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炎で夜空が赤く染まる映像...ウクライナ無人機がロシア最大級の製鉄所を爆撃か

ニューズウィーク日本版 2024年2月26日 17時20分

<ノボリペツク製鉄所(NLMK)の主要プラントで大規模な火災が発生。リペツク州のイーゴリ・アルタモノフ知事は「死傷者は出ていない」と発表した>

ロシアにある製鉄所が、ドローン(無人機)によるとみられる攻撃を受けて爆発した。

【動画】赤く染まる夜空...燃え上がるリペツクの製鉄所

ロシア国内ではここ数カ月、エネルギー施設や軍事インフラを標的としたドローン攻撃が急増しており、ロシア政府はしばしばこれをウクライナの仕業だとして非難している。ただしウクライナ側は、自らの攻撃だと直ちには認めないことが多い。ロシア側は、ドローンとミサイルを用いて、ウクライナの民間人を標的にして広範囲を攻撃している。

モスクワ南方にあるリペツク州のイーゴリ・アルタモノフ州知事は現地時間24日、ウクライナとの国境から280マイル(約450キロメートル)ほどのところに位置するノボリペツク製鉄所(NLMK)の主要プラントで火災が発生し、その原因はドローンであると発表した。しかし、ウクライナには言及せず、死傷者はいなかったと付け加えた。

核兵器、弾道ミサイルのための原料を生産か

ソーシャルメディアに投稿された映像には、24日午前1時40分(現地時間)ころに同プラントで火災が起き、その直後に爆発が発生。大きな炎が夜空をオレンジ色に照らす様子が映っている。

このプラントは、NLMKの主要な生産施設だ。ここでつくられる平鋼(ひらこう)製品は、ロシアの鉄鋼生産全体の18%を占めている。NLMKは、ロシアの富豪ウラジーミル・リシンの中核資産だ。リシンは、2023年に発表されたフォーブスのロシア長者番付で3位だった。

ウクライナの報道機関TSNが匿名情報筋の話として報じたところによると、同プラントを標的にしたのはウクライナ保安庁とウクライナ国防省情報総局だ。同プラントでは、火災発生後に従業員全員が避難したという。

TSNによれば、破壊されたのは、最近まで核兵器と弾道ミサイルのための原料が生産されていた製鉄所で、再稼働まではかなりの時間を要する見込みだという。

ロシア国防省は同地域の上空でドローン2機を撃墜したほか、クルスク州とトゥーラ州の上空でも、さらにドローン2機を迎撃したと発表している。本誌は同省にコメントを求めている。

ウクライナのドローンによるとみられる攻撃は、国境からかなり奥深くまで入ったところにあるロシア国内の重要インフラを標的にしており、石油精製所もその対象になっている。

今月はじめには、ウクライナとの国境からおよそ200マイル(約322キロメートル)離れた南西部ヴォルゴグラードにある、ロシア石油会社ルクオイルの石油精製所で火災が発生した。その直前の1月24日には、ロシア南部連邦管区にあるロシア石油大手の石油精製所がドローン攻撃を受けたばかりだ。

先月31日には、サンクトペテルブルクにあるネフスキー・マズト製油所でも、ドローン攻撃を受けて爆発が起きた。このドローンは、ロシアの地対空ミサイル・システム「S-400」が命中した後もさらに20マイルを飛行し、標的を攻撃した。

対するロシアも今月23日から24日にかけての夜間、ウクライナ南部諸州に向けて、イラン製攻撃ドローン「シャヘド131」と「シャヘド136」を発射。少なくとも12機がミコライウ州、キロヴォフラード州、オデーサ州上空で撃墜された。

ロシア軍は23日にもウクライナ北東部のスーミ州を28回攻撃し、標的となった5つのコミュニティでは爆発が148回以上起きたと地元当局が明らかにしている。

(翻訳:ガリレオ)

ブレンダン・コール

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