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ルーマニアを飛び立ったF-16戦闘機がロシア軍を空爆?

ニューズウィーク日本版 2024年1月31日 18時25分

<ロシア軍機の謎の撃墜が相次ぐため、既にアメリカ製のF-16戦闘機がウクライナ軍のてに渡っているのではないかと、様々な憶測が飛び交っている。果たして真相は>

NATO加盟国のルーマニアは、同国にある基地から飛び立ったF-16戦闘機が、ウクライナ南部を占領するロシア軍を空爆したとする真偽不明の情報を否定した。米国製のF-16戦闘機が数十機、ウクライナへと引き渡されるのを間近に控え、憶測や噂が飛び交うなかでのことだ。

NATO加盟国は、ウクライナ空軍の強化を支援するべく、F-16を供与する準備を進めている。F-16をめぐるこの最新の虚偽情報の出どころは、X(旧ツイッター)アカウント「Ukraine Front Lines」のようだ。

 

Ukraine Front Linesは何の証拠も提示せずに、ロシア連邦軍参謀本部はロシア連邦安全保障会議に対し、黒海の港湾都市コンスタンツァに近いルーマニアの空軍基地から発進したF-16Cが、ロシアに一部占領されているウクライナ南部のヘルソン州にあるロシア軍兵站地に「空爆した」と報告したという。

「モスクワは戦々恐々としている」と同アカウントは述べている。「ウクライナ国内の基地がF-16を配備する可能性はまだないが、準備が整った同盟国の基地と地上要員は早速、使われている」

【動画】F-16はなぜロシアに恐れられるのか──性能のすべて

Ukraine Front Linesの主張に対し、ルーマニア国防省は、みずからのXアカウント上で即座に異を唱えた。

「Xプラットフォーム上のアカウントに投稿されたフェイクニュースに注意してほしい。F-16C戦闘機が1月27日にコンスタンツァの第86空軍基地から発進し、ヘルソン市近くのロシア軍の集団を3時22分に空爆したと主張したというのはフェイクだ」

ウクライナ空軍のユーリ・イフナト報道官も1月30日、本誌に対して、この主張は誤りだと話した。

F-16が、ウクライナの空ですでに稼働していることを示す証拠はない。供与の第一弾がウクライナ国内に到着したことを示す証拠さえ存在しない。

だが、とりわけここ数か月、前線地帯において複数のロシア戦闘機が撃墜されていることから、憶測が広がっている。専門家が1月に本誌に語ったところによれば、そうした撃墜の説明としては、ウクライナが使用している地対空ミサイルシステム「パトリオット」のほうが可能性が高いという。

ウクライナ政府と支援国はF-16について、欧米が供与した他の兵器システムと同様に、ウクライナへの到着を隠しておきたいと考えている可能性がある。ロシア軍に対して最初に使用する際に、不意打ちの要素を確保するためにだ。ウクライナ軍のワレリー・ザルジニー総司令官の特別顧問を務めていたダニエル・ライスは12月にニューズウィークに、「ウクライナが新兵器を使ったときに初めて、ロシア軍はその威力を『痛感』することになる」と語っている。

ウクライナの操縦士と地上要員は現在、NATO加盟国からなる多国籍の支援連合の指導のもと、国外でF-16に関する訓練を受けている最中だ。最初のF-16戦闘機は、今後数週間もしくは数か月のうちに、ウクライナの管理下に引き渡されると見られている。

ウクライナ空軍のイフナトが1月に述べたところによれば、現在、ウクライナの操縦士6名がデンマークで訓練を受けており、春には戦闘に加わる予定だという。また、米国で訓練を受けているグループは、春以降には飛行任務の準備を終えると見込まれている。ただし、英国で訓練を受けている最も経験の浅いグループの準備が整うのは、2025年までかかる可能性がある。

(翻訳:ガリレオ)



デービッド・ブレナン

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