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【独自】祝ホームラン王!「最強の戦友」マイク・トラウトに聞く、大谷翔平の素顔

ニューズウィーク日本版 2023年10月2日 13時40分

<エンゼルスで6年間、苦楽を共にしてきたマイク・トラウトが「最高のチームメイト」を語る。聞き手はエンゼルスの番記者ジェフ・フレッチャー>

■本誌2023年10月10日/17日号(10月3日発売)「2023年の大谷翔平」特集より

2017年12月、ロサンゼルス・エンゼルスは大谷翔平を獲得すべく90分のプレゼンテーションを行った。マイク・トラウト外野手もニュージャージー州の自宅からオンラインで参加、エンゼルスでプレーする喜びを大谷に語り、入団を説得した。

大谷はエンゼルスを選び、2人はチームメイトとなった。大谷がメジャーリーグに入って6年がたち、エンゼルスでずっと共にプレーしている選手は今ではトラウト1人だ。

【動画】同僚トラウトから三振を奪い試合終了! 何度でも見たいWBC優勝決定の瞬間

スーパースターであるのがどんなことかを理解しているのも、この2人の共通点。現役最高打者の呼び声も高いトラウトはシーズン最優秀選手(MVP)に3度輝き、大谷も11月に2度目のMVP受賞が有力視されている。

今季の驚異的なパフォーマンスに至るまでの6年間、大谷を間近で見てきたトラウトに、地元紙でエンゼルスの番記者を務めるジェフ・フレッチャーが聞いた。

◇ ◇ ◇

――今季の大谷のパフォーマンスをどう思う?

数字が全てを物語っている。ショーヘイは今季MVPの大本命だし、受賞するべきだ。ファンは彼のプレーを楽しみに見ているし、チームメイトもそれは同じ。僕は日々、彼のプレーに脱帽している。

――チームメイトになって6年。大谷のプレーはどう変わったのか。

いろいろ調整したんだと思う。6月の活躍は圧巻だった。テキサス・レンジャーズとの4連戦では4本のホームランを放ち、投手としても1勝を挙げた。連戦であれだけの結果を出す打者を、僕はほとんど見たことがない。

――この3年の快進撃を予想した?

ショーヘイは野球選手としてあらゆる才能に恵まれている。そうした才能を、ようやくまとまった形で発揮できるようになったんだ。ほかの選手の癖を見極めたりして、勉強している。野球というゲームを真剣に学ぶ彼は、そばで見ていて楽しい。

――18年に初めてメジャーでプレーした時点で、大谷が二刀流の選手としてここまで成長すると考えた?

ショーヘイは鳴り物入りでメジャー入りし、僕らも試合のハイライト動画を見ていた。だがあの頃の彼は、自分のプレーをまとめきれていなかった。才能にはとても恵まれていたが、若かった。それが今やっと、本領を発揮している。

3月のWBC決勝で大谷はトラウトを倒し日本の優勝を決めた 日刊スポーツ/AFLO

――新人時代から人柄は変わった?

ちっとも。彼は6年前も今も、毎日勝つために球場にやって来る最高のチームメイトだ。

――大谷は野球一筋で、ほかのことが一切頭にないように見える。

見てのとおり、彼は野球中心の生活だ。でもあなた方に見えていないだけで、面白い奴だよ。

――素顔を教えてほしい。

クラブハウスではよくふざけている。移動中の飛行機では漫画を読んでいるね。『クラッシュ・ロワイヤル』みたいなゲームも好きだ。相手を萎縮させない性格だから、気軽に話しかけられる。トレーニングなど野球のために大変な努力を重ねながらも、ショーヘイはチームメイトとの付き合いを楽しんでいる。

――8月23日のシンシナティ・レッズ戦で大谷は途中降板。右肘の損傷でおそらく手術が必要だと知らされたが、その後も打者限定で試合に出場し続けた。

彼が降板したとき、僕らは何が起きたのか分からなかった。もちろん故障は残念だ。だが投手として何かあっても打席に立てるのが、二刀流のいいところだ(編集部注:このインタビュー後に大谷は負傷者リスト入りし、投打ともに今季終了を発表。その後、手術を行った)。

――昨年7月、あなたはワールド・ベースボール・クラシック(WBC)にアメリカ代表で出場すると発表した。大谷と日米対決について冗談を言ったりした?

ショーヘイが日本代表になることは知っていた。だが僕がWBCについて冗談を言い合ったのは、ショーヘイではなくイッペイ(専属通訳の水原一平)だった。

――WBCでは全世界が投手大谷と打者トラウトの対決を待ち望んだ。

(決勝戦を三振に打ち取られて終えるのは)僕にとってうれしい結果ではなかったが、あの対決は誰もが楽しみにしていた。いつかまた、ショーヘイとWBCで対決する日が来るかもしれない。

――試合中、対決を予期していた?

ショーヘイがクローザーを務めるかもしれないことも、僕が9回に打席に立つ可能性があることも分かっていた。野球というのは面白いもので、2人の対決でゲームが終わるのも運命だった。

――WBCの大谷は終始絶好調だった。彼のプレーをどう思った?

予想どおりだった。あれがショーヘイ。僕が毎日目にしているショーヘイだ。あれくらいやってくれると、最初から思っていた。

――今季終了後、大谷はフリーエージェントになり、エンゼルスを離れるかもしれない。彼と将来について話すことはある?

ない。本当だよ。どうしたいのか、本人に尋ねたこともない。移籍先についてあれこれ取り沙汰されているが、最終的には本人がどうしたいか。今後の去就について、ショーヘイは何も言わない。

――あなたも数年前にフリーエージェントとして移籍する道があったが、エンゼルスとの契約延長を選んだ。なぜ残ると決めたのか。

エンゼルスは17歳の子供だった僕の可能性に賭け、指名してくれた。僕はファンにもオーナーのアーティ・モレノにもフロントにも恩義があるし、彼らといい関係を築いてきたと思う。契約延長を決めた背景にはたくさんの理由がある。妻や子供のことも考えた。僕はここエンゼルスで全力を尽くす。それだけだ。

SHOHEI OHTANI STRIKES OUT MIKE TROUT TO WIN THE #WORLDBASEBALLCLASSIC! pic.twitter.com/F7vUtIiRR1— MLB (@MLB) March 22, 2023



ジェフ・フレッチャー(オレンジ・カウンティー・レジスター紙記者)

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