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まずは「プッシュアップ」からマスターせよ!...超初心者でもできる「自重トレーニング」とは?

ニューズウィーク日本版 2024年1月21日 10時15分

<最も簡単、かつケガや治癒を促す「プッシュアップ」とは? 図解になり、さらにわかりやすくなった自重トレーニング「秘伝の書」より>

日本でも定着した「自重トレーニング」だが、その教典となっているのが「囚人」ポール・ウェイド氏による『プリズナートレーニング 圧倒的な強さを手に入れる究極の自重筋トレ』(CCCメディアハウス)である。

しかし、主にテキストを読み解かなくてはならないため、トレーニングの知識がない人にとっては、そのトレーニング方法はやや難しいとされてきた。そこで誕生したのが、『完全図解版 プリズナートレーニング 自重力で筋力を作る方法のすべて』。「気に入った!」とポール・ウェイド氏本人のお墨付きの本書よりプッシュアップの章を抜粋掲載する。

◇ ◇ ◇

STEP1 ウォール・プッシュアップ

『完全図解版 プリズナートレーニング 自重力で筋力を作る方法のすべて』60-61頁より

1. 壁から少し離れて足を揃えて立ち、手のひらを壁に置く。
2. 額が壁にやさしく触れるまで、肩と肘を曲げる。
POINT 1.に戻り、繰り返す。

■説明

最も簡単にできるプッシュアップであり、ちょっとしたケガや手術からの治癒を促す。また、筋力を少しずつ取り戻すのにも役立つ。

肘、手首、肩は、トレーニングによって慢性や急性の障害を受けやすい。このエクササイズは、これらの部位をおだやかに刺激して血流をよくし、調子を整え、強くする。初心者は無理のないスタートを切るべきであり、ウォール・プッシュアップはキャリステニクス入門に適している。

■トレーニング・ゴール

初心者の標準→10レップスを1セット
中級者の標準→25レップスを2セット
上級者の標準→50レップスを3セット

■技術を完璧にするために

腕を肩幅に広げ、胸の高さでまっすぐ伸ばしたところからスタートする。ケガや手術から復帰した後であれば、体をどの程度動かせるかのテストとして使えるし、リハビリポイントを特定できる。

STEP2 インクライン・プッシュアップ

『完全図解版 プリズナートレーニング 自重力で筋力を作る方法のすべて』62-63頁より

1. 足を揃え、机から少し離れて立つ。机に向かって傾斜し、肩幅に広げた手でへりをつかむ。
POINT 身長のおよそ半分(股関節の高さ付近)の、頑丈な机などを使う。
2. 胸が机にやさしく触れるまで、肩と肘を曲げながら傾斜していく。

■説明

ステップ1よりも低い位置(股関節の付近)を押すことで、上半身の筋肉がより多くの体重を動かすことになるエクササイズだ。

古典的なフル・プッシュアップ(ステップ5)よりも簡単で、大きな負荷がかからない。それでいて、プッシュアップするための筋力を無理のない形で確実につけていく。リハビリにも使える。

■トレーニング・ゴール

初心者の標準→10レップスを1セット
中級者の標準→20レップスを2セット
上級者の標準→40レップスを3セット

■技術を完璧にするために

1.を45度の角度で始めることがポイントになる。45度で「初心者の標準」がクリアできない場合は、より体を起こした角度から始める。股関節より高い机などに手を置くということだ。その机をクリアしたら、徐々に角度を小さくして、最終的に45度になるようにする。

STEP3 ニーリング・プッシュアップ

『完全図解版 プリズナートレーニング 自重力で筋力を作る方法のすべて』64-65頁より

1. 足を揃えて床に膝をつく。目の前の床に手のひらをつく。
POINT 足首を重ね、股関節をまっすぐにする。
2. 膝を軸にして、肩と肘を曲げ、胸が床からこぶしひとつ分のところにくるまで体を下ろしていく。

■説明

ステップ3は、膝を使ってのプッシュアップだ。うつ伏せになって行うプッシュアップの中で、最も簡単なものだ。

立って行うステップ1や2と、難しくなっていくステップ4以降の橋渡しとなるエクササイズであり、初心者にとって重要なステップになる。

比較的簡単に上半身を上げられるので、難度が高いプッシュアップを行う前のウォーミングアップとして使ってもいい。

■トレーニング・ゴール

初心者の標準→5レップスを1セット
中級者の標準→15レップスを2セット
上級者の標準→30レップスを3セット

■技術を完璧にするために

難しい場合は、動作域を小さくする。体を沈めすぎないようにするのだ。

快適に行える動作域で、レップス数を多めにする(およそ20レップス)。そこからレップス数は多いまま、こぶしひとつ分のプッシュアップができるまで、徐々に動作域を大きくしていく。

STEP4 ハーフ・プッシュアップ

『完全図解版 プリズナートレーニング 自重力で筋力を作る方法のすべて』66-67頁より

1. 肩幅に手を広げて床につく。太ももからつま先までの下半身を揃え、背中、腰、脚を一直線にする。
POINT 股関節の真下にバスケットボールなどを置くと、どこまで下降すべきかの指標にできる。
2. 肘が直角になるまで(股関節がボールにやさしく触れるまで)、肩と肘を曲げながら体を下ろしていく。

■説明

プッシュアップの正しいフォームを習得するためのエクササイズだ。

股関節を曲げ、尻を突き出す誤ったフォームでプッシュアップしている人が多い。これは、ウエストと脊柱(せきちゅう)の筋肉が弱いことが原因になっている。股関節を固定してまっすぐにすれば、ウエストと脊柱にある筋肉を鍛えることができる。

■トレーニング・ゴール

初心者の標準→8レップスを1セット
中級者の標準→12レップスを2セット
上級者の標準→25レップスを2セット

■技術を完璧にするために

正しいフォームでできなければ、バスケットボールを股関節の下ではなく、膝下に置いて動作域を小さくする。

膝がボールに接触するまで体を下ろすこのクォーター(1/4)・プッシュアップが10レップス以上できるようになったら、練習するごとに、ボールを少しずつ股関節下に向かって移動させていく。

STEP5 フル・プッシュアップ

『完全図解版 プリズナートレーニング 自重力で筋力を作る方法のすべて』68-69頁より

1. 太ももと足を揃え、肩幅に広げた手を、胸上部の真下につく。腕はまっすぐ伸ばす。
POINT 胸の真下に野球かテニスのボールを置く。
2. 胸がボールにやさしく触れたら一時停止し、体を押し上げる。
POINT 監獄内でのプッシュアップ競技では、カウントする人が手の小指側を床に押しつけてこぶしをつくる。選手の胸がその人の親指の関節に触れたら1カウントだ。

■説明

ほとんどの人が体育の時間に習った「古典的な」プッシュアップだ。「プッシュアップ」と聞くと、ほとんどの人はこのフル・プッシュアップを思い浮かべるだろう。

優れた上半身運動であり、腕、胸、肩帯を効率よく鍛える。

■トレーニング・ゴール

初心者の標準→5レップスを1セット
中級者の標準→10レップスを2セット
上級者の標準→20レップスを2セット

■技術を完璧にするために

ステップ4を卒業していれば、バスケットボールを股関節下に置いてのハーフ・プッシュアップが25レップスできるはずだ。

その25レップスを保ちながら、練習ごとにボールを数センチずつ(あるいは可能な位置まで)顔のほうに移動させていく。

バスケットボールに顎(あご)が触れるようになったら、野球やテニスボールを使ったフル・プッシュアップに挑戦する。

STEP6 クローズ・プッシュアップ

『完全図解版 プリズナートレーニング 自重力で筋力を作る方法のすべて』70-71頁より

1. 太ももと足を揃え、肩幅に広げた手を、胸上部の真下につく。両手の人差し指を触れ合わせる。
POINT 両手を重ねたり、親指と人差し指で「ダイヤモンド」の形をつくったりする必要はない。
2. 胸が手の甲にやさしく触れるまで、体を下げていく。

■説明

ワンアーム・プッシュアップ(ステップ10)を習得する上で、とても大切なエクササイズ。

ステップ10ができない原因の多くは、腕が最も鋭く曲がるボトムポジションから脱出できないことにある。直角を超えて曲がった時の肘が弱いためだ。

ステップ10と比べて、ステップ6は肘をより曲げた姿勢でボトムポジション(2.)に達する。ここまで肘を曲げると、上腕三頭筋だけでなく、肘と手首の腱が強くなるので、ステップ10のボトムポジションでの体のコントロールが容易になる。

■トレーニング・ゴール

初心者の標準→5レップスを1セット
中級者の標準→10レップスを2セット
上級者の標準→20レップスを2セット

■技術を完璧にするために

うまくできない場合はステップ5に戻り、〝上級者の標準〞で示したレップス数のまま、練習ごとに3〜5センチずつ手を近づけていき、最後に、両手の人差し指を触れ合わせる。

STEP7 アンイーブン・プッシュアップ

『完全図解版 プリズナートレーニング 自重力で筋力を作る方法のすべて』72-73頁より

1. 片腕でしっかり体を支え、もう一方の手をバスケットボールの上に置く。
POINT 両手は、肩の真下につく。
2. バスケットボールの上に置いた手に胸が触れるまで、肩と肘を曲げながら体を下ろしていく。

■説明

両腕を使うプッシュアップから、片腕しか使わないワンアーム・プッシュアップに向かう最初のエクササイズになる。

バスケットボールを安定させようとする動作が日頃あまり使わないローテーターカフ(回旋筋腱板〔かいせんきんけんばん〕)をかかわらせて鍛え、これ以降のより激しいプッシュアップへの準備になる。

硬さがあるサッカーボールを使ってもいいが、バスケットボールであれば、そのやわらかい表面がグリップを鍛える。

■トレーニング・ゴール

初心者の標準→5レップスを1セット(片腕ずつ)
中級者の標準→10レップスを2セット(片腕ずつ)
上級者の標準→20レップスを2セット(片腕ずつ)

■技術を完璧にするために

うまくできないのは、バランスを取る力が欠けているからだ。その場合、レンガなどを用いる。

平らなレンガ1つに片手を乗せて20レップスできたら、もう1つ重ねて20レップス。レンガを3つ重ねて20レップスできたら、バスケットボールに戻る。

STEP8 ハーフ・ワンアーム・プッシュアップ

『完全図解版 プリズナートレーニング 自重力で筋力を作る方法のすべて』74-75頁より

1. 片手を胸骨の下の床に置き、腕をまっすぐ伸ばす。もう一方の手は腰のくびれた部分に置く。
POINT 股関節の下にバスケットボールを置く。
2. バスケットボールの上部に股関節がやさしく触れるまで、肩と肘を曲げながら体を下ろしていく。
POINT 上腕三頭筋が弱いと体幹をねじりたくなる。それに耐えて体を一直線に保つ。

■説明

ここでついに、両腕を使ったエクササイズから、片腕のみのエクササイズに移る。このステップは重要だ。ステップ10をマスターするのに必要なバランスと姿勢を学ぶからだ。

また、片腕のみで全体重を支えることで、これ以降のステップに必要な手、手首、肩の関節を強化する。このステップでは肘を大きく曲げる必要がなくなる。そのため、ステップ6や7など、ボトムポジションで90度を超えて肘を曲げるエクササイズを同時に行うようにする。

■トレーニング・ゴール

初心者の標準→5レップスを1セット(片腕ずつ)
中級者の標準→10レップスを2セット(片腕ずつ)
上級者の標準→20レップスを3セット(片腕ずつ)

■技術を完璧にするために

できない場合は、膝の下にボールを置いたクォーター・プッシュアップから始める。徐々にバスケットボールを胸のほうに移動し、動作域を大きくしていく(本書67ページ参照)。

STEP9 レバー・プッシュアップ

『完全図解版 プリズナートレーニング 自重力で筋力を作る方法のすべて』76-77頁より

1. プッシュアップの姿勢から片手を離し、体の横にあるバスケットボールの上に置く。
2. 胸が床からこぶしひとつの位置にくるまで体を下ろす。
POINT 胸の下に野球やテニスのボールを置けば深さを確認できる。

■説明

レバー・プッシュアップを正しく行うのは、ステップ10と同じくらい難しい。これが、プッシュアップ・シリーズの中で最後から2番目にある理由だ。

体から離れていくボールをコントロールするため、ボールを保つほうの腕には力がほとんど入らない。その結果、体を支えているほうの腕に大きな負荷がかかる。ステップ10でボトムポジションから抜け出る強さを、このステップで培う。

■トレーニング・ゴール

初心者の標準→5レップスを1セット(片腕ずつ)
中級者の標準→10レップスを2セット(片腕ずつ)
上級者の標準→20レップスを2セット(片腕ずつ)

■技術を完璧にするために

ボールに置いたほうの腕に力を入れるのが難しい。できない時は、肘を曲げ、ボールを体に近づけると簡単になる(近づけすぎると、ステップ7と同じになってしまうので注意する)。

ボールを徐々に体から離し、腕をまっすぐ伸ばせるようになるまで練習する。

THE MASTER STEP STEP10──ワンアーム・プッシュアップ

『完全図解版 プリズナートレーニング 自重力で筋力を作る方法のすべて』78-79頁より

1. 脊柱と股関節を一直線にして、腕とつま先に体重を移動する。支えている腕は、胸のまっすぐ下にくる。
POINT バランスが取れたら、空いている手を腰のくびれた部分に置く。
2. 肩と肘を曲げ、顎が床からこぶしひとつ離れた位置にくるまで、体をコントロールしながら下ろしていく。

■説明

理想的なフォームのワンアーム・プッシュアップは、その人の胸と肘が持つ凄まじいパワーの表れだ。

これができると主張するアスリートを観察すると、脚を広げたり、醜く体幹をねじったり、激しくグラグラしながらわずかなレップス数しかできない場合が多い。

本物は、幻の野獣のようなものだ。絶滅の危機に瀕するこの野獣になる努力をしてほしい。

■トレーニング・ゴール

初心者の標準→5レップスを1セット(片腕ずつ)
中級者の標準→10レップスを2セット(片腕ずつ)
上級者の標準→100レップスを1セット(片腕ずつ)

■技術を完璧にするために

ステップ9をマスターしていれば、それほど難しくはない。

正しいフォームで5レップスできなければ、ステップ9に戻り、完全なフォームで20レップスできることを確かめる。それでもうまくいかない場合は、ステップ9を30レップスできるようにしてから再チャレンジ。

『完全図解版 プリズナートレーニング 自重力で筋力を作る方法のすべて』
  ポール・ウェイド [著]
  山田雅久 [訳]/イワイヨリヨシ[イラスト]
  CCCメディアハウス[刊]
  
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 『プリズナートレーニング 圧倒的な強さを手に入れる究極の自重筋トレ』
  ポール・ウェイド [著]/山田雅久 [訳]
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ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

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