<イスラエルが近年になって配備した弾道弾迎撃ミサイル「アロー3」が、フーシ派からとみられるミサイルの迎撃に成功。周囲を敵に囲まれ、幾重にも張り巡らせたイスラエルの防衛網がさらに厳重になった>
イスラエル軍は、自国領土に向けて発射された地対地ミサイルをアロー・ミサイル防衛システムで迎撃したと発表した。10月7日の戦闘開始以来、初めてのことだ。
親イランのフーシ派が3度イスラエルを攻撃?うち弾道ミサイルは最先端防空システム「アロー」が迎撃
10月31日にロイターの取材に応じたイスラエル国防軍(IDF)の報道官によると、このミサイルは紅海方面から発射された。これとは別のミサイルによる攻撃もあったが、紅海の都市エイラート沖でイスラエル国防軍の戦闘機によって迎撃されたという。
イエメンのイスラム教シーア派勢力でイランの支援を受けるフーシ派は、31日にイスラエルに向けて「多数の」無人機と弾道ミサイルを発射したと発表した。ただし、攻撃がイスラエル領内に到達したという報告はない。
10月7日のパレスチナ過激派組織ハマスによる奇襲攻撃以来、イスラエルは宣戦布告し、ガザ地区への過去最大規模の空爆を開始。同地域への地上侵攻を宣言した。
これに対し、近隣諸国の民兵組織は、パレスチナ人民を支援するため、必要であれば戦闘に参加する用意があると述べている。
戦闘が激化する中、イスラエルは自国を守るため、ハマスの短距離攻撃から身を守るための移動式空中防衛システム「アイアンドーム」を稼働させている。だが31日に威力を発揮したアロー防衛システムによって、長距離攻撃に対する防衛力も増強できるだろう。
弾道ミサイルの攻撃に対応
イスラエル・エアロスペース・インダストリーズ(IAI)によれば、アロー兵器システム(AWS)は、世界初の独立型対戦術弾道ミサイル防衛システムだ。このシステムには、アロー2とアロー3の迎撃ミサイルが含まれており、短距離、中距離、長距離の弾道ミサイルを迎撃することができる。
IAIが設計したアロー2迎撃ミサイルは、テルアビブ近郊に1基、ハイファ南方にもう1基配備されていると、防空技術の情報サイト、エアフォース・テクノロジーは報じている。このシステムは短・中距離ミサイルの迎撃用に設計されており、2000年と2004年に配備されて以降、十数回のテストに成功している。
エアフォース・テクノロジーによると、アロー3迎撃ミサイルは、アメリカのボーイングとIAIが共同開発したもので、アロー2システムよりも高速で射程距離も長い。
アロー3は大気圏外ミサイル防衛システムで、地球の大気圏外で弾道ミサイルを迎撃するように設計されている。アロー3システムの最初のテストは2013年に成功し、その後2014年1月にイスラエル国防省と米ミサイル防衛局によって2回目の飛行テストが完了した。
イスラエルの空中防衛システムはいくつもの層で構成されている。ニュースサイト、インサイダーのレポートによると、アイアンドームが小規模な脅威に対して機能する一方で、アロー・システムはより大規模な攻撃を迎撃することができる。この二つのシステムをさらにイスラエルの防空「中間層」として機能するダビデスリング防衛システムが補完する。
アロー・システムの開発を監督したイスラエルのエンジニア、ウジ・ルービンは、AWSはアイアンドームよりも難しい標的を防御するために開発されたとエルサレム・ポスト紙に語った。さらに、31日に弾道ミサイルの防衛に成功したことは、イスラエルが高性能の長距離兵器からも自国を守る用意があるというメッセージを近隣諸国に送るものだとも語っている。
それでもルービンは、ハマスが過去にアイアンドームの防衛網を突破したように、アロー・システムもイスラエルの敵勢力に打ち負かされる可能性がなくなったわけではない、と警告した。
エルサレム・ポスト紙は、アイアンドームを通り抜けた短距離ミサイルの被害は限定的だが、IDFの防衛網を突破した弾道ミサイルは、はるかに甚大な被害をもたらす可能性があると指摘している。
<動画>最先端防空ミサイル「アロー3」の性能詳細
<動画>弾道ミサイル防衛システム「アロー」
<動画>「アロー」を開発したIAI社のデモ動画
ケイトリン・ルイス
イスラエル軍は、自国領土に向けて発射された地対地ミサイルをアロー・ミサイル防衛システムで迎撃したと発表した。10月7日の戦闘開始以来、初めてのことだ。
親イランのフーシ派が3度イスラエルを攻撃?うち弾道ミサイルは最先端防空システム「アロー」が迎撃
10月31日にロイターの取材に応じたイスラエル国防軍(IDF)の報道官によると、このミサイルは紅海方面から発射された。これとは別のミサイルによる攻撃もあったが、紅海の都市エイラート沖でイスラエル国防軍の戦闘機によって迎撃されたという。
イエメンのイスラム教シーア派勢力でイランの支援を受けるフーシ派は、31日にイスラエルに向けて「多数の」無人機と弾道ミサイルを発射したと発表した。ただし、攻撃がイスラエル領内に到達したという報告はない。
10月7日のパレスチナ過激派組織ハマスによる奇襲攻撃以来、イスラエルは宣戦布告し、ガザ地区への過去最大規模の空爆を開始。同地域への地上侵攻を宣言した。
これに対し、近隣諸国の民兵組織は、パレスチナ人民を支援するため、必要であれば戦闘に参加する用意があると述べている。
戦闘が激化する中、イスラエルは自国を守るため、ハマスの短距離攻撃から身を守るための移動式空中防衛システム「アイアンドーム」を稼働させている。だが31日に威力を発揮したアロー防衛システムによって、長距離攻撃に対する防衛力も増強できるだろう。
弾道ミサイルの攻撃に対応
イスラエル・エアロスペース・インダストリーズ(IAI)によれば、アロー兵器システム(AWS)は、世界初の独立型対戦術弾道ミサイル防衛システムだ。このシステムには、アロー2とアロー3の迎撃ミサイルが含まれており、短距離、中距離、長距離の弾道ミサイルを迎撃することができる。
IAIが設計したアロー2迎撃ミサイルは、テルアビブ近郊に1基、ハイファ南方にもう1基配備されていると、防空技術の情報サイト、エアフォース・テクノロジーは報じている。このシステムは短・中距離ミサイルの迎撃用に設計されており、2000年と2004年に配備されて以降、十数回のテストに成功している。
エアフォース・テクノロジーによると、アロー3迎撃ミサイルは、アメリカのボーイングとIAIが共同開発したもので、アロー2システムよりも高速で射程距離も長い。
アロー3は大気圏外ミサイル防衛システムで、地球の大気圏外で弾道ミサイルを迎撃するように設計されている。アロー3システムの最初のテストは2013年に成功し、その後2014年1月にイスラエル国防省と米ミサイル防衛局によって2回目の飛行テストが完了した。
イスラエルの空中防衛システムはいくつもの層で構成されている。ニュースサイト、インサイダーのレポートによると、アイアンドームが小規模な脅威に対して機能する一方で、アロー・システムはより大規模な攻撃を迎撃することができる。この二つのシステムをさらにイスラエルの防空「中間層」として機能するダビデスリング防衛システムが補完する。
アロー・システムの開発を監督したイスラエルのエンジニア、ウジ・ルービンは、AWSはアイアンドームよりも難しい標的を防御するために開発されたとエルサレム・ポスト紙に語った。さらに、31日に弾道ミサイルの防衛に成功したことは、イスラエルが高性能の長距離兵器からも自国を守る用意があるというメッセージを近隣諸国に送るものだとも語っている。
それでもルービンは、ハマスが過去にアイアンドームの防衛網を突破したように、アロー・システムもイスラエルの敵勢力に打ち負かされる可能性がなくなったわけではない、と警告した。
エルサレム・ポスト紙は、アイアンドームを通り抜けた短距離ミサイルの被害は限定的だが、IDFの防衛網を突破した弾道ミサイルは、はるかに甚大な被害をもたらす可能性があると指摘している。
<動画>最先端防空ミサイル「アロー3」の性能詳細
<動画>弾道ミサイル防衛システム「アロー」
<動画>「アロー」を開発したIAI社のデモ動画
ケイトリン・ルイス