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イスラエル軍がハマスの人質部屋なるものを公開

ニューズウィーク日本版 2024年1月22日 15時26分

<イスラエル軍がガザ地区の地下に掘られたハマスの地下トンネル網を調査し、捕虜が拘束されていた牢屋の画像を公表した>

イスラエル軍は、ガザ地区の地下トンネル網と、イスラエルの人質が囚われていたと思われる独房を写した画像を新たに公開した。

ガザ地区のハマスやその他のパレスチナ武装勢力は、10月7日の前代未聞のイスラエル攻撃でイスラエル人1200人を殺害し、その際に捕らえた230人を超える人質のうち、100人以上をいまだに拘束している。

 

【画像】人質救出に一歩近づいたと言いたげなイスラエル軍の発表

ハマスの攻撃に続いてイスラエルはガザ地区にこれまでに類を見ない大規模攻撃を行った。ハマスが支配するガザ地区の保健当局によれば、空爆と地上攻撃によって死亡したパレスチナ人は2万5000人に及ぶ。
 
本誌に送られたイスラエル軍の声明によると、人質が捕らえられていたと思われるトンネルは、長さ800メートル以上、深さ約20メートル。イスラエル軍が公開した動画や写真の内容について、ハマスは直ちにコメントを出すことはなく、独自に確認することもなかった。

イスラエル軍によると、このトンネルの動画はガザ地区南部のハーン・ユーニス市で記録された。

「このトンネルは、ハマスのテロ組織がハーン・ユーニスの地下に掘った分岐する地下ネットワークの一部だった」と、イスラエル軍は説明している。「本調査の修了後、トンネルは破壊された」

罠だらけの地下通路

イスラエル軍によると、トンネルの入り口にはブービートラップが仕掛けられており、兵士が中に入ると、多くの障害物、爆発物、スライドドア、防爆扉があったという。トンネル内にはおよそ20人の人質が収容されていたと見られている。

「トンネル内を進んでいた兵士たちは、多数のテロリストに遭遇した」と、イスラエル軍は発表した。「兵士たちは彼らと戦い、排除した。兵士たちがトンネルにたどり着いたとき、人質はすでにいなかった。別の場所に移されていた」

イスラエルは、ハマスの壊滅とガザからの攻撃を防ぐこと、そしていまだに拘束されている人質を確実に取り戻すことを目標としていると宣言している。この戦争により、ガザに住む230万人のうち約85%が避難せざるをえなくなった。

イスラエル軍はガザ北部の大部分を制圧し、ガザ地区南部に向けた作戦を継続している。イスラエル軍兵士が人質トンネルを発見したハーン・ユーニス周辺では、激しい戦闘が続いている。

イスラエル軍によれば、トンネルの入り口は「ハマスのテロリスト」の住居内で発見された。地下通路は市内の「民間人居住区の中心部にあった」と、イスラエル軍は付け加えた。

トンネルを調査していたイスラエル軍は、人質が囚われていた「中央の部屋」と5つの鉄格子が入った牢屋を発見した。ハマスの武器や情報を発見したことに加えて、人質がそこに拘束されていた証拠を発見したと言われている。

画像のなかには、人質が拘束されている場所までの地下トンネルとされるルートを示す航空写真も含まれている。

人質の家族や支援者たちは20日、テルアビブやイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相官邸前で集会を開いた。昨年末、一時的な戦闘停止中に何人かの人質が解放されており、家族らは残りの人質を帰国させるための新たな取引が可能だと信じていると語った。

「慈悲と懇願の時代は終わった。今、私たちは要求する。取引はすでに提案されている。彼らを救うのはあなた方の責任です!」と、人質・行方不明者家族フォーラム本部は声明で述べた。

この集会では、ハマスに捕らわれ、3人の子供たちとともに捕虜としてガザで51日間過ごしたチェン・ゴールドスタイン・アルモグも話をした。彼女の夫と長女は殺されている。

「私たちが解放されたとき、人質の女性たちと別れたが、彼女たちはかろうじて持ちこたえている状態だった」とアルモグは語った。「今、女性たちはどうなっているだろうか。医学的、肉体的、精神的にどういう状態になっているだろうか。まだ虐待に耐えているのだろうか?」



マウラ・ズーリック

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