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「大炎上」したZARA広告、モデルを務めた女性のSNS投稿にも飛び火...「なぜ今こんな写真を?」と批判の声

ニューズウィーク日本版 2023年12月16日 21時0分

<白い布に包まれたマネキンなどが「ガザの悲劇を連想させる」と炎上したZARAの広告。モデルを務めた女性にも延焼>

ZARAの広告キャンペーンが大炎上している。広告で使用された写真が、「ハマスとイスラエルによるガザでの戦争と、その犠牲者を思い起こさせる」というのだ。さらには広告でモデルを務めた女性が、キャンペーン開始の翌日にZARAとは無関係なセクシーな写真を投稿したっきり沈黙してしまったため、「どういうつもりなのか」と火に油を注いでしまっている。

■【写真】「胸が透けてる」「なぜこんな時に...」 ZARA広告「大炎上」のさなか、渦中のモデルが吞気な投稿

米モデルのキルステン・マクメナミーは、スペインのファッションブランドZARAの2024年「アトリエ」コレクションの一環である「ザ・ジャケット」の広告キャンペーンの顔に起用された。この広告で使われている写真が「ガザでの戦争を彷彿させる」として、イスラエルによる軍事行動が続くなか、不適切だと大炎上したのだった。

白い布に包まれたマネキンがガザで犠牲となった人々の遺体を連想させるという声や、大きな箱が棺のように見えるという批判、床に散らばったがらくたが「がれき」のように見えると非難する声が寄せられた。

SNSは炎上状態となり、ZARA製品の不買運動を呼びかける声も上がった。これを受けてZARAはソーシャルメディア上から一連の写真を削除。声明を発表して「誤解が生じたことは遺憾だ」と表明した。

だが騒動はこれで収まらず、今度は広告に起用されたマクメナミーに人々の苛立ちが向けられることとなった。彼女は12月10日に、18万9000人のフォロワーを抱える自身のインスタグラムのアカウントに、胸が透けそうな薄手のトップスにトラックパンツを履いてポーズを取った写真を、「ゆるゆるな日曜日」という言葉と共に投稿していた。

SNSのコメント欄に並ぶ厳しい批判

だがその後、彼女が騒動について意見を述べず、投稿もストップしてしまったことについて不満を抱いた人々から、コメント欄に厳しい言葉が寄せられた。

「あなたが参加した、虐殺をテーマにした撮影について何か意見はないのか」「私は彼女のことが大好きだけど、ZARAの広告キャンペーンは吐き気がするほど最悪。あれがいいなんて、どうやったら思えるの?信じられない」「あのZARAの広告が公開された翌日に、こんな写真を投稿できる厚かましさがすごい」といった具合だ。

中にはマクメナミーを擁護する声もある。「マクメナミーを支持しているが、騒動については何かコメントを出すべきではないか」とする人もいた。

「あなたはあの写真がここまで炎上するとは思っていなかったのではないかと思う。あなたは唯一無二のモデルで、その年齢で広告キャンペーンの顔に起用されるのはすごいことだ。あなたがここまでに相当な努力を重ねてきたのは明らかだ。大勢の人の命が失われたことに加えて、兵士たちの残忍な行為は不道徳だ。あなたにアドバイザーがいるのかどうか分からないが、私だったらこの投稿を削除して、今後どうしていくのかについての自分の考えを表明する。何の声明も出さないままこのような投稿をすると、みんなはあなたもZARAのやり方に加担したのだと思うだろう」

ZARAは「誤解を招いたことを遺憾に思っている」と謝罪

イスラエルは10月7日にイスラム系過激派組織ハマスによる奇襲攻撃を受けて、ハマスが実効支配するガザ地区で軍事作戦を展開している。ハマスによる奇襲攻撃ではイスラエルの民間人1200人が死亡。約240人が拉致されてハマスの人質になった。その後、人質の一部が解放されている。

一方で、イスラエル軍による空爆や地上作戦により、ガザ地区では10月7日以降で約1万8400人のパレスチナ人が死亡している。

公開した声明の中でZARAは、問題の広告キャンペーンは7月にコンセプトを決定し、戦争が始まる前の9月に撮影を行ったものだと釈明。それでも一部からは、公開する前に写真について再検討すべきだったと批判する声が上がった。

ZARAは12月12日にソーシャルメディア上に投稿した声明の中で、「残念なことに、一部の顧客は既に削除された一連のイメージ写真に不快感を覚え、制作時の意図とはかけ離れたものとして受け止めてしまった」と述べ、さらにこう続けた。「当ブランドはこのような誤解を招いたことを遺憾に思っており、全ての人に対して深い尊敬の念を抱いていることをここに改めて明言する」



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