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【マップ】中国で急増する謎の「子供の肺炎」、別の国でも...症例が増加している国を示す地図

ニューズウィーク日本版 2023年12月1日 17時42分

<中国以外の国でも5歳から14歳の子どもを中心に肺炎の流行が見られており、懸念の声が高まっている>

中国で、子どもを中心に肺炎の症例が急増中だと報じられている。新型コロナウイルスの記憶も新しいなか、なんとも不気味なニュースではあるが、子どもの肺炎の増加が見られるのは中国だけではない。オランダでも現在、子どもたちの間で肺炎が増加していることが分かり、懸念が広まっている。

■【マップ】中国で急増する謎の「子供の肺炎」、別の国でも...症例が増加している国を示す地図

中国では、子どもを中心に各地で呼吸器疾患が増加。北部の複数の省では10月半ば以降、インフルエンザによく似た疾患が急激に増えている。

2020年に新型コロナウイルスの急速な拡大を受けて、多くの国でさまざまな制限措置や隔離措置が取られたことは記憶に新しい。そのため今回も複数の国が、中国での呼吸器疾患の増加に神経を尖らせている。

中国では2019年12月に武漢で最初に感染が報告された後、新型コロナウイルスの感染が拡大して医療が逼迫したが、今回も大勢の患者が病院に押し寄せ、当時と似たような状況になっている。

中国当局は、今回の呼吸器疾患の増加はインフルエンザやRSウイルスなど、一般的な疾患が複数重なったことによるものだとの見方を示し、新型コロナ関連の各種制限措置を緩和したことで、感染が拡大しやすくなっていると説明した。

こうしたなかオランダ保健サービス研究機関(NIVEL)が、オランダでも子どもを中心に肺炎が増えていると報告した。同国のニュースサイト「ザ・メッセンジャー」によれば、この1週間で5~14歳の子ども10万人あたり80人が肺炎にかかっている。

台湾・インド・ベトナムなども備えを強化

オランダでこれほど肺炎が流行するのは数年ぶりのことだ。2022年のインフルエンザ・シーズンのピーク時でも、同じ年齢グループの子どもの肺炎は10万人あたり60人と今回よりも少なかった。オランダではかなり前に新型コロナ関連の制限措置が緩和されていることもあり、中国での肺炎増加を受けて懸念の声が高まっている。

台湾やインド、ベトナムなどそのほかの複数の国や地域も、中国での肺炎増加を受けて公衆衛生システムの見直しを行ったり、(マスクや手袋など)個人用防護具や医薬品を確保したりするなどの予防措置を取っている。

世界保健機関(WHO)や米疾病対策センター(CDC)をはじめとする各当局は、パニックが生じないよう鎮静化を図っている。

「多くの国が1~2年前に経験したこと」

CDCの広報担当者は本誌に対して、「CDCは中国の保健当局や各自治体と連絡を取り合っている。これまでの報告からは、既に知られている複数の呼吸器疾患の感染が同時期に広まったことが、入院患者の急増につながっていることが示されている」と述べ、さらにこう続けた。「我々は今後も状況を注視し、各国の保健当局と協力して対応していく」

WHOの感染症専門家であるマリア・ファンケルクホーフェは、中国が新型コロナ関連の制限措置を緩和してから本格的な冬を迎えるのは今回が初めてであり、現在の呼吸器疾患の急増は「(中国より先に制限を緩和していた)多くの国が去年や一昨年に経験した」のと似たようなものだと説明。現在の呼吸器疾患の急増は、新型コロナウイルスのパンデミックとは異なるものだと断言した。

ファンケルクホーフェは11月24日に医療サイト「STAT」のインタビューに対しても、「今回の状況は、2019年12月や2020年1月に私たちが経験した状況と同じものではない」と述べている。



アンナ・スキナー

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