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ドネツク州でロシアが過去最大の「戦車攻撃」を実施も、爆撃で「撃退」される...ウクライナ政府が動画公開

ニューズウィーク日本版 2024年4月5日 17時49分

<東部ドネツク州アウディーイウカからの西進を狙うロシアだが、ウクライナの激しい抵抗で多くの戦闘車両を失っている>

開戦から2年を超えたロシアとウクライナの激戦の中で、過去最大の規模とされるロシア軍の「戦車攻撃」が実施され、これをウクライナ軍が撃退したとウクライナ政府が発表した。ロシア軍機甲部隊を撃退するシーンだとされる映像もあわせて公開され、そこにはロシアの戦車が次々と爆撃によって破壊される様子が収められていた。

■【動画】ロシアが実施した過去最大級の「戦車攻撃」...ウクライナ空挺部隊が連続爆撃で「撃退」するシーン

ウクライナ国防省が4月1日に発表したところによると、ウクライナ軍の第25独立空挺旅団に所属する空挺部隊が、東部ドネツク州アウディーイウカの真西に位置する村トネニケ近郊で、ロシアの「大規模」攻撃を阻止した。本誌はこの映像を独自に検証することができず、ロシア国防省にメールでコメントを求めている。

ロシア軍は2月半ば、戦略的に重要な都市アウディーイウカを制圧。以後、同都市の西側で激しい戦闘が続いている。ロシア政府は、アウディーイウカを支配下に置いて以降、周辺の村々を奪取したと発表しており、ウクライナを支援する国々の間では、ウクライナがロシア軍による西への侵攻を阻止できないのではないかと懸念する声が広がっている。

こうした懸念を払拭する狙いもあったのか、ウクライナ国防省は、ロシア機甲部隊による攻撃に第25独立空挺旅団が反撃しているところとみられる動画を公開しつつ、ウクライナ空挺部隊は、ロシア軍の戦車4台と歩兵戦闘車2台を破壊したと述べた。

第25独立空挺旅団「敵の車列を破壊した」

第25独立空挺旅団も4月1日にこの動画を公開し、同旅団の兵士が「敵の車列を破壊した」と述べた。その短い動画を見ると、何度か爆発が起きて、何台もの車両が火に包まれている。車列は、向かってくる砲火を逃れようとしていたようだ。実際にこの動画は、ウクライナ東部の領土獲得を目指すロシア軍が、どれほど多くの戦闘車両を失っているかを浮き彫りにするものと言えるだろう。

ウクライナのあるオープン・ソース・インテリジェンスのアカウントが3月31日に伝えたところによると、ウクライナは3月30日、トネニケ近郊で、ロシア軍の戦車36台、歩兵戦闘車12台による大規模攻撃を撃退した。

ウクライナ戦争の進展を日々追跡している米シンクタンク戦争研究所(ISW)は、トネニケ近郊におけるロシア軍の攻撃について、ロシアが2023年10月にアウディーイウカを攻撃し始めて以来「初となる大隊規模の機械化攻撃」だと述べた。ウクライナ紛争における戦車大隊は通常、戦車30台以上で構成される。

ウクライナのジャーナリスト、ユリー・ブトゥソフは3月30日の進軍について、機甲攻撃としては数カ月ぶりとなる規模だと述べた。

ロシアはこれまで控えていた戦車など装甲車の使用を再開

ロシアは、戦車やほかの戦闘車両を用いた大規模攻撃を周期的に仕掛けている。2023年はじめには、ウクライナ南部の村ヴフレダル周辺で、3週間にわたる攻撃を展開。ウクライナ当局はこれについて、2023年3月前半にニューヨーク・タイムズ紙に対し、「ウクライナ戦争が始まって以来、戦車による戦闘としては最大規模だ」と述べていた。

またロシア軍は、ウクライナ軍が拠点を置いていたアウディーイウカに対する初期の波状攻撃で、戦車と装甲車両を多数失っている。ウクライナはこの戦闘の最中に、破壊されたロシア軍用車が同都市周辺の草原に散乱しているとみられる映像を公開。米シンクタンクISWによると、ロシアは、アウディーイウカに対する1回目と2回目の波状攻撃後、「装甲車を温存するべく、歩兵隊主導の攻撃に切り替えた」という。

ウクライナの防衛シンクタンク、防衛戦略センター(CDS)は、3月30日のロシアによる攻撃直前に、ロシア政府はアウディーイウカ周辺において「戦車を含む装甲車の使用を再開した」と述べていた。

ウクライナ軍は今回の動画のように激しい抵抗を行っているが、それでもロシア軍はここ数日で、アウディーイウカの南西と西でさらに軍を先に進めたと、ISWは最新評価で述べている。
(翻訳:ガリレオ)


エリー・クック

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