<環境専門家のレクチャー、女性の経済的自立を支援、生態系を守るために海底にいかりを下ろさない、風力にも頼るなど、クルーズ船の旅は変化している...>
莫大な燃料消費、ビュッフェの大量の残飯、巨大な船が移動することの生態系への悪影響......。これまでクルーズ船の旅はお世辞にも環境に優しいとは言えなかった。
しかし最近はサステナビリティー(持続可能性)に配慮しつつ、充実した旅を楽しめるクルーズも登場している。
01. 海の生き物に優しく
ガラパゴス諸島(エクアドル)
MICHEL VERDURE
ガラパゴス諸島のクルーズで、「未来」を垣間見よう。セレブリティー・クルーズ社のセレブリティー・フローラ号は自然の素材で建造されていて、停泊の際も海底にいかりを下ろさないため海の生物にダメージを及ぼさない。
補助電源の供給源として太陽光発電パネルを搭載し、船内で提供されるチョコレートやトイレタリー製品はエクアドルの地元産品だ。
02. 巨大水力発電所の中へ
ベーコモー(カナダ)
MORTEN FALCH SORTLAND
エクスプロラ・ジャーニーズ社のクルーズではオプションとして、環境に優しい電力生産の現場を訪ねることができる。カナダ・ケベック州の「ジャン・ルサージュ・ダム」は、世界最大規模の中空重力式水力発電ダム。
自然界のエネルギーを活用して大規模な発電を行い、カナダの電力需要を支えている。ダム見学のほかに、セントローレンス川(サンローラン川)でのカヤック体験なども楽しめる。
03. ハイブリッド船の旅
南極
DAN AVILA
エコなクルーズ船で氷と雪とペンギンの地へようこそ。
フッティルーテン社のロアール・アムンセン号は、燃料と電気を併用するハイブリッド方式で運航し、燃料消費を抑えて温室効果ガス排出量を20%削減している。ツアー参加者が氷の世界を満喫できるように、旅程は気象状況に応じて柔軟に変更する。
04. 北極について学ぶ
ブレスト(フランス)~レイキャビク(アイスランド)
OLIVIER BLAUD/PONANT
ル・コマンダン・シャルコー号は、ポナン社が運航しているハイブリッド方式の砕氷クルーズ船。
フランスのブレストからアイスランドのレイキャビクまで、ほかでは経験できない5日間の船旅を楽しめる。船上では北極地域について環境専門家の講演を聞いたり、ツアー参加者同士で議論を交わしたりする時間も用意されている。
05. 風の力で大西洋横断
カンヌ(フランス)~ブリッジタウン(バルバドス)
BOB THOMAS/GETTY IMAGES
42枚の帆で受ける風を推進力に、温室効果ガスを排出せずに大西洋を横断しよう。
帆船の古風なデザインとは裏腹に、スター・クリッパーズ社のロイヤル・クリッパー号の乗客たちはゴージャスな旅を楽しめる。船内にプールがあるほか、ウオータースポーツの機会も。風の力で賄えないエネルギーは低硫黄燃料油を使用する。
06. 断崖の海岸を行く
ノルウェーのフィヨルド
DENIS BELITSKY
両側に崖が切り立つフィヨルドの絶景をサステナブルに楽しみたい人には、ハビラ・ボヤージズ社のクルーズがうってつけだ。
最長コースは、ベルゲンとキルケネスを往復する12日間の旅。途中で34カ所の港に寄る。船には大型バッテリーが搭載されていて、温室効果ガスを排出せずに4時間の航行が可能。しかも、バッテリーは航行中に水力発電で充電できる。
HAVILA VOYAGES
07. 女性のエンパワーメント
アンマン(ヨルダン)
UNIWORLD
ユニワールド・リバー・クルージズ社の「エジプトとナイルの輝き」ツアーの参加者は、オプションとして近隣のヨルダンを訪れて、地元の女性たちの協同組合を支援する経験ができる。
協同組合では150人の女性が経済的自立を達成し、生活水準を向上させ、地域の伝統を守る取り組みを行っている。船上での体験はさまざまな面でサステナビリティーを重視し、例えば食事のメニューや地図はペーパーレス。窓には紫外線を遮るホイルを取り付けて、エネルギー消費量を減らしている。
08. 「実質ゼロ」の旅
ドバイ~シンガポール
VIRGIN VOYAGES
バージン・ボヤージズ社は、クルーズ船の温室効果ガス排出の「実質ゼロ」を目指しているだけではない。
ドバイを出発して、インドのムンバイ、ゴア、スリランカのコロンボ、タイのプーケット、マレーシアのクアラルンプールを経て、シンガポールを目指す旅では島でのサイクリングや、マングローブの森でのカヤック体験など、温室効果ガス排出の少ない活動を用意している。
09. 世界一周で異文化交流
横浜(日本)
PEACE BOAT
日本のNGO「ピースボート」のパシフィック・ワールド号で3カ月の世界一周の船旅に出かければ、SDGs(持続可能な開発目標)を推進し、船の内外で異文化交流も楽しめる。
船上で気候変動に関するワークショップに参加したり、訪問先の国で植樹やビーチのゴミ拾いをしたりする機会も。2027年就航予定の新しいエコシップ号は、太陽光発電パネルを装着した折り畳み式のマストを装備しているほか、「洋上ガーデンパーク」も設けられている。
10. 風の力で
パペーテ(タヒチ)
WINDSTAR CRUISES
南太平洋の自然を間近で味わいたければ、ウインドスター社のヨット──海上を吹き抜ける風が船の動力だ──で、フランス領ポリネシアのタヒチ島周辺を数日かけてセーリングしてみては?
澄み切った透明の海はシュノーケリングにもってこい。あまり人の手が入っていないビーチやジャングルもあなたを待っている。極め付きは、夜に星空の下のビーチで楽しむパーティーとファイヤーショー。ポリネシア地方の文化に、どっぷり浸ることができるだろう。
アイリーン・ファルケンバーグハル
莫大な燃料消費、ビュッフェの大量の残飯、巨大な船が移動することの生態系への悪影響......。これまでクルーズ船の旅はお世辞にも環境に優しいとは言えなかった。
しかし最近はサステナビリティー(持続可能性)に配慮しつつ、充実した旅を楽しめるクルーズも登場している。
01. 海の生き物に優しく
ガラパゴス諸島(エクアドル)
MICHEL VERDURE
ガラパゴス諸島のクルーズで、「未来」を垣間見よう。セレブリティー・クルーズ社のセレブリティー・フローラ号は自然の素材で建造されていて、停泊の際も海底にいかりを下ろさないため海の生物にダメージを及ぼさない。
補助電源の供給源として太陽光発電パネルを搭載し、船内で提供されるチョコレートやトイレタリー製品はエクアドルの地元産品だ。
02. 巨大水力発電所の中へ
ベーコモー(カナダ)
MORTEN FALCH SORTLAND
エクスプロラ・ジャーニーズ社のクルーズではオプションとして、環境に優しい電力生産の現場を訪ねることができる。カナダ・ケベック州の「ジャン・ルサージュ・ダム」は、世界最大規模の中空重力式水力発電ダム。
自然界のエネルギーを活用して大規模な発電を行い、カナダの電力需要を支えている。ダム見学のほかに、セントローレンス川(サンローラン川)でのカヤック体験なども楽しめる。
03. ハイブリッド船の旅
南極
DAN AVILA
エコなクルーズ船で氷と雪とペンギンの地へようこそ。
フッティルーテン社のロアール・アムンセン号は、燃料と電気を併用するハイブリッド方式で運航し、燃料消費を抑えて温室効果ガス排出量を20%削減している。ツアー参加者が氷の世界を満喫できるように、旅程は気象状況に応じて柔軟に変更する。
04. 北極について学ぶ
ブレスト(フランス)~レイキャビク(アイスランド)
OLIVIER BLAUD/PONANT
ル・コマンダン・シャルコー号は、ポナン社が運航しているハイブリッド方式の砕氷クルーズ船。
フランスのブレストからアイスランドのレイキャビクまで、ほかでは経験できない5日間の船旅を楽しめる。船上では北極地域について環境専門家の講演を聞いたり、ツアー参加者同士で議論を交わしたりする時間も用意されている。
05. 風の力で大西洋横断
カンヌ(フランス)~ブリッジタウン(バルバドス)
BOB THOMAS/GETTY IMAGES
42枚の帆で受ける風を推進力に、温室効果ガスを排出せずに大西洋を横断しよう。
帆船の古風なデザインとは裏腹に、スター・クリッパーズ社のロイヤル・クリッパー号の乗客たちはゴージャスな旅を楽しめる。船内にプールがあるほか、ウオータースポーツの機会も。風の力で賄えないエネルギーは低硫黄燃料油を使用する。
06. 断崖の海岸を行く
ノルウェーのフィヨルド
DENIS BELITSKY
両側に崖が切り立つフィヨルドの絶景をサステナブルに楽しみたい人には、ハビラ・ボヤージズ社のクルーズがうってつけだ。
最長コースは、ベルゲンとキルケネスを往復する12日間の旅。途中で34カ所の港に寄る。船には大型バッテリーが搭載されていて、温室効果ガスを排出せずに4時間の航行が可能。しかも、バッテリーは航行中に水力発電で充電できる。
HAVILA VOYAGES
07. 女性のエンパワーメント
アンマン(ヨルダン)
UNIWORLD
ユニワールド・リバー・クルージズ社の「エジプトとナイルの輝き」ツアーの参加者は、オプションとして近隣のヨルダンを訪れて、地元の女性たちの協同組合を支援する経験ができる。
協同組合では150人の女性が経済的自立を達成し、生活水準を向上させ、地域の伝統を守る取り組みを行っている。船上での体験はさまざまな面でサステナビリティーを重視し、例えば食事のメニューや地図はペーパーレス。窓には紫外線を遮るホイルを取り付けて、エネルギー消費量を減らしている。
08. 「実質ゼロ」の旅
ドバイ~シンガポール
VIRGIN VOYAGES
バージン・ボヤージズ社は、クルーズ船の温室効果ガス排出の「実質ゼロ」を目指しているだけではない。
ドバイを出発して、インドのムンバイ、ゴア、スリランカのコロンボ、タイのプーケット、マレーシアのクアラルンプールを経て、シンガポールを目指す旅では島でのサイクリングや、マングローブの森でのカヤック体験など、温室効果ガス排出の少ない活動を用意している。
09. 世界一周で異文化交流
横浜(日本)
PEACE BOAT
日本のNGO「ピースボート」のパシフィック・ワールド号で3カ月の世界一周の船旅に出かければ、SDGs(持続可能な開発目標)を推進し、船の内外で異文化交流も楽しめる。
船上で気候変動に関するワークショップに参加したり、訪問先の国で植樹やビーチのゴミ拾いをしたりする機会も。2027年就航予定の新しいエコシップ号は、太陽光発電パネルを装着した折り畳み式のマストを装備しているほか、「洋上ガーデンパーク」も設けられている。
10. 風の力で
パペーテ(タヒチ)
WINDSTAR CRUISES
南太平洋の自然を間近で味わいたければ、ウインドスター社のヨット──海上を吹き抜ける風が船の動力だ──で、フランス領ポリネシアのタヒチ島周辺を数日かけてセーリングしてみては?
澄み切った透明の海はシュノーケリングにもってこい。あまり人の手が入っていないビーチやジャングルもあなたを待っている。極め付きは、夜に星空の下のビーチで楽しむパーティーとファイヤーショー。ポリネシア地方の文化に、どっぷり浸ることができるだろう。
アイリーン・ファルケンバーグハル