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「ガザにいない幹部を殺害せよ」とモサドに命令...ハマス一掃作戦の舞台になるのはどの国?【アニメで解説】

ニューズウィーク日本版 2024年2月20日 12時10分

<異国の地に踏み込んでもハマスを一掃したいネタニヤフ首相が直面する難題とは? 厄介な中東の地政学について解説したアニメーション動画の内容を一部紹介する>

2023年11月下旬、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は「ハマスの幹部がどこにいようと殺すようモサドに命じた」と記者団に語った。

各国に散った幹部をどこまでも追いかけるというこの目標を達成するのは容易なことではない。暗殺作戦の舞台となるのはどの国か──。

本記事では、本誌YouTubeチャンネルの動画「「ガザにいない幹部を殺害せよ」とモサドに命令...ハマス一掃作戦の舞台になるのはどの国?【アニメで解説】」の内容をダイジェスト的に紹介する。

 

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ネタニヤフが意思を明確にして以降、イスラエル政府関係者からもより具体的な発言が飛び出すようになった。

国内治安機関シンベトのロネン・バー長官は「カタールとトルコにいるハマス幹部を暗殺する」と明言。ジョナサン・コンリカス元イスラエル軍報道官は、「(ハマス幹部は)全員、死刑囚も同然だ」と語った。

レバノンやシリアといった、政治情勢が不安定で、戦争で荒廃した国なら、秘密工作や暗殺工作を実行するのはさほど難しくない。しかし、軍事大国のトルコやエネルギー大国のカタールでは、そうはいかない。

実際、トルコ当局は1月初めにモサドの協力者と疑われる30人以上の身柄を拘束した。関係者によると、彼らはトルコにいる外国人(ハマスとつながっているパレスチナ人)を特定・監視し、最終的には誘拐しようとしていたという。

2003年に現大統領のレジェップ・タイップ・エルドアンが首相(当時)に就任して以来、トルコは一貫してハマスを支援してきた。ムスリム同胞団の世界観を共有していることが、理由の一つとして挙げられる。

イスラエルは、トルコのこうした敏感な部分を認識しているため、エルドアンがハマス幹部を大量に受け入れたりでもしない限り、トルコ領内での暗殺は控えるとみられている。

一方、カタールでは幹部暗殺をずっと前向きに考えやすい。

「カタールはハマスに資金を提供していた。イスラエルが把握している以上の金額を送っていたと信じるに足る証拠がある」と、イスラエルの元情報将校であるエラン・レルマンは語る。ガザへの送金は困窮する市民を助けるだけでなく、ハマスを支援するために使われてきたと、イスラエル当局は考えている。

カタール政府は、ハマスとの間に正式な連絡ルートがあることはプラスになると言い張っている。

カギは戦後のガザの扱いだと、イスラエルの元情報機関職員であるシュムエル・バーは語る。イスラエル政府がガザから軍を撤退させて、「再生した」パレスチナ自治政府に統治権を移譲するなら、より自由にハマス幹部を追及できるようになるという。

■より詳しい内容については動画をご覧ください。

※この動画は「各国に散ったハマス幹部は「全員、死刑囚」...イスラエル情報機関「モサド」の暗殺作戦が始まった」に基づいています。

ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

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