<法的には保持していても公務に就かないことから使用してはならない称号もある。「サセックス公爵夫人」とは何であり、そもそも今もプリンセス?>
2018年、ヘンリー王子と結婚して以来、メーガン妃が得た多くの称号についてたびたび議論されてきた。ヘンリー王子との間に生まれた子供たちは王位継承権を持つが、そもそもメーガン妃自身にはない。
一般に「サセックス公爵夫人」と呼ばれ、王子との結婚によって3つの称号を保持しているメーガン妃。しかし、それが「プリンセス」であることの正統性を示すものなのか。2018年の結婚から2000年の王室離脱、そして義父でチャールズ国王の即位までの変遷について本誌がおさらいする。
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「王室の一員」としてのメーガン妃
2018年5月に、バークシャー州にあるウィンザー城でヘンリー王子と結婚したメーガン妃。世界中の何百万人もの人々がこの結婚式を見て祝福。そして、この結婚により「王室の一員」として公務をつとめることになった。
「王室の一員」であることは「働く王族」であるか否かには関係ない。したがって、夫妻が2020年に王室を離脱して公務から離れ、アメリカに移住しても変化はない。
「妃殿下(HRH)」
結婚を機に「妃殿下(HRH)」の称号を得たが、これは特定の王室メンバーとその配偶者に与えられるものである。
「殿下・妃殿下(HRH)」の称号使用は1917年にジョージ5世によって定められた規定によるもので、自らを「プリンス」「プリンセス」と呼ぶことについても制限を設けている。この規定では君主の男系の子孫とその配偶者が「殿下・妃殿下(HRH)」の称号を使用できるとある。
つまり、生まれながらにして「殿下(HRH)」の称号を保持するヘンリー王子と結婚した時点からメーガン妃も「妃殿下(HRH)」の称号を得たということになる。
夫妻が王室から離れたときに唯一変更があったのがこの称号の扱いであった。法的には「殿下・妃殿下(HRH)」は保持しつつも、「働かない王族」であるため、この称号を自ら使用しないことがバッキンガム宮殿との間で合意されたという。
2018年5月、ヘンリー王子と結婚したメーガン妃。POOL New-REUTERS
サセックス公爵夫人
結婚に際してエリザベス女王は孫であるヘンリー王子に3つの新たな称号を授与した。その中で最高位のものが「サセックス公爵位」だ。
「サセックス公爵」は他の多くのイギリス貴族の称号と同様に地名が由来であり、サセックス州はイングランド南海岸に位置する。
ヘンリー王子の「前任者」のサセックス公爵はジョージ3世(1738-1820年)の息子で、ヴィクトリア女王の叔父であったオーガスタス王子(1773-1843年)である。
オーガスタス王子は1831年に結婚したが、妻が王族出身でなかったため、その結婚は兄である国王のウィリアム4世からの許可が得られなかった。公式に認めらなかった結婚であったため、妻は「サセックス公爵夫人」とはならなかった。ちなみにメーガン妃は史上初めての「サセックス公爵夫人」である。
ただし、メーガン妃自身が「公爵夫人」ではなく、夫が公爵であるためにそのように呼ばれているという点は重要である。これはメーガン妃の他の称号についても同様である。また、他の称号よりも高位で優先されるために「サセックス公爵」と呼ばれている。
ヘンリー王子妃
公爵と結婚したことで公爵夫人になったように、王子と結婚したため法的には「プリンセス(妃)」である。実際には「ヘンリー王子妃」だが、それよりも「サセックス公爵位」の称号が優先されているため、「サセックス公爵夫人」と呼ばれる。
ちなみに王室公爵位や従属的な称号を持たない王子の妻は「プリンセス(妃)」の後に夫の名前が続く。その例として、エリザベス2世の従弟であるマイケル・オブ・ケント王子の妻で、1978年に結婚したマリー=クリスティーヌ妃は「マイケル・オブ・ケント王子妃」として知られている。
実はメーガン妃とヘンリー王子が結婚した時点では、ヘンリー王子の公式呼称は「ヘンリー・オブ・ウェールズ王子」だったため、メーガン妃は「ヘンリー・オブ・ウェールズ王子妃」であった。
しかし、父がチャールズ3世国王として即位し、ウィリアム皇太子が新しい「ウェールズ公」になったため、伝統に従って「オブ・ウェールズ王子(ウェールズの)」の接尾辞を外して「ヘンリー王子」となった。したがって、現在のメーガン妃の正式名は「ヘンリー王子妃」である。
2020年3月、コモンウェルスデーのサービスにて。最後の公務となった Henry Nicholls-REUTERS
ダンバートン伯爵夫人
ヘンリー王子の英国の公爵位にあわせて、エリザベス女王はスコットランドの称号も授与している。それがダンバートン伯爵である。したがって、結婚によりメーガン妃も「ダンバートン伯爵夫人」となっている。ちなみにダンバートンはスコットランド西部グラスゴー市の北に位置する街である。
キルキール男爵夫人
英国とスコットランドの称号に加えて、北アイルランドの称号も祖母エリザベス女王から授与されている。それが「キルキール男爵」である。
北アイルランド南東部の街に由来する称号をヘンリー王子が保持していることから、メーガン妃も結婚によって「キルキール男爵夫人」の称号を持っている。ちなみにこの称号はヘンリー王子の結婚によって新たに創設された爵位であり、王子が初代である。
2018年、ヘンリー王子と結婚して以来、メーガン妃が得た多くの称号についてたびたび議論されてきた。ヘンリー王子との間に生まれた子供たちは王位継承権を持つが、そもそもメーガン妃自身にはない。
一般に「サセックス公爵夫人」と呼ばれ、王子との結婚によって3つの称号を保持しているメーガン妃。しかし、それが「プリンセス」であることの正統性を示すものなのか。2018年の結婚から2000年の王室離脱、そして義父でチャールズ国王の即位までの変遷について本誌がおさらいする。
■【関連画像】公務で服に値札が付いていたメーガン妃...後ろの女性も思わず二度見して苦笑 を見る
「王室の一員」としてのメーガン妃
2018年5月に、バークシャー州にあるウィンザー城でヘンリー王子と結婚したメーガン妃。世界中の何百万人もの人々がこの結婚式を見て祝福。そして、この結婚により「王室の一員」として公務をつとめることになった。
「王室の一員」であることは「働く王族」であるか否かには関係ない。したがって、夫妻が2020年に王室を離脱して公務から離れ、アメリカに移住しても変化はない。
「妃殿下(HRH)」
結婚を機に「妃殿下(HRH)」の称号を得たが、これは特定の王室メンバーとその配偶者に与えられるものである。
「殿下・妃殿下(HRH)」の称号使用は1917年にジョージ5世によって定められた規定によるもので、自らを「プリンス」「プリンセス」と呼ぶことについても制限を設けている。この規定では君主の男系の子孫とその配偶者が「殿下・妃殿下(HRH)」の称号を使用できるとある。
つまり、生まれながらにして「殿下(HRH)」の称号を保持するヘンリー王子と結婚した時点からメーガン妃も「妃殿下(HRH)」の称号を得たということになる。
夫妻が王室から離れたときに唯一変更があったのがこの称号の扱いであった。法的には「殿下・妃殿下(HRH)」は保持しつつも、「働かない王族」であるため、この称号を自ら使用しないことがバッキンガム宮殿との間で合意されたという。
2018年5月、ヘンリー王子と結婚したメーガン妃。POOL New-REUTERS
サセックス公爵夫人
結婚に際してエリザベス女王は孫であるヘンリー王子に3つの新たな称号を授与した。その中で最高位のものが「サセックス公爵位」だ。
「サセックス公爵」は他の多くのイギリス貴族の称号と同様に地名が由来であり、サセックス州はイングランド南海岸に位置する。
ヘンリー王子の「前任者」のサセックス公爵はジョージ3世(1738-1820年)の息子で、ヴィクトリア女王の叔父であったオーガスタス王子(1773-1843年)である。
オーガスタス王子は1831年に結婚したが、妻が王族出身でなかったため、その結婚は兄である国王のウィリアム4世からの許可が得られなかった。公式に認めらなかった結婚であったため、妻は「サセックス公爵夫人」とはならなかった。ちなみにメーガン妃は史上初めての「サセックス公爵夫人」である。
ただし、メーガン妃自身が「公爵夫人」ではなく、夫が公爵であるためにそのように呼ばれているという点は重要である。これはメーガン妃の他の称号についても同様である。また、他の称号よりも高位で優先されるために「サセックス公爵」と呼ばれている。
ヘンリー王子妃
公爵と結婚したことで公爵夫人になったように、王子と結婚したため法的には「プリンセス(妃)」である。実際には「ヘンリー王子妃」だが、それよりも「サセックス公爵位」の称号が優先されているため、「サセックス公爵夫人」と呼ばれる。
ちなみに王室公爵位や従属的な称号を持たない王子の妻は「プリンセス(妃)」の後に夫の名前が続く。その例として、エリザベス2世の従弟であるマイケル・オブ・ケント王子の妻で、1978年に結婚したマリー=クリスティーヌ妃は「マイケル・オブ・ケント王子妃」として知られている。
実はメーガン妃とヘンリー王子が結婚した時点では、ヘンリー王子の公式呼称は「ヘンリー・オブ・ウェールズ王子」だったため、メーガン妃は「ヘンリー・オブ・ウェールズ王子妃」であった。
しかし、父がチャールズ3世国王として即位し、ウィリアム皇太子が新しい「ウェールズ公」になったため、伝統に従って「オブ・ウェールズ王子(ウェールズの)」の接尾辞を外して「ヘンリー王子」となった。したがって、現在のメーガン妃の正式名は「ヘンリー王子妃」である。
2020年3月、コモンウェルスデーのサービスにて。最後の公務となった Henry Nicholls-REUTERS
ダンバートン伯爵夫人
ヘンリー王子の英国の公爵位にあわせて、エリザベス女王はスコットランドの称号も授与している。それがダンバートン伯爵である。したがって、結婚によりメーガン妃も「ダンバートン伯爵夫人」となっている。ちなみにダンバートンはスコットランド西部グラスゴー市の北に位置する街である。
キルキール男爵夫人
英国とスコットランドの称号に加えて、北アイルランドの称号も祖母エリザベス女王から授与されている。それが「キルキール男爵」である。
北アイルランド南東部の街に由来する称号をヘンリー王子が保持していることから、メーガン妃も結婚によって「キルキール男爵夫人」の称号を持っている。ちなみにこの称号はヘンリー王子の結婚によって新たに創設された爵位であり、王子が初代である。