マウラ・ズーリック
<パレスチナ人の人道状況に配慮せよとイスラエルに言い続けてきたアメリカ政府が、ついに、イスラエル国防軍のなかでも最も暴力的といわれる部隊に制裁を科す意向と伝えられた。イスラエルのネタニヤフ首相は激怒している>
アメリカがイスラエル国防軍(IDF)の一部隊に対する制裁を予定していると報じられたことを受け、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、アメリカの姿勢を非難する声明を発表した。
【動画】創設25周年を迎えたネツァ・イェフダ
イスラエル国防軍によるガザ地区への攻撃で民間人の死者が増加し、世界中で抗議行動が起きている。ジョー・バイデン大統領をはじめアメリカの高官たちも、イスラエルに対する批判を強めている。
ヨルダン川西岸地区で活動するイスラエル軍部隊がパレスチナ人に人権侵害行為を行った可能性があるとして、米国務省がこの部隊を米軍の支援対象から外すよう勧告したことも報じられている。4月19日にイタリアで開かれた記者会見で、この件について質問されたアントニー・ブリンケン国務長官は、ブリンケンは報道を即座には認めなかったが、結果は「近いうちに」出ると述べた。
アメリカと長年の同盟国イスラエルとの関係に、摩擦が生じている。さらに、ニュースサイト、アクシオスによる20日の報道によると、ブリンケンは数日以内に人権侵害の疑いでイスラエル国防軍の超正統派ユダヤ教徒の集まりである「ネツァ・イェフダ」大隊に対する制裁を発表する見込みだという。
「制裁は不条理の極み」
アクシオスの記事が発表された直後、ネタニヤフはX(旧ツイッター)への投稿で、イスラエル国防軍に制裁を科す動きを非難した。
「イスラエル国防軍に制裁を課してはならない。ここ数週間、私はアメリカ政府高官との対話を含め、イスラエル国民への制裁発動に反対してきた。わが国の兵士がテロの怪物と戦っているときに、イスラエル国防軍の一部に制裁を科そうとするなど、不条理の極みであり、道徳的な堕落を意味する。私が率いる政府は、このような動きに対してあらゆる手段で抵抗する」とネタニヤフは書いている。
イスラエルの戦時内閣の閣僚で、長年野党を率いてきたベニー・ガンツも、20日夕方、Xに投稿し、この部隊に対する制裁の可能性を批判した。
ガンツは 、ネツァ・イェフダ大隊を「イスラエル国防軍の不可分の一部」とし、この部隊は軍法と国際法に従うと述べた。
「イスラエルには、国防軍の命令や行動規範に対する違反や逸脱の主張を綿密に評価する強力で独立した司法制度がある」と、ガンツは投稿で主張した。「アメリカの友人には非常に感謝しているが、国防軍の部隊とその兵士に制裁を科すという決定は危険な前例となり、戦争の最中に、共通の敵に誤ったメッセージを伝えることになる。私はこの決定を覆すために行動するつもりだ」
この戦争のきっかけは、2023年10月7日、ハマスとその他のイスラム過激派集団によるイスラエル南部への襲撃で、約1200人が死亡、250人が人質としてガザに連れ去られた。イスラエルの発表では、戦争で荒廃したガザ地区に人質約130人が残されており、30人が死亡したとAP通信は報じた。
イスラエルは即座に宣戦布告し、ガザへの空爆を開始し、ガザへの食糧、燃料、エネルギー、医薬品の供給を遮断した。昨年10月下旬には、ガザへの地上攻撃が開始された。
AP通信がガザ保健省の発表として伝えたところによると、7カ月近くに渡る紛争で、パレスチナ人の死者は3万4000人以上、負傷者は7万6000人を超えるという。ハマスが運営する保健省は、死者数について戦闘員と民間人を区別していないが、少なくともその3分の2は子どもと女性だという。
パレスチナ人の死者数が多いことから、民間人が意図的に標的にされているという疑いが生じ、イスラエルが戦争犯罪、さらにはジェノサイドに手を染めているという非難を引き起こしている。
制裁の対象となったネツァ・イェフダ大隊が初めてアメリカ当局の監視対象になったのは、2022年に78歳のパレスチナ系アメリカ人男性を手錠に猿ぐつわで屋外に放置し、死亡させた事件がきっかけだった。
【動画】創設25周年を迎えたネツァ・イェフダ
<パレスチナ人の人道状況に配慮せよとイスラエルに言い続けてきたアメリカ政府が、ついに、イスラエル国防軍のなかでも最も暴力的といわれる部隊に制裁を科す意向と伝えられた。イスラエルのネタニヤフ首相は激怒している>
アメリカがイスラエル国防軍(IDF)の一部隊に対する制裁を予定していると報じられたことを受け、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、アメリカの姿勢を非難する声明を発表した。
【動画】創設25周年を迎えたネツァ・イェフダ
イスラエル国防軍によるガザ地区への攻撃で民間人の死者が増加し、世界中で抗議行動が起きている。ジョー・バイデン大統領をはじめアメリカの高官たちも、イスラエルに対する批判を強めている。
ヨルダン川西岸地区で活動するイスラエル軍部隊がパレスチナ人に人権侵害行為を行った可能性があるとして、米国務省がこの部隊を米軍の支援対象から外すよう勧告したことも報じられている。4月19日にイタリアで開かれた記者会見で、この件について質問されたアントニー・ブリンケン国務長官は、ブリンケンは報道を即座には認めなかったが、結果は「近いうちに」出ると述べた。
アメリカと長年の同盟国イスラエルとの関係に、摩擦が生じている。さらに、ニュースサイト、アクシオスによる20日の報道によると、ブリンケンは数日以内に人権侵害の疑いでイスラエル国防軍の超正統派ユダヤ教徒の集まりである「ネツァ・イェフダ」大隊に対する制裁を発表する見込みだという。
「制裁は不条理の極み」
アクシオスの記事が発表された直後、ネタニヤフはX(旧ツイッター)への投稿で、イスラエル国防軍に制裁を科す動きを非難した。
「イスラエル国防軍に制裁を課してはならない。ここ数週間、私はアメリカ政府高官との対話を含め、イスラエル国民への制裁発動に反対してきた。わが国の兵士がテロの怪物と戦っているときに、イスラエル国防軍の一部に制裁を科そうとするなど、不条理の極みであり、道徳的な堕落を意味する。私が率いる政府は、このような動きに対してあらゆる手段で抵抗する」とネタニヤフは書いている。
イスラエルの戦時内閣の閣僚で、長年野党を率いてきたベニー・ガンツも、20日夕方、Xに投稿し、この部隊に対する制裁の可能性を批判した。
ガンツは 、ネツァ・イェフダ大隊を「イスラエル国防軍の不可分の一部」とし、この部隊は軍法と国際法に従うと述べた。
「イスラエルには、国防軍の命令や行動規範に対する違反や逸脱の主張を綿密に評価する強力で独立した司法制度がある」と、ガンツは投稿で主張した。「アメリカの友人には非常に感謝しているが、国防軍の部隊とその兵士に制裁を科すという決定は危険な前例となり、戦争の最中に、共通の敵に誤ったメッセージを伝えることになる。私はこの決定を覆すために行動するつもりだ」
この戦争のきっかけは、2023年10月7日、ハマスとその他のイスラム過激派集団によるイスラエル南部への襲撃で、約1200人が死亡、250人が人質としてガザに連れ去られた。イスラエルの発表では、戦争で荒廃したガザ地区に人質約130人が残されており、30人が死亡したとAP通信は報じた。
イスラエルは即座に宣戦布告し、ガザへの空爆を開始し、ガザへの食糧、燃料、エネルギー、医薬品の供給を遮断した。昨年10月下旬には、ガザへの地上攻撃が開始された。
AP通信がガザ保健省の発表として伝えたところによると、7カ月近くに渡る紛争で、パレスチナ人の死者は3万4000人以上、負傷者は7万6000人を超えるという。ハマスが運営する保健省は、死者数について戦闘員と民間人を区別していないが、少なくともその3分の2は子どもと女性だという。
パレスチナ人の死者数が多いことから、民間人が意図的に標的にされているという疑いが生じ、イスラエルが戦争犯罪、さらにはジェノサイドに手を染めているという非難を引き起こしている。
制裁の対象となったネツァ・イェフダ大隊が初めてアメリカ当局の監視対象になったのは、2022年に78歳のパレスチナ系アメリカ人男性を手錠に猿ぐつわで屋外に放置し、死亡させた事件がきっかけだった。
【動画】創設25周年を迎えたネツァ・イェフダ