アリス・ギブス
<TikTok動画をきっかけに2006年の心理学研究が再び話題に>
米コーネル大学で心理学を研究する大学院生がTikTokに投稿した動画をきっかけに、人がパートナーに求める性格と、魅力的だと思う顔を関連付けた2006年の心理学研究が改めて脚光を浴びている。
話題の動画はメアリー・ロス(@marypatross)がTikTokに投稿し、視聴者に単純な質問を投げかけた。この4人の男性のうち、デートするならどの相手?
ロスは続いて、この研究の結果を明らかにした。自分が恋愛対象に求める性格的特徴に結びつく身体的特徴をもし相手が持っていれば、人はその相手の顔を魅力的と思う傾向があるという。
もともとの研究では、コンピュータグラフィックスを使って被験者が好ましいと思う性格に基づく顔写真を合成。コンピュータで生成された異性の顔の魅力度を100人の被験者がランク付けし、好ましいと思う性格についてのアンケートに答えた。
結果は非常に興味深かった。被験者はそれぞれが、積極性、おおらかさ、気楽さ、温厚さなど、自分が好む特徴を持っていると見なした顔ほど、圧倒的に魅力的と認識していた。
これを発表した研究者の1人、アンソニー・リトルは「この調査をこれほど身近な形で共有してもらえて大変うれしい」と本誌に語り、最初に発表した2000年代半ばの時点では、これほど広く共有するのは不可能だったと振り返った。
リトルは今もこの分野の研究を続けており、人の顔と顔から引き出す情報に関する研究プロジェクトのために、自身のサイト「alittlelab」でデータを収集している。ユーザーが同サイトから調査に参加することもできる。
ロスは動画の中で顔写真を見せた後に、この研究の背景となる理論を説明し、自分は絶対に男性Dを選ぶと打ち明けた。この動画は800万回以上も再生されている。
ロスがTikTok動画で紹介したのは男性の顔のみだったが、調査の際は男性と女性の両方について実験を行っている。
調査結果
「パートナーに求める性格」が分かると話題の画像 LITTLE, A. C., BURT, D. M., & PERRETT, D. I. 2006. WHAT IS GOOD IS BEAUTIFUL: FACE PREFERENCE REFLECTS DESIRED PERSONALITY. DEPARTMENT OF PSYCHOLOGY, UNIVERSITY OF LIVERPOOL; DURHAM UNIVERSITY; UNIVERSITY OF ST ANDREWS.
■男性の画像
Aの合成顔はお気楽なパートナーを望まない女性に最も好まれたのに対し、Bを選んだのは気楽なパートナーを好む女性だった。
Cの合成顔はどちらかといえば受け身のパートナーを求める女性に好まれ、Dは積極的なパートナーを望む女性に好まれた。
■女性の画像
Aの合成顔を選んだのはお気楽なパートナーを望まない男性だったのに対し、Bを選んだのは気楽なパートナーを好む男性だった。
Cの合成顔はどちらかといえば受け身のパートナーを求める男性に好まれる一方、Dは積極的なパートナーを望む女性に好まれた。
「私がこの研究で気に入っているのは、誰が最も魅力的かに関して全員の一致はないと分かったことだ」とリトルは言い、魅力とは主観的なものであることがこれで証明されたと指摘する。「我々の研究は、『美しいものは良い』というありがちな研究に蔓延している考え方に異を唱え、逆に『良いものは美しい』なのかもしれないと示唆している」
TikTok動画に寄せられた1万5000以上のコメントを見ても、その主観性は明らかだった。ユーザーはA~Dに至るまで、それぞれお気に入りの写真を共有して楽しんでいる。
「うーんCは一番ヘイデン・クリステンセンみたいだから...」というユーザーもいれば、「Aは悪魔みたい」というコメントも。
別の1人は「D、自信ありげで好き」と書き込み、「どれでもいい、必死なの」という冗談もあった。
「私たちが誰を魅力的と思うかはバラエティに富んでいる。唯一の『理想的な美の基準』は存在しない。人の好みはさまざまで、誰を魅力的と思うかに正しいも間違いもない。これはもっと広く共有すべき前向きなメッセージだと思う」とリトルは話している。
本誌はTikTokを通じてメアリー・ロスにコメントを求めている。
(翻訳:鈴木聖子)
<TikTok動画をきっかけに2006年の心理学研究が再び話題に>
米コーネル大学で心理学を研究する大学院生がTikTokに投稿した動画をきっかけに、人がパートナーに求める性格と、魅力的だと思う顔を関連付けた2006年の心理学研究が改めて脚光を浴びている。
話題の動画はメアリー・ロス(@marypatross)がTikTokに投稿し、視聴者に単純な質問を投げかけた。この4人の男性のうち、デートするならどの相手?
ロスは続いて、この研究の結果を明らかにした。自分が恋愛対象に求める性格的特徴に結びつく身体的特徴をもし相手が持っていれば、人はその相手の顔を魅力的と思う傾向があるという。
もともとの研究では、コンピュータグラフィックスを使って被験者が好ましいと思う性格に基づく顔写真を合成。コンピュータで生成された異性の顔の魅力度を100人の被験者がランク付けし、好ましいと思う性格についてのアンケートに答えた。
結果は非常に興味深かった。被験者はそれぞれが、積極性、おおらかさ、気楽さ、温厚さなど、自分が好む特徴を持っていると見なした顔ほど、圧倒的に魅力的と認識していた。
これを発表した研究者の1人、アンソニー・リトルは「この調査をこれほど身近な形で共有してもらえて大変うれしい」と本誌に語り、最初に発表した2000年代半ばの時点では、これほど広く共有するのは不可能だったと振り返った。
リトルは今もこの分野の研究を続けており、人の顔と顔から引き出す情報に関する研究プロジェクトのために、自身のサイト「alittlelab」でデータを収集している。ユーザーが同サイトから調査に参加することもできる。
ロスは動画の中で顔写真を見せた後に、この研究の背景となる理論を説明し、自分は絶対に男性Dを選ぶと打ち明けた。この動画は800万回以上も再生されている。
ロスがTikTok動画で紹介したのは男性の顔のみだったが、調査の際は男性と女性の両方について実験を行っている。
調査結果
「パートナーに求める性格」が分かると話題の画像 LITTLE, A. C., BURT, D. M., & PERRETT, D. I. 2006. WHAT IS GOOD IS BEAUTIFUL: FACE PREFERENCE REFLECTS DESIRED PERSONALITY. DEPARTMENT OF PSYCHOLOGY, UNIVERSITY OF LIVERPOOL; DURHAM UNIVERSITY; UNIVERSITY OF ST ANDREWS.
■男性の画像
Aの合成顔はお気楽なパートナーを望まない女性に最も好まれたのに対し、Bを選んだのは気楽なパートナーを好む女性だった。
Cの合成顔はどちらかといえば受け身のパートナーを求める女性に好まれ、Dは積極的なパートナーを望む女性に好まれた。
■女性の画像
Aの合成顔を選んだのはお気楽なパートナーを望まない男性だったのに対し、Bを選んだのは気楽なパートナーを好む男性だった。
Cの合成顔はどちらかといえば受け身のパートナーを求める男性に好まれる一方、Dは積極的なパートナーを望む女性に好まれた。
「私がこの研究で気に入っているのは、誰が最も魅力的かに関して全員の一致はないと分かったことだ」とリトルは言い、魅力とは主観的なものであることがこれで証明されたと指摘する。「我々の研究は、『美しいものは良い』というありがちな研究に蔓延している考え方に異を唱え、逆に『良いものは美しい』なのかもしれないと示唆している」
TikTok動画に寄せられた1万5000以上のコメントを見ても、その主観性は明らかだった。ユーザーはA~Dに至るまで、それぞれお気に入りの写真を共有して楽しんでいる。
「うーんCは一番ヘイデン・クリステンセンみたいだから...」というユーザーもいれば、「Aは悪魔みたい」というコメントも。
別の1人は「D、自信ありげで好き」と書き込み、「どれでもいい、必死なの」という冗談もあった。
「私たちが誰を魅力的と思うかはバラエティに富んでいる。唯一の『理想的な美の基準』は存在しない。人の好みはさまざまで、誰を魅力的と思うかに正しいも間違いもない。これはもっと広く共有すべき前向きなメッセージだと思う」とリトルは話している。
本誌はTikTokを通じてメアリー・ロスにコメントを求めている。
(翻訳:鈴木聖子)