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ウクライナがFPVドローンでロシアのT-90戦車を破壊...衝撃の爆破シーン

ニューズウィーク日本版 2023年10月31日 18時50分

<精鋭ドローン部隊の「アスガルド・グループ」が行った攻撃のもようを捉えた映像をウクライナ国防省が公開した>

ウクライナがロシア軍のT-90戦車をFPV(一人称視点)ドローンで破壊する劇的な瞬間を捉えた新たな動画が公開され、注目を集めている。ウクライナの戦場では、低コストで乗組員不要のドローンを使った攻撃が主流となっている。

ウクライナ国防省が10月24日にソーシャルメディア上に投稿したドローン映像には、自爆ドローンが前線(場所は非公表)でロシア軍のT-90戦車を狙い、その後攻撃する様子が映っている。

【動画】ウクライナがFPVドローンでロシアのT-90戦車を破壊...衝撃の爆破シーン

映像はその後、2つ目のドローン映像に切り替わり、こちらはロシア軍のT-90戦車から炎が激しく噴き出している様子を捉えている。さらに切り替わった映像は、この攻撃を遠くから撮影したものだ。

ウクライナは、ウクライナ軍がロシア軍の標的を攻撃した様子を撮影したとみられるドローン映像を頻繁に公開しているが、本誌は今回の動画について、撮影された時期や場所をはじめとする詳細を独自に確認することはできていない。また本誌はこの映像についてロシア国防省にメールでコメントを求めたが、返答はなかった。

ウクライナ国防省は動画に添えた短い説明文の中で、T-90戦車へのこの攻撃を行ったのはウクライナ軍の「アスガルド・グループ」だったと明らかにした。AP通信が「精鋭ドローン部隊」と説明している同グループは、18カ月の長きに及ぶ戦争においてロシア軍に対して優位に立つために、多種多様なドローンを活用しているウクライナ軍の数多くの部隊のひとつだ。

ドローンは「ゲームチェンジャー」

ウクライナとロシアの間で続く戦争は「電光石火の勢いで」ドローン技術の革新に拍車をかけており、ほぼ毎日のように新たな設計のドローンが生まれている。こうしたなかウクライナは、「ドローンの大群」と称するものを構築しており、これにはFPVドローンや自爆ドローン、偵察用ドローンなどが含まれている。

「ドローンは戦争の流れを一変させる『ゲームチェンジャー』だ」と、ウクライナのデジタル変革相を務めるミハイロ・フェドロフは先週、X(旧ツイッター)への投稿で述べ、さらにこう続けた。「我々は今後も(ドローンの)増産を続けていく」

T-90はロシア軍が保有する最も近代的な主力戦車のひとつであり、その最新型であるT-90Mは現在運用されているロシアの戦車の中でも最高クラスと謳われている。英国際戦略研究所(IISS)の軍事年鑑「ミリタリー・バランス」によれば、2023年初頭の時点でロシアが保有していた主力戦車の数は1800台で、この中にはT-90A戦車およそ200台とT-90M戦車100台が含まれていた。

ウクライナでの戦闘が始まって以降、ロシア軍がどれだけの戦車を失ったかははっきり分かっていない。だが戦争中の兵器類の損失を集計するオランダのオープンソース調査会社のOryxによれば、2022年2月から2023年10月はじめまでの間に、ロシア軍はT-90A戦車34台、T-90AK戦車1台、T-90S戦車7台、T-90M戦車46台を失ったことが確認されている。



エリー・クック

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