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クリミアにウクライナ軍が発射したストームシャドウ? ロシア対空システムS-400上空をあっさり通過か

ニューズウィーク日本版 2024年2月14日 13時20分

<ロシアの対空システムはウクライナの巡航ミサイルの攻撃を「阻止する役には立たなかった」>

ロシアが実効支配するクリミア半島に、ウクライナ軍が発射した欧州製の長距離巡行ミサイルが迫る場面とされる映像が新たに公開された。1月下旬、ロシアの航空基地が攻撃された際の映像とされている。

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オープンソース情報機関のソーシャルメディアアカウントに投稿された短い映像には、ロシアが平原に設置した対空システムS-400らしきものが見える。続いて映る一瞬の映像は、クリミア半島西部に向かって飛翔するウクライナのミサイルと説明されている。

ウクライナ空軍のミコラ・オレシチュク司令官は1月31日、ウクライナ軍が西部の港湾都市セバストポリに近いロシアのベルベク飛行場を攻撃したと語った。

本誌は今回の映像について独立した立場から検証できておらず、ロシアとウクライナの双方に電子メールでコメントを求めている。

兵器に詳しい軍事専門家のデービッド・ハンブリングは、クリミア半島攻撃をとらえた映像の可能性は「確かにある」としながらも、確認するのは不可能だと本誌に語った。ただし同氏によると、ロシアの対空システムは、クリミアに設置された高度な対空システムだったにもかかわらず、ウクライナのストームシャドウ巡航ミサイルの攻撃を「阻止する役には立たなかった」。

ロシア国防省はこの攻撃の後、地対空システムを使って黒海およびクリミアの上空でウクライナのミサイル20発を撃墜したと発表。セバストポリ北部で「ウクライナのミサイルの断片が軍の部隊の領内に落下した」と説明した。

ロシア国防省は、クリミア半島のロシアの航空機に損傷はなかったと述べている。ロシアがセバストポリの知事に据えたミハイル・ラズボジャエフは、ロシア軍が「セバストポリに対する大規模攻撃を阻止した」とテレグラムに書き込み、負傷者はなかったが、建物少なくとも12棟が破片によって損傷したと伝えた。

位置情報を特定した映像は2月7日に公開された。米シンクタンクの戦争研究所(ISW)によると、映像にはセバストポリ近郊で「飛行場から大きな煙が立ち上る」様子が映っている。

その後ウクライナ空軍のユリイ・イフナト報道官は、ウクライナ軍がベルベク基地でロシアのジェット機3機を損傷させたとコメントした。テレグラムの有力な親ロシア派匿名アカウントは2月7日、政府関係者の話として、ロシアがベルベク飛行場で「航空機3機」を失ったと伝え、ウクライナが発射したミサイル24発のうち、5発は迎撃できなかったと言い添えた。

ウクライナ南部軍司令部のナタリア・フメニウク報道官は、ウクライナ軍のミサイル5発がクリミアの目標に命中したと語った。

クリミア半島はウクライナの南部にあり、ウクライナが奪還すると宣言している。だがロシアが2014年に一方的に併合して以来、ロシア軍の実行支配下にある。

ウクライナ軍は欧米が供与した地対空巡行ミサイルのストーム・シャドウやSCALPを何度も使用して、ロシアの橋などのインフラや、セバストポリに拠点がある黒海艦隊などクリミア半島の標的を攻撃してきた。2023年9月半ばには、ロシア軍の潜水艦「ロストフ・ナ・ドヌ」と揚陸艦にウクライナ軍が損傷を与えた。今回の戦争でロシアの潜水艦が損傷したのはこの時が初めてだったと思われる。

(翻訳:鈴木聖子)

エリー・クック

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