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「番組で人生が変わった」K-POPの新星が2023年を振り返る...ZEROBASEONE(ゼロベースワン)インタビュー

ニューズウィーク日本版 2023年12月18日 20時15分

<オーディション番組『ボーイズプラネット』から誕生し、デビューアルバムは史上最多の売り上げとなった。「ZB1(ゼベワン)」の9人にファンのこと、メンバーの絆、未来への抱負を聞いた>

第5世代Kポップ・ボーイズグループZEROBASEONE(ゼロベースワン、ZB1〔(ゼベワン〕)はボーイズグループの有力候補から本格的なアイドルに急成長。目下、11月にリリースした2枚目のミニアルバム『MELTING POINT』のプロモーションに全力投球中だが、彼らの急成長を理解するには原点にさかのぼってみる必要がある。

昨年秋、ジャン・ハオ、キム・テレ、ソン・ハンビン、ソク・マシュー、リッキー、パク・ゴヌク、キム・ギュビン、キム・ジウン、ハン・ユジンは人生を変えることになる知らせを受け取った。韓国の音楽専門チャンネルMnet(エムネット)のオーディション番組『ボーイズプラネット』に参加できることになったのだ。

番組では90人を超えるアイドル候補たちがボーイズグループのメンバーとしてデビューすることを目指してしのぎを削る。

毎週苦しい闘いの連続だったが、9人はめげなかった。アーティスティックな才能を予感させて世界中のファンの期待を集めた彼らは、今年4月に放送された最終話で940万票近くを獲得して『ボーイズプラネット』の勝者の座に輝いた。

韓国、中国、カナダから集まったメンバーたちは今年7月には初のミニアルバム『YOUTH IN THE SHADE』をリリース。収録された6曲のうちタイトル曲「In Bloom」は青春のつかの間の華やかさに言及。「永遠に続くものなんてない」というプレコーラスの後で「それでも自分の運命は自分で変えられる」と励ますように歌う。

Kポップの世界への入り口としては魅力的な1枚で、現在までの累積販売枚数はKポップのデビューアルバムでは史上最多の約200万枚。「モンスタールーキー」となったZB1はいかにもKポップアイドルらしい多忙な毎日を送っている。

韓国有数の一流誌の表紙を飾り、テレビに出演し、世界中を飛び回りながら、その合間を縫って『MELTING POINT』の準備も進めてきた。ヨーロッパ、日本、アメリカでの初のステージに加え、8月にはソウルの高尺スカイドームで初のコンサートを開催。チケットは数分で売り切れた。

番組では98人の少年たちがダンスや歌のミッションでしのぎを削った ©CJ ENM CO., LTD, ALL RIGHTS RESERVED

だがZB1の真の魅力は彼らのアーティストとして、人間としての本質にある。「僕らは1つになった」とソク・マシューはソウルからテレビ電話で語った。「そう思うと、このグループの一員になれたこと、メンバー8人がそばにいることがいかにありがたいかを考えされられる」

『MELTING POINT』で新たな歩みを始める前に、メンバーが自分たちの重要な1年を振り返った。『ボーイズプラネット』に参加してからZB1がKポップアイドルとして本格始動するまでの道のりは、9人が力を合わせて未来を刻んだ第一歩だ。グラミードットコムのイバナ・モラレスがメンバーに話を聞いた。

◇ ◇ ◇

──『ボーイズプラネット』でデビューメンバーに選ばれたときの気持ちは?

ソク・マシュー 正直、自分がオーディションに受かるなんて思ってもみなかった。練習生時代はいろんな事務所を転々としてたから。でもハンビン・ヒョン(韓国語で「ハンビン兄さん」)も選ばれたと分かってすごくうれしかったし、ほっとした。あまり自信がなかったし激戦になると分かってたけど、彼のおかげで少し自信が持てた。

ソン・ハンビン (ZB1のメンバーに)練習生として会ったとき、みんな『ボーイズプラネット』が大人気になるとは期待していないことが彼らの目を見て分かった。僕らはとにかく自分の可能性を見せつけて、それまで世界に伝えられなかった何かを示したかったんだ。

番組のプロデューサーや脚本家やスタッフの大変な努力は忘れちゃいけないけど、番組の成功は練習生全員の情熱のたまものだと思う。

キム・ギュビン 『ボーイズプラネット』は僕たちの長年の夢をかなえた。あの番組が(ファクト・ミュージック・アワードとKグローバル・ハート・ドリーム・アワードの)新人賞受賞への第一歩だったと思う。簡単に受賞できるものじゃないから、みんな感謝してるし、受賞できてすごくラッキーだと感じてる。『ボーイズプラネット』はまさに僕たちの足掛かりになったし、本当に人生を変える経験だった。

──正式にZB1のメンバーになってどんな気分だった?

パク・ゴヌク 最終話の放送後、メンバー全員で共同生活をする寮に行って(人生が変わるんだと)すぐに自覚した。これからグループ活動をスタートして、この大好きで尊敬するメンバーと暮らすんだと思うと興奮した。考えるたびにうれしくて胸がどきどきした。

リッキー 最終デビューメンバーが発表される前から、『ボーイズプラネット』は僕らが思っていた以上にすごい人気になりそうだと分かってた。正直、絶対にメンバーになれるとは思っていなかったから、名前を呼ばれて上位9人の椅子の1つに座った瞬間、「ああ、これは僕の人生の大きなターニングポイントだ」って思った。

キム・ジウン 僕が言いたいのは僕たちがすごく笑えるグループだってこと(笑)。それが僕たちのファンや一般の視聴者向けのコンテンツから伝わって、彼らはZB1の違う一面を知ることになると思う。

メンバーと一緒にいて分かったのは僕が自分で思っていた以上にキュートだってこと(笑)。僕は最年長で、年下のメンバーたちと過ごすほど自分のピュアで子供っぽい部分に気付くんだ。メンバーとの関係のおかげで自分が開き始めたばかりの花みたいな気がして、彼らと一緒に若さを味わえるのがうれしい。

──世界最大級のKカルチャーフェスティバル「KCON」が今年5月に日本で開かれ、そこでデビューを果たした。そのときの気持ちは?

ジャン・ハオ ZB1として初めての(公式な)パフォーマンスだったので、このグループが何者なのかを世界に示したかった。練習生の時から僕らを見てくれていた人たちに、デビューしたアーティストとして何ができるかを見せたかった。みんなの前でZB1の誕生を発表したKCONジャパンは、本当に僕の人生の転機だったと思う。

キム・テレ パフォーマンスを終えた後、このグループをとても誇りに思った。でも、まだまだこれからだし、もっとできるはずだから、もっともっと頑張らなくてはと感じた。若さと初心を忘れずにアーティストとして成長していきたい。それがステージを降りた直後に思ったこと。

ソク・マシュー ファンの皆さんはとても楽しんでくれて、僕らはファンからもらった愛をお返ししているような気がしていた。

KCONの最後には、みんなでステージに上がって(観客に)お別れの挨拶をして、ずっと尊敬してきたソンベニム(韓国語で「先輩」)の皆さんに会うことができた。本当に光栄だった。それが僕らにとって重要だったと思う。パフォーマンスを終えた後、「ワオ、本当にあんなことをやっちゃったの?」と思った。その時「ソンベニムのようにうまくならなきゃ」と考えた。

──デビュー作のミニアルバム『YOUTH IN THE SHADE』については、どう感じている?

ハン・ユジン デビューの日にメンバーを見て、一人一人を誇りに思ったのを覚えている。もっと努力すれば、もっとうまくなって、成功をつかめると思った。個人的には、素晴らしいヒョンたちのようになれるよう、さらに努力したいと思った。デビュー以来、毎日が楽しいです。

ソン・ハンビン 僕たちがこの道を選んだのは、ゴールに向かう過程を楽しめるし、自分たちのやっていることが好きだから。『YOUTH IN THE SHADE』を準備するなかで、学ぶべきことがたくさんあることを知った。パフォーマーとして成長するだけでなく、経験を豊かにしてステージ(での存在感)を積み上げていくことも重要だと思った。

先輩や仲間たちとの関係も考えていく必要がある。この業界では大事なことだから。僕が学び、今も学び取ろうとしている最も重要なことは、新しいことを受け入れ、日々成長しなくてはということ。

──8月にはデビュー後初のコンサートを、ソウルの高尺スカイドームで開いた。

ハン・ユジン オープニング曲の「Back to ZEROBASE」でステージに出た。冒頭の部分を歌い始めたら目の前のドアが開いて、声援を上げている観客の皆さんが目に入ってきた。素晴らしい瞬間。圧倒されて、感動してしまった。

その瞬間、今日はベストを尽くさなくてはと決意を新たにした。初めてステージに立ち、開いたドアからファンを見たという特別な記憶は、永遠に心に残ると思う。

──以後、世界中のステージを制覇している。

リッキー 「KCON LA」は僕にとって特別だった。ロサンゼルスは第二の故郷で、デビュー後は初めて行った。ロスに着いた瞬間、これまでの苦労が報われた気がした。

ジャン・ハオ リッキーのママにも会えたしね!(笑)

リッキー 僕の家族が初めて(ZB1としての)パフォーマンスを見に来てくれたので、忘れられない瞬間だった。

ソク・マシュー 本当にいい思い出だと感じるのは、フランスで行われた「M COUNTDOWN」かな。特別にMCをやらせてもらったから。ああいうことをするのは初めてだったので、ちょっとプレッシャーもあった。ハンビン・ヒョンがメインMCで、一緒にやれたのはすごくいい経験だった。

そのとき、フランス語、韓国語、英語の3つの言葉をもっとうまく話せるようになりたいと思った。そうすれば将来、またMCをするチャンスが巡ってくるかもしれない。フランスは(韓国から)本当に遠くて、とても異質な感じがした。みんな(フランスを訪れるのは)初めてで、とても美しい国だと思った。

──11月に発表した新しいミニアルバム『MELTING POINT』には、どんな思いを?

パク・ゴヌク 自分たちのストーリーを伝えようという意図はデビュー作から変わっていないと思うけど、自分たちの別の面も見せたかった。『YOUTH IN THE SHADE』では、自分たちのアイデンティティーやZB1の在り方を語りたいと思った。でも『MELTING POINT』は、自分たちのサウンドを拡大し、観客やファンとストーリーを共有する新しいチャプターになっている。

発表したことのない新しいサウンドやパワフルなパフォーマンスを盛り込みたかった。チームとしてどれだけ成長できたか、どれだけケミストリーを築けたかを示したかった。もちろん、ものすごく練習したし、メンバー同士でたくさんディスカッションもした。お互いにとてもオープンになれた。

キム・テレ デビュートラックの「In Bloom」とニューアルバムの『MELTING POINT』は、(ファンと)一緒に歩んでいこうというメッセージでつながっている。(ニューアルバム所収の)「CRUSH」には「これまでの皆さんの愛と応援を胸に、僕たちは皆さんを守っていきます」というメッセージを込めた。新しいアルバムは僕らの今後の方向性と、ファンや音楽についての決意を示す場になったと思う。

この記事の初出は米グラミードットコム(GRAMMY)です。
https://www.grammy.com/news/zerobaseone-k-pop-boys-planet-world-stage-interview

■KCON JAPAN

■「In Bloom」

■「MELTING POINT」

最終結果で1位のジャン・ハオ(右)と2位のソン・ハンビン ©CJ ENM CO., LTD, ALL RIGHTS RESERVED

ハン・ユジンは最年少の16歳 ©CJ ENM CO., LTD, ALL RIGHTS RESERVED

高身長も魅力のキム・ギュビン ©CJ ENM CO., LTD, ALL RIGHTS RESERVED



イバナ・モラレス(グラミードットコム)

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