一方で2020年3月に英国王室の公務から退いたヘンリー王子は、確かにそれ以降、ネットフリックスやスポティファイと大型契約を結ぶなど、多くを手にしてきた。しかし、両者のニューヨーク訪問で、ヘンリー王子が手放したものの大きさが浮き彫りになったかたちだ。

次期国王であるウィリアム皇太子が、ニューヨーク滞在初日の9月18日にまず訪れたのは、牡蠣の養殖場だった。続いて訪問したのが、テン・ハウス消防署だ。2001年9月11日に発生したアメリカ同時多発テロで攻撃されたワールド・トレード・センター近くに位置し、当時は5人の隊員が命を落とした。

ウィリアム皇太子が消防士らと話し合ったのは、緊急対応者のメンタルヘルスについてだった。ウィリアム皇太子は、かつてイギリス軍の捜索・救助ヘリコプターやドクターヘリのパイロットとして任務に就いていた時に、トラウマからうつ状態になって以来、祖国イギリスでメンタルヘルス問題に熱心に取り組んでいる。

消防士たちの心的外傷後ストレス障害(PTSD)や、自殺問題に関する意識向上についてウィリアム皇太子と語り合った同署のドリュー・ケイン副隊長は、『ピープル』誌に対してこう語っている。「(ウィリアム皇太子が)こうした問題についてよく理解していることは明らかだ。本人とじかに接すると、自らの実体験をもとに話しているということがよくわかる」

ウィリアム皇太子はその後、消防署前の道路に姿を現し、集まった人たちと交流した。このために、警察は消防署前のリバティ・ストリートを通行止めにしていた。

「I Love NY」と書かれたTシャツをプレゼントとして差し出されると、ウィリアム皇太子はそれを受け取って、付き人に渡していた。また、3人の子どもたち(ジョージ王子、シャーロット王女、ルイ王子)をニューヨークに連れてきたいかと問われると、「いつかぜひそうしたい」と応じた。

パパラッチに追われたヘンリー王子とメーガン妃

一方、ヘンリー王子とメーガン妃が直近でニューヨークを訪問したのは5月のことだ。「女性のためのミズ財団(Ms. Foundation for Women)」が催した「ウィメン・オブ・ビジョン賞」をメーガン妃が授賞。ジーグフェルド・ボールルームで開催された授賞式に夫妻が出席した後に、騒動が起きた。

メーガン妃は、コロンビア人デザイナー、ジョハンナ・オーティズによる黄金色のドレスに身を包んだ、あでやかな姿で登場した。しかし、レンタカー会社ハーツの事務所を通り抜けるという会場入りは華やかさに欠けていたし、会場を離れる際にはより大きな騒動が起きた。

夫妻の広報担当者は、夫妻はパパラッチに2時間以上も追いかけられ、「大惨事寸前」のカーチェイスに巻き込まれたという声明を発表した。このとき、ニューヨーク市警察は夫妻の警備について重視しておらず、夫妻を追いかけ回すパパラッチを止められなかったか、止めるつもりがなかったかのどちらかであるように見える。

その晩の様子を映した動画を見ると、夫妻が乗った車のあとを1台のパトカーが走っているが、警察の存在感は、ウィリアム皇太子が消防署の前で人々と自由に交流できるよう道路を通行止めにした今回とは大違いだった。
(翻訳:ガリレオ)


ジャック・ロイストン

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