Infoseek 楽天

ウクライナ戦闘機が低空でロシアの標的に空対空ミサイルを発射!のレア映像

ニューズウィーク日本版 2023年10月26日 20時21分

<開戦から18カ月以上が経つ今も、ロシアとウクライナの間では激しい制空権奪取戦が続いている。その一端をのぞかせる珍しい映像が浮上した>

ウクライナ軍の戦闘機が低空飛行をしながら、ロシア軍の標的を攻撃している様子を捉えたらしい新たな動画が浮上した。ロシア空軍は戦闘機の保有数ではウクライナ空軍よりも優位に立っているが、ウクライナの制空権の掌握には至っていない。

<動画>ウクライナ機とロシア機?のドッグファイト

    

10月24日にロシアとウクライナの戦争に関する情報を扱っているテレグラムチャンネル「Karymat」に投稿され、ソーシャルメディア上で共有された動画には、ウクライナ空軍の旧ソ連製スホーイSu27らしき戦闘機が標的に向けてミサイルを発射して飛び去る様子が映っている。この戦闘機の標的が何だったかは不明だが、Karymatチャンネルは、「敵の空中目標」に向けて「空対空ミサイル」を発射したと説明している。

ロシアがウクライナに本格侵攻してから18カ月以上が経つが、両国は今も激しい空中戦を繰り広げている。ロシア軍にとって、侵攻後すぐにウクライナの制空権を掌握できなかったことは、最大の失敗のひとつだ。ロシア軍の巡航ミサイルやドローンは今も、ウクライナ上空を飛行して各地の標的を攻撃しているが、ロシア空軍の航空機が危険を冒してウクライナ内陸部深くに飛行していくことは滅多にない。米国製の地対空ミサイル「パトリオット」など、西側諸国が供与した防空システムがウクライナに到着していることで、ロシア側にとって危険は増す一方だ。

ATACMSでロシアの損失拡大

戦争中の兵器類の損失を集計するオランダのオープンソース調査会社「Oryx」によれば、2022年2月24日の本格侵攻以降、ロシア軍の航空機85機が破壊され、さらに8機が損傷を受けた。この中にはスホーイSu25近接支援用攻撃機30機、スホーイSu30SM多用途戦闘機11機とスホーイSu34戦闘爆撃機21機が含まれている。

このほかにもヘリコプター102機が破壊され、28機が損傷し、2機が鹵獲された。この多くが、ウクライナ東部のルハンシクと南部のベルジャンシクにあるロシア軍の拠点に対して、ウクライナ軍が初めて米国製の陸軍戦術ミサイルシステム(ATACMS)を使用した際のものだ。

ウクライナ側の報告によれば、ロシア軍の損失はさらに大きく、ウクライナ軍はロシア軍の軍用機320機とヘリコプター324機を破壊したとしている。

18カ月以上にわたる戦闘はウクライナ空軍にも被害をもたらしており、ウクライナ軍が敗北する運命にあるとみられていた侵攻開始当初に、多くの経験豊富なパイロットが犠牲になった。ウクライナ空軍は航空機やパイロットの数でロシア空軍に劣っており、それらを失うことは戦略的により大きな痛手となる。

Oryxによれば、2022年2月以降にウクライナ軍の航空機75機が破壊され、1機が損傷し、1機が捕獲された。この中にはミグ29戦闘機22機、スホーイSu27戦闘機12機とスホーイSu25近接支援用攻撃機17機が含まれている。

ウクライナ空軍が保有する航空機は多くがソビエト時代のものだが、ウクライナは近いうちに、NATOの戦闘機導入による航空隊の強化が実現することを期待している。アメリカ、デンマークなど11カ国による国家連合が、ウクライナに米国製F16戦闘機の訓練を提供。10月からアリゾナ州のモリス州兵空軍基地で訓練を開始した。

    

NATO諸国が供与したF16戦闘機がいつからウクライナでの戦闘に使われるのかは、はっきり分かっていない。オランダとデンマークはいずれも、合わせて最大61機のF16をウクライナに供与することに合意。2024年にも第一弾がウクライナに届く見通しだ。

ベルギーは2025年にウクライナにF16戦闘機の供与を始めるとしているが、その実施は2024年5月の総選挙でどのような政府が誕生し、またF16の代替機であるF35戦闘機がどれだけ迅速に到着するかによっても変わってくるだろう。

ロイド・オースティン米国防長官は、ウクライナにF16が供与される時期について「早くて来春」と述べている。

戦闘機供与で「戦闘長引く」

ロシア政府はウクライナに高性能な戦闘機が提供されることについて、繰り返し不満を表明。戦争が始まって以降、西側諸国によるウクライナへの軍事支援が紛争を長引かせ、深刻化させていると主張している。

ロシアのアレクサンドル・グルシュコ外務次官は5月に、西側諸国によるウクライナへの戦闘機供与は「とてつもなく大きなリスクを伴い」、ロシアが「あらゆる計画を策定する上で考慮に入れられることになる」と述べた。

<動画>ウクライナ機とロシア機?のドッグファイト
Incredibly rare footage of a Ukrainian Su-27 engaging a Russian airborne target with an R-73 AAM at low altitude. pic.twitter.com/gEPfOwWCvt— OSINTtechnical (@Osinttechnical) October 24, 2023

    


デービッド・ブレナン

この記事の関連ニュース