<生まれながらにしての王位継承者ではなかった、マルグレーテ2世。退位の署名時に襟元につけていたブローチを贈ったのは誰か? そしてその意味について>
1月14日、デンマークのマルグレーテ2世女王が退位し、息子のフレデリック10世に王位を譲った。互いをリリベットとデイジーと呼び合った「親友」エリザベス女王の逝去後は唯一の女王となり、ヨーロッパで最も長い在位期間を誇ったマルグレーテ2世。
その52年在位の最後の日を赤紫色のコートドレスで臨んだ女王だが、襟元にちらりと見えた馬蹄型のブローチが女王の決意と歴史を物語っていたのだ。
■【拡大写真】マルグレーテ2世の馬蹄型のブローチ を見る
新国王フレデリック10世が見守る中、襟元に馬蹄型のブローチを着用して退位の署名をしたマルグレーテ2世 Ritzau Scanpix/Mads Claus Rasmussen via REUTERS
ヨーロッパでは魔除けと幸運の意味がある「馬蹄(ホースシュー)」のブローチ。マルグレーテ2世が身に着けていたのは、父・フレデリック9世から1953年に贈られたものだ。当時まだ13歳だった王女がなぜ、この小さなルビーが施された馬蹄型のブローチを国王である父から贈られたのか?
それは1953年に法改正が行われたことで女性にも王位継承権が与えられ、王位継承順位に変更があったからだ。生まれながらにして王位継承者ではなかったマルグレーテ王女(当時)は、この時に13歳で王太子となった。その祝いに父である国王から贈られたのが、その馬蹄型のブローチである。
それから約20年後の1972年1月15日、デンマークは初の女王を迎えた歴史的な日となった。しかし、その前日14日に父である国王を亡くしてばかりの新女王は黒い喪服に、このブローチを身に着けていた。最愛の父を悼みながら、初の女王としての決意の即位であった。
■【写真】馬蹄型のブローチを喪服に着用して即位したマルグレーテ2世 を見る
そして今回の退位に際して、その馬蹄型のブローチを再び着用したマルグレーテ2世。それは女王としての務めを十分にやり遂げたことを父に報告する意味もあったのであろう。52年間の大きな責務から解放された女王が退位の署名後に部屋を出る後ろ姿は凛々しくも寂し気で、涙を誘うシーンとなった。
■【写真】退位の署名後に部屋を去ったマルグレーテ2世の後ろ姿 を見る
「最期まで女王であり続ける」とたびたび発言してきたマルグレーテ2世の突然の退位発表は世界を驚かせた。しかし、元女王の動向はいまだメディアに注目され続けるなど、新国王フレデリック10世も母の人気ぶりに打ち勝つのはそう簡単ではなさそうだ。
ちなみにフレデリック10世国王と孫のクリスチャン王太子(18歳)が海外に出るなど国事に関わる公務に就けない時は、マルグレーテ2世は国王代理を務めることが法律上は可能だという。その時にまた、馬蹄型のブローチを着用する姿を見られるかもしれない。
馬蹄型のブローチを喪服に着用して即位したマルグレーテ2世
Ritzau Scanpix/Aage Soerensen via REUTERS
1972年1月15日、マルグレーテ2世は1953年に父から贈られた馬蹄型のブローチを喪服に着用してクリスチャンボー城で即位した。
【拡大写真】マルグレーテ2世の馬蹄型のブローチ
フレデリック10世が見守る中、襟元に馬蹄型のブローチを着用して退位の署名をしたマルグレーテ2世 Ritzau Scanpix/Mads Claus Rasmussen via REUTERS
フレデリック10世が見守る中、襟元に馬蹄型のブローチを着用して退位の署名をしたマルグレーテ2世 Ritzau Scanpix/Mads Claus Rasmussen via REUTERS
退位の署名後に部屋を去ったマルグレーテ2世
王位を息子に譲り、大きな責任から解放された女王の後ろ姿は凛々しくも寂し気で涙を誘った。
退位の署名を行うマルグレーテ2世
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1月14日、デンマークのマルグレーテ2世女王が退位し、息子のフレデリック10世に王位を譲った。互いをリリベットとデイジーと呼び合った「親友」エリザベス女王の逝去後は唯一の女王となり、ヨーロッパで最も長い在位期間を誇ったマルグレーテ2世。
その52年在位の最後の日を赤紫色のコートドレスで臨んだ女王だが、襟元にちらりと見えた馬蹄型のブローチが女王の決意と歴史を物語っていたのだ。
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新国王フレデリック10世が見守る中、襟元に馬蹄型のブローチを着用して退位の署名をしたマルグレーテ2世 Ritzau Scanpix/Mads Claus Rasmussen via REUTERS
ヨーロッパでは魔除けと幸運の意味がある「馬蹄(ホースシュー)」のブローチ。マルグレーテ2世が身に着けていたのは、父・フレデリック9世から1953年に贈られたものだ。当時まだ13歳だった王女がなぜ、この小さなルビーが施された馬蹄型のブローチを国王である父から贈られたのか?
それは1953年に法改正が行われたことで女性にも王位継承権が与えられ、王位継承順位に変更があったからだ。生まれながらにして王位継承者ではなかったマルグレーテ王女(当時)は、この時に13歳で王太子となった。その祝いに父である国王から贈られたのが、その馬蹄型のブローチである。
それから約20年後の1972年1月15日、デンマークは初の女王を迎えた歴史的な日となった。しかし、その前日14日に父である国王を亡くしてばかりの新女王は黒い喪服に、このブローチを身に着けていた。最愛の父を悼みながら、初の女王としての決意の即位であった。
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そして今回の退位に際して、その馬蹄型のブローチを再び着用したマルグレーテ2世。それは女王としての務めを十分にやり遂げたことを父に報告する意味もあったのであろう。52年間の大きな責務から解放された女王が退位の署名後に部屋を出る後ろ姿は凛々しくも寂し気で、涙を誘うシーンとなった。
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「最期まで女王であり続ける」とたびたび発言してきたマルグレーテ2世の突然の退位発表は世界を驚かせた。しかし、元女王の動向はいまだメディアに注目され続けるなど、新国王フレデリック10世も母の人気ぶりに打ち勝つのはそう簡単ではなさそうだ。
ちなみにフレデリック10世国王と孫のクリスチャン王太子(18歳)が海外に出るなど国事に関わる公務に就けない時は、マルグレーテ2世は国王代理を務めることが法律上は可能だという。その時にまた、馬蹄型のブローチを着用する姿を見られるかもしれない。
馬蹄型のブローチを喪服に着用して即位したマルグレーテ2世
Ritzau Scanpix/Aage Soerensen via REUTERS
1972年1月15日、マルグレーテ2世は1953年に父から贈られた馬蹄型のブローチを喪服に着用してクリスチャンボー城で即位した。
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フレデリック10世が見守る中、襟元に馬蹄型のブローチを着用して退位の署名をしたマルグレーテ2世 Ritzau Scanpix/Mads Claus Rasmussen via REUTERS
フレデリック10世が見守る中、襟元に馬蹄型のブローチを着用して退位の署名をしたマルグレーテ2世 Ritzau Scanpix/Mads Claus Rasmussen via REUTERS
退位の署名後に部屋を去ったマルグレーテ2世
王位を息子に譲り、大きな責任から解放された女王の後ろ姿は凛々しくも寂し気で涙を誘った。
退位の署名を行うマルグレーテ2世
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