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韓国ユーチューバー、新大久保でも話題のスイーツ「タンフル」で大炎上 虚偽の契約で専門店オープンか

ニューズウィーク日本版 2024年1月18日 17時0分

<日本でも注目を集めつつある韓国スイーツをめぐりユーチューバーが炎上>

クロワッフル、トゥンカロン、クルンジ......。トレンドの移り変わりの激しい韓国では、スイーツも次から次へと新しいものが登場している。そうした新しい韓国スイーツをめぐって、160万人ものフォロワーを抱えるユーチューバーが炎上騒動を巻き起こした。インサイト、YTN、韓国日報などの韓国メディアが報じた。

新大久保にも進出した話題の韓国スイーツ「タンフル」

近年、K-POPや韓国ドラマが世界的に人気を集めるなか、韓国料理も世界中から注目されるようになり、グーグルが発表した2023年の年間検索ランキングでレシピ部門の1位は韓国料理のビビンパが獲得している。そんな世界的なトレンドになりつつある韓国料理のなかで、日本でも注目されているのが韓国スイーツ。なかでも最近話題になっているのが「タンフル(탕후루)」だ。

タンフルは、いちごやマスカット、みかんなどを数個竹串に刺して、それにシロップをかけて固めたもの。日本でいえば屋台などで売られているりんご飴のようなものだ。「韓国最新スイーツ」というものの、もともとは糖葫芦(とうころ)と呼ばれる中国北方起源の伝統的な冬のおやつで、サンザシをシロップで固めたお菓子だった。それが韓国に伝わりさまざまなフルーツを使うように現代流にアレンジされ、インスタ映えするということで昨年後半からMZ世代を中心に一気にトレンドになった。

日本でも昨年暮れには新大久保などでタンフルを提供する専門店がオープンするなど、今話題の韓国スイーツとなっている。

いちごのタンフル(Theodoranian/CC BY-SA 3.0 DEED/Wikimedia Commons)

人気インフルエンサーもタンフルに夢中

若い世代でトレンドとなっているとあれば、放っておかないのがインフルエンサー。タンフルについても多くのインフルエンサーがモッパン(食事のようすを中継する動画配信)をしたり、実際に作ってみたりしてネットを賑わせている。

そんななか、ただ食べたり作ったりするだけでは気が済まないと、タンフルの専門店をオープンさせたインフルエンサーがいる。22歳の現役女子大生インフルエンサー、チン・ジャリムだ。童顔でYouTubeで66万人、TikTokで43万人、Instagramで19万人、Twitchで32万人と合計160万人ものフォロワーを抱える超人気インフルエンサーだが、そんな彼女がオープンしたタンフル専門店をめぐって、ネットで大炎上となっている。一体何が起きたのか?

タンフル専門店、まさかの出店場所は

昨年10月29日、彼女はYouTubeに「憂鬱だったある日、タンフルのモッパン動画を見ました。それで偶然食べたタンフルで心が落ち着くことに気がついた」と投稿。「多くの人にこのような気持ちを共有し、お店の立ち上げ過程も知らせたい」とタンフル専門店をオープンする計画を明らかにした。この動画を投稿して以降、タンフルのレビュー動画などを掲載し、開店に向けた準備の様子も掲載した。チャンネル購読者たちは「チン・ジャリムだけのタンフルを期待します」と応援した。

そして1月13日、彼女は自身のYouTubeに動画を投稿して「今月末、京畿道華城市(キョンギド·ファソンシ)のとあるビルの1階にタンフルのお店をオープンします」と明らかにして、「タンフルの流行は落ちついたけど開業をしないと後悔すると思った」「失敗するのも経験だと思う」と話した。

ところが、チン·ジャリムが公開した店の位置は「王家タンフル」というチェーン店と同じビルで、しかもすぐ隣りだということが明らかになりネットで議論が巻き起こった。「同業店舗のすぐそばに店を開業することは違法ではないが商道徳に反する」「人と人の間で守らなければならない最小限の倫理」「あなたにとっては失敗してもいいただの遊びかもしれないが、隣のタンフル店主にとっては生業」と続々とチン·ジャリムへの批判が投げかけられたのだ。

地元の反発を恐れて偽装も!?

さらに問題を大きくしたのは、チン·ジャリムが店舗を不動産会社と契約する際に「デザートカフェを開く」と話していたためだ。

突然、ライバル店の登場を知った隣のタンフル店の店主は「流行が収まって売上減少で苦しんでいたが、同じビルのすぐ隣に有名YouTuberがタンフル店を開くと聞いて衝撃を受けた」と戸惑いを隠せない様子だったという。

また、周辺の不動産業者は「チン·ジャリムが直接物件を見て店舗の賃貸契約をした」と語り、「彼女は『デザートカフェを準備しているが、最近タンフルも人気なのでデザートの一部品目に入る』と話していた」と述べて、地元の反発を恐れて店の実態を隠したまま準備を進めていたことを証言した。

公認会計士の指摘した争点は

こうしたチン・ジャリムの問題について、「青春不動産」というYouTubeチャンネルを運営するある公認仲介士(日本の宅地建物取引士に相当)は、「一般に一つの建物に同業他社が入っても問題ないし、実際にそういう事例は多い」と語り、「結局は一般のタンフル店の隣に有名YouTuberが同じ業種の店を開いたというのが人々の認識の中で良くないように見えるのだ」と述べた。

その一方で、彼は「法的な問題の余地は色々ある」と話した。それによると、一つは賃貸契約の特約の有無だという。隣のタンフル店が賃貸契約時に「同一業種入店不可」という特約を入れていたら問題になる。特約がある場合、既存のタンフル店側は大家に対して訴訟が可能だ。大家の立場からも「知らなかった」としてチン·ジャリムに訴訟を起こすことができる。韓国では店の契約時に通常特約をかけるという。

またこの公認仲介士は、該当地域近隣の商店街1階の賃貸物件を探して「多くの空き物件があるのにあえて王家タンフルの隣を選ぶ必要があったのか」とチン·ジャリムの行動に疑問を投げかけた。

ちなみに一連の騒動に対してチン・ジャリム自身は何の反応も示しておらず、当初予定していた動画配信サービス「アフリカTV」でのライブ配信もキャンセルした状態だ。

【動画】タンフルでモッパンをするチン・ジャリム

YouTubeやインスタグラムなどのフォロワー合計数が160万人という人気

■関連動画□ 진자림 Jinjalim / YouTube

【画像】今、話題の韓国スイーツ「タンフル」

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タンフルカフェの「おまかせ」メニュー。トマトや黒豆のタンフルもある。
  
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クリスマスバージョンのタンフル。
  
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韓国の居酒屋で近年トレンドとなっているハイボールとタンフルを組み合わせた「タンフル・ハイボール」も人気だ。

ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

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