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飛来するロシア軍のドローン「シャヘド」の大群を、ウクライナ防空システムが次々に撃墜する映像

ニューズウィーク日本版 2024年1月7日 13時0分

<ロシア軍にとって自爆型ドローン「シャヘド」は、ウクライナを攻撃する安価で効果的な手段となっている>

ロシアからウクライナ南部に飛来した大量のドローンを、ウクライナ軍の防空システムが撃墜する様子を捉えたとされる動画が公開された。撃墜されたドローンはロシア軍が保有する自爆型ドローン「シャヘド」で、これまでにも繰り返しウクライナへの空爆に使用されてきたものだ。

■【動画】ロシアから記録的な数の「ドローンの大群」が襲来...ウクライナ防空システムが次々「撃墜」する映像

ウクライナ空軍司令官のミコラ・オレシチュク中将が1月2日にインターネット上に投稿した短い動画は、ウクライナの防空システムが飛来するシャヘドを撃墜する様子を捉えたらしい複数の切り抜き映像で構成されている。オレシチュクによれば、動画はウクライナ南部で撮影された(場所は非公表)ということだ。

ロシアは2022年2月にウクライナへの本格侵攻を開始して以降、イランが設計した自爆型ドローン「シャヘド」を使ってウクライナ国内の標的に対する容赦ない攻撃を行ってきた。標的に接近して自爆するドローンは、ロシア軍にとってウクライナの各都市や主要なエネルギーインフラを攻撃する上での「安価かつ効果的」な手段だ。

ウクライナの防空システムはこれまでにも、こうしたドローンを高い成功率で撃墜してきたが、ドローンは検知されずに接近してくることも多い。

年末には年越しの一斉攻撃で90機が襲来

こうしたなか1月2日、ウクライナ軍は空軍の防空システムが夜間に35機のシャヘドを撃墜したと発表した。これらのドローンは、ロシアの支配下にあるクリミア半島とロシア南部のクラスノダールから飛来したものだという。

この前日(1日)にウクライナは、ロシア軍が年越しの一斉攻撃で「記録的な数」のシャヘドでウクライナを攻撃してきたと述べた。ロシア側はロシア南部とクリミアの4カ所から計90機のシャヘドを打ち上げ、さらに大量のミサイルも発射。ウクライナ政府によれば、ウクライナ軍はこのうち87機のシャヘドを破壊した。

さらに1日、ウクライナ空軍の発表によれば、ロシア軍は現地時間の午後2時頃にもさらに10機のシャヘドを使った攻撃を仕掛けてきたという。

ロシア軍は2023年12月31日には49機のシャヘドを使った攻撃を仕掛け、ウクライナはこのうち21機を迎撃したとしている。ドローンは主にウクライナ南部のヘルソン、ミコライウやザポリージャを標的としたが、ハルキウにも襲来したということだ。ウクライナ軍は2023年12月、ロシアは「ウクライナを毎日、異なる方向から攻撃する」のに十分な数のシャヘドを保有していると警告していた。

検知されにくい「改造版シャヘド」も登場

イギリスの防衛関係者は12月半ば、ロシアが5カ所目のシャヘド発射場を有していることを確認したと述べた。これまで確認されていたクリミア半島のチャウダ岬、ロシア国内のエイスク、クルスクとプリモルスコ・アフタルスクに加えて、クリミア半島の港湾都市セバストポリの南部にあるバラクラバにもシャヘドの発射場が設けられた。

ウクライナ軍の当局者らは2023年11月後半、ロシアがシャヘドの改造版をウクライナに送り込むようになっていると述べていた。この改造版シャヘドは、ウクライナの防空システムに検知されにくいように、従来のシャヘドよりも黒っぽい色に塗られ、炭素繊維で作られているという。

ウクライナのドローンの第一人者であるミハイロ・フェドロフ副首相兼デジタル改革担当相は2023年12月に本誌に対して、ウクライナ政府は「シャヘド対策を開発中」だと述べた。ウクライナは飛来するシャヘドを検知することに重点を置きつつ、独自の長距離ドローンの開発と生産を行っていると彼は述べ、さらにこうつけ加えた。「昨年(2022年)よりもずっと多い数を生産している」



エリー・クック

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