<客席から投げ込まれた物が女優フローレンス・ピューの顔に直撃。ハリー・スタイルズなど何人もの有名人が同様の被害を受けている>
12月3日、ブラジルで開催されていた「CCXP(コミコン)2023」の会場で、客席から投げ付けられた物が英俳優フローレンス・ピューの顔に直撃するという出来事があった。当然、「犯人」を批判する声が噴出しているのだが、一方でこうした行為は最近さまざまなコンサートなどで続発しており、一種のトレンドとなってしまっている。
■【動画】客席から投げ込まれた物が英女優の顔に直撃...過去にはハリー・スタイルズやテイラー・スウィフトも被害
ソーシャルメディアに投稿された映像には、来年公開される映画『デューン 砂の惑星Part2』について語るパネルディスカッションで、27歳のピューが、共演者のティモシー・シャラメ、オースティン・バトラー、ゼンデイヤらと並ぶ姿が映っている。『デューン 砂の惑星Part2』は、はるか遠い未来、人工知能(AI)後の宇宙を舞台にした『デューン 砂の惑星』の続編だ。
出演者たちが、監督と脚本を担当したドゥニ・ヴィルヌーヴと写真撮影するために立ち上がったとき、客席からステージに、何かが投げ込まれた。その物体は、ピューの目のそばを直撃し、ピューは顔をしかめ、落ちた物体を拾おうと手を伸ばした。共演者たちもこの出来事に驚き、ピューに声を掛けた。
この事件の動画がオンラインで拡散されると、一斉に非難の声が上がった。「フローレンス・ピューに物を投げ付けるなんてひどすぎる。いったいどうしたらいいのだろう。こんなことは許せない。今も。これからも」「失明する可能性だってあった。本当にどうかしている」「フローレンス・ピューに物を投げ付けるなんて、どうなっているんだ」
さらには、「こんなことをしようと思うなんて、本当に悲しい。そのせいで、彼女がステージを降りることになり、とても悲しい。彼女の無事を願っている。この前はテイラー・スウィフト、今回はフローレンス。ブラジルではいつも悪いことが起きる」というコメントもあった。スウィフトが11月17日にブラジルでおこなった公演中に、23歳の観客が倒れて死亡するという事件が起きた。
スタイルズもカーディ・B もテイラー・スウィフトも
今回の事件が起きる前から、ステージ上の有名人が物を投げ付けられるという危険な行為が続いている。
昨年11月には、歌手のハリー・スタイルズがスウェーデンでの公演中、客席から投げられた菓子が目に当たった。今年6月にも、オーストリアの首都ウィーンでの公演中、観客が投げた物が顔に命中した。
歌手のピンクは今年6月、ロンドンでの公演中に、遺灰と見られるものを投げ付けられて当惑した。ヒップホップミュージシャンのカーディ・Bは7月、観客に飲み物を投げ付けられた後、客席にマイクを投げて反撃した。
それだけではない。6月には、ポップスターのビービー・レクサがニューヨークで公演していたときに、27歳の男から携帯電話を投げ付けられ、目の上を負傷した。この男は暴行罪で起訴された。レクサは公演を取りやめ、その後、負傷した箇所をインスタグラムで公開した。
この件で起訴されたニコラス・マルバーニャは、現場に駆け付けた警官に対して、携帯電話を投げ付けたことを自白し、「ショーの最後に、携帯電話を彼女に命中させたら面白いと思った」と語ったと報じられている。
スウィフトは11月12日、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスでの公演中、物を投げるのをやめるようファンに呼び掛け、この憂慮すべきトレンドに言及した。「ザ・エラス・ツアー」と名付けられたコンサートツアーで、アルバム「エヴァーモア」の曲を歌っているとき、ステージ上にいたスウィフトから近い場所に「プレゼント」が投げ込まれた。スウィフトは演奏を止め、観客に語り掛けた。SNSに投稿された動画には、その一部始終が映っている。
スウィフトは、ピアノの椅子に座ったまま、「コミュニケーションとは、やさしくて健全な境界線を持つこと。ステージに物が投げ込まれるのは本当に怖い」と語った。「ステージに物があると、ダンサーがつまずくかもしれません。プレゼントを持ってきてくれることは本当にうれしい。でも、どうかステージには投げないで。私はみんなのことが大好きよ!」
自分には好きに行動する権利があると勘違い
マンハッタンに本拠を置く、エンターテインメントとスポーツを専門とする法律事務所サルツァーノ・エッティンガー・ランパート・ウィルソンのマネージングパートナー、フランク・サルツァーノは、有名人に関連するこのような事件が増えていることについて、ファンが有名人を「身近」に感じるようになったことが原因だと考えている。
サルツァーノは本誌に、「ファンたちは、ソーシャルメディアを通じて大好きな有名人と24時間365日つながっており、それがこうした現象の原動力になっている」と語っている。
「このような『身近さ』を感じたファンが、自分には好きなように行動する権利がある、という誤った考えを持つようになった。そしてしばしば、良識という明確な一線を越え、犯罪行為にまで発展することがある。こうした暴力的な行為の結果、コンサートの警備が強化され、規則が厳しくなる可能性が高い」
(翻訳:ガリレオ)
ビリー・シュワブ・ダン
12月3日、ブラジルで開催されていた「CCXP(コミコン)2023」の会場で、客席から投げ付けられた物が英俳優フローレンス・ピューの顔に直撃するという出来事があった。当然、「犯人」を批判する声が噴出しているのだが、一方でこうした行為は最近さまざまなコンサートなどで続発しており、一種のトレンドとなってしまっている。
■【動画】客席から投げ込まれた物が英女優の顔に直撃...過去にはハリー・スタイルズやテイラー・スウィフトも被害
ソーシャルメディアに投稿された映像には、来年公開される映画『デューン 砂の惑星Part2』について語るパネルディスカッションで、27歳のピューが、共演者のティモシー・シャラメ、オースティン・バトラー、ゼンデイヤらと並ぶ姿が映っている。『デューン 砂の惑星Part2』は、はるか遠い未来、人工知能(AI)後の宇宙を舞台にした『デューン 砂の惑星』の続編だ。
出演者たちが、監督と脚本を担当したドゥニ・ヴィルヌーヴと写真撮影するために立ち上がったとき、客席からステージに、何かが投げ込まれた。その物体は、ピューの目のそばを直撃し、ピューは顔をしかめ、落ちた物体を拾おうと手を伸ばした。共演者たちもこの出来事に驚き、ピューに声を掛けた。
この事件の動画がオンラインで拡散されると、一斉に非難の声が上がった。「フローレンス・ピューに物を投げ付けるなんてひどすぎる。いったいどうしたらいいのだろう。こんなことは許せない。今も。これからも」「失明する可能性だってあった。本当にどうかしている」「フローレンス・ピューに物を投げ付けるなんて、どうなっているんだ」
さらには、「こんなことをしようと思うなんて、本当に悲しい。そのせいで、彼女がステージを降りることになり、とても悲しい。彼女の無事を願っている。この前はテイラー・スウィフト、今回はフローレンス。ブラジルではいつも悪いことが起きる」というコメントもあった。スウィフトが11月17日にブラジルでおこなった公演中に、23歳の観客が倒れて死亡するという事件が起きた。
スタイルズもカーディ・B もテイラー・スウィフトも
今回の事件が起きる前から、ステージ上の有名人が物を投げ付けられるという危険な行為が続いている。
昨年11月には、歌手のハリー・スタイルズがスウェーデンでの公演中、客席から投げられた菓子が目に当たった。今年6月にも、オーストリアの首都ウィーンでの公演中、観客が投げた物が顔に命中した。
歌手のピンクは今年6月、ロンドンでの公演中に、遺灰と見られるものを投げ付けられて当惑した。ヒップホップミュージシャンのカーディ・Bは7月、観客に飲み物を投げ付けられた後、客席にマイクを投げて反撃した。
それだけではない。6月には、ポップスターのビービー・レクサがニューヨークで公演していたときに、27歳の男から携帯電話を投げ付けられ、目の上を負傷した。この男は暴行罪で起訴された。レクサは公演を取りやめ、その後、負傷した箇所をインスタグラムで公開した。
この件で起訴されたニコラス・マルバーニャは、現場に駆け付けた警官に対して、携帯電話を投げ付けたことを自白し、「ショーの最後に、携帯電話を彼女に命中させたら面白いと思った」と語ったと報じられている。
スウィフトは11月12日、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスでの公演中、物を投げるのをやめるようファンに呼び掛け、この憂慮すべきトレンドに言及した。「ザ・エラス・ツアー」と名付けられたコンサートツアーで、アルバム「エヴァーモア」の曲を歌っているとき、ステージ上にいたスウィフトから近い場所に「プレゼント」が投げ込まれた。スウィフトは演奏を止め、観客に語り掛けた。SNSに投稿された動画には、その一部始終が映っている。
スウィフトは、ピアノの椅子に座ったまま、「コミュニケーションとは、やさしくて健全な境界線を持つこと。ステージに物が投げ込まれるのは本当に怖い」と語った。「ステージに物があると、ダンサーがつまずくかもしれません。プレゼントを持ってきてくれることは本当にうれしい。でも、どうかステージには投げないで。私はみんなのことが大好きよ!」
自分には好きに行動する権利があると勘違い
マンハッタンに本拠を置く、エンターテインメントとスポーツを専門とする法律事務所サルツァーノ・エッティンガー・ランパート・ウィルソンのマネージングパートナー、フランク・サルツァーノは、有名人に関連するこのような事件が増えていることについて、ファンが有名人を「身近」に感じるようになったことが原因だと考えている。
サルツァーノは本誌に、「ファンたちは、ソーシャルメディアを通じて大好きな有名人と24時間365日つながっており、それがこうした現象の原動力になっている」と語っている。
「このような『身近さ』を感じたファンが、自分には好きなように行動する権利がある、という誤った考えを持つようになった。そしてしばしば、良識という明確な一線を越え、犯罪行為にまで発展することがある。こうした暴力的な行為の結果、コンサートの警備が強化され、規則が厳しくなる可能性が高い」
(翻訳:ガリレオ)
ビリー・シュワブ・ダン