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子どもの文章力がぐんぐん伸びる「魔法の3ステップ」...なぜ「褒める」だけではダメなのか?

ニューズウィーク日本版 2024年4月20日 9時30分

ニューズウィーク日本版ウェブ編集部<ライティング力を伸ばすには「文章に責任を持たせること」が重要。そのための手順について>

ハーバード大学で150年以上も受け継がれているライティングメソッドから生まれた「オレオ公式」。書くことが苦手な人でも「オレオ公式」を知れば、論理的かつ説得力のある「伝わる文章」の達人になれる。

『作文宿題が30分で書ける! 秘密のハーバード作文』(CCCメディアハウス)の「序章 ハーバード・キッズの誕生」より一部抜粋。

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SF小説家のベルナール・ヴェルベールが初めて書いた物語は、「あるノミの記憶」というタイトルのエッセイだったそうです。

それを読んだ担当の国語教師は、3段階評価の「普通」程度の点数とともに、次のようなコメントをつづりました。

「ベルナール君のエッセイを読み、大いに笑わせてもらいました。何度も読み返して周囲にも一読を薦めたほど、純粋に読者としての楽しみを味わいましたよ。ただし、スペルミスが5つもあり減点せざるを得なかった点が実に惜しい。スペルにもう少し気を配れば、次はもっといい点数が取れるでしょう」

この国語教師はベルナールのエッセイに対して、個性あふれる文章だという賞賛とともに、注意すべき点も併せてフィードバックしています。

ライティング力を伸ばすには、単に「よく書けている」といった賞賛だけでは足りません。こうしたフィードバックが大切なのです。

みなさんにはぜひ、この国語教師のようなフィードバックをお子さんにしていただきたいのです。フィードバックは次のような3ステップで行うことが理想的です。

「よい点をほめる」−「気になった点を尋ねる」−「肯定的な提案をする」

以下に詳しくご紹介します。ぜひ実践してみてください。

● Step1 「よい点をほめる」

「こんなことを考えているなんてすばらしいね」「この表現がとてもいいね」など、お子さんの文章のよかった点を具体的にほめてください。

具体的に指摘されることで、お子さんもどういう点が自分の長所なのかに気づき、伸ばすきっかけとなります。

 

● Step2 「気になった点を尋ねる」

「どうしてそう思ったのか」「なぜこう書いたのか」など、お子さんの文章を読んで、気になった点を質問してみてください。

尋ねられることで、今の書き方では自分の意図がうまく伝わらないのだと子ども自身が気づくことができます。

● Step3 「肯定的な提案をする」

Step2で質問した気になる箇所について、お子さんの意図をもっとわかりやすく文章化できるよう、肯定的な提案をしてください。

その際は、「そのことを伝えたいのならばこういうふうに書いたらどうかな?」など、あくまで決定権はお子さんに委ねた問いかけをすることが重要です。

文法的におかしな箇所もお子さんの確認不足かもしれません。「間違っている」とすぐに指摘するのではなく、「変なところはないかもう一回読んでみようか」といった提案をしながら、本人が気づかなければ指摘するように進めてみてください。

自分の考えと書いた文章に責任を持たせる

お子さんが文章を書くときは、必ず自分の名前を明記させてください。名前を書くことで、自分の文章に対する責任感が生まれます。

「なぜいちいち名前を書かなくちゃいけないの?」とお子さんに尋ねられたら、こう答えてください。

「あなたが書いた文章はあなたの考えであり、あなたの知識だからだよ。それをきちんと守るためにも名前を書くんだよ」

加えて、「裏を返せば、他人が書いたものは他人のものである」ということも強調してください。自分の文章が自分の財産であるのと同様に、他人の文章は他人の財産であるということです。

ハーバード大学は盗用に対し厳格な姿勢を貫いています。ライティングの授業においても、無断盗用や盗作のないように厳しく指導しています。

 

インターネットでいくらでも他人の文章に触れられる時代です。だからこそ、お子さんにも、まずは自分の考えや書いたものが大切であること、他人が書いたものも同じように大切であることを教えてあげてください。

また、SNSにアップする際は個人情報保護の観点から、限定公開にしたり、お子さんが自分で考えたペンネームを使うとよいでしょう。

『作文宿題が30分で書ける! 秘密のハーバード作文』
 ソン・スッキ [著]岡崎暢子[訳]
  CCCメディアハウス[刊]

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