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野原に逃げ出す兵士たち、「鉄くず」と化す装甲車...列をなして進むロシア軍の車列が空爆の標的に

ニューズウィーク日本版 2024年3月13日 19時25分

<周囲の野原には隈なく砲撃の跡が確認できる>

ロシア軍が前線のウクライナ陣地への攻勢を強めるなか、ウクライナ軍が同国東部でロシアの装甲車数台を破壊しているとみられる映像が新たに公開された。

【空撮映像】装甲車から黒煙、野原を走って逃げる兵士...空爆で大混乱に陥るロシア軍の車列

ウクライナ国防省が3月6日に共有したこの動画は、ウクライナの平原をロシア軍の装甲車が一列になって移動する様子を上空からドローンで撮影したものとみられる。方向を変えようと試みる装甲車や車列から逃げ出す兵士が映っている。数台の車両から煙が立ち上り、1台が炎に包まれているところで動画は終わる。同省は投稿の中で、ロシア軍の車両は「鉄くず」になったとキャプションを添えた。

ウクライナ側はこの映像が撮影された時期と場所を明らかにしておらず、独自に検証することはできない。本誌はウクライナ軍とロシア国防省にメールでコメントを求めている。

撮影したのはドローンと砲撃を専門とするウクライナのシャドー部隊とされ、同部隊は5日に映像をテレグラムに投稿した。

ジオロケーション(地理位置情報)を確認した5日の映像を見る限り、ロシア軍はノヴォミハイリフカの南に前進したと米シンクタンクの戦争研究所(ISW)は伝えている。

ノヴォミハイリフカは現在の前線上にあるウクライナ東部の村で、ロシア支配下にあるドネツク市の南西、廃墟と化したヴフレダールの北東に位置する。ヴフレダールでは昨年、壮絶な戦闘が行われた。西側の情報機関によれば、当時ロシア軍はここで膨大な数の戦車や装甲車を失ったとしている。

ウクライナ軍が6日に発表したところによると、ロシア軍はその直前の24時間以内にノヴォミハイリフカ周辺のウクライナの防衛線突破を39回試みた。ロシア軍はさらにノヴォミハイリフカ周辺と近隣のヘオルヒウカ、クラスノホリウカも攻撃したという。

ロシア国防省は6日、ヴフレダール周辺のウクライナ軍陣地を砲撃し、そのエリアにあったウクライナ軍の戦車2両を破壊したと発表した。

ロシア軍はドネツク州南部を攻撃する一方、奪取した戦略的に重要な都市アウディーイウカの西で防衛するウクライナ軍に攻勢をかけている。

ウクライナ軍は2月半ば、拠点としていたアウディーイウカから撤退。それ以降の数週間で同市の西に位置するステポべ、ラストチキノ、シエベルネなどの村からの撤退も発表した。これらの集落を奪取すれば、ロシア軍はアウディーイウカ周辺の陣地を強化しやすくなると、英政府は先月末に評価した。

ロシア軍は同時に、ISWが「結束した多軸攻撃作戦」と呼ぶ作戦をウクライナ北東部で展開している。ロシア支配下のステポべとクレミンナから近く、ウクライナが奪還した鉄道拠点クピャンスクからも近い場所だ。

ウクライナ国家親衛隊第13旅団の司令官は2月27日、本誌の取材に対し、ロシア軍が前線のこの区域で「いくらかの戦果をあげている」と認めた。

(翻訳:ガリレオ)

エリー・クック

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