エリー・クック
<戦場に投入されながらも、その能力は未知数だった「スイッチブレード」。小型ドローンがロシア軍の地対空ミサイルを撃破する映像が公開された>
アメリカがウクライナに供与した自爆ドローン「スイッチブレード」がロシア軍の移動式中距離防空システムを撃破する瞬間を捉えたとされる映像が公開された。スイッチブレードの「徘徊型攻撃」映像は非常に珍しい。
■【動画】自爆ドローン「スイッチブレード600」がロシア軍の地対空ミサイルBUK-M2を撃破したとされる映像
この映像は、ウクライナ軍を支援する「カムバックアライブ(生きて帰れ)財団」が6月12日にメッセージアプリ「テレグラム」に投稿したもの。
まず1機の偵察ドローンが、ウクライナ東部ドネツク州の都市ドクチャイエフスク近郊を移動中のロシア軍の地対空ミサイルシステム「BUK(ブーク)-M2」を探知する。
この辺りはロシア軍の支配地域だが、西方にはウクライナ軍の要衝である炭鉱町のブフレダルがあり、ロシア軍がウクライナに本格的な侵攻を開始して以来、この一帯では激しい戦闘が繰り返されてきた。
偵察ドローンはBUK-M2を追跡。財団によれば、その後にスイッチブレードがBUK-M2に接近する。アメリカ製のこの軍用ドローンは、空中を数時間飛び回って標的に自爆攻撃を行う、いわゆる「徘徊型兵器」だ。映像では、BUK-M2に体当たりして爆発したように見え、炎が上がり、辺りはもうもうたる煙に包まれる。
スイッチブレードの実戦での使用映像はごくわずか
ウクライナ軍がスイッチブレードでロシア軍を攻撃する映像がネット上に初めて現れたのは2022年半ばだ。しかし、ほかの兵器の威力を示す映像は盛んに投稿されるのに、スイッチブレードの実戦での使用映像はごくわずかで、その能力は未知数だった。
本誌はロシア国防省とカムバックアライブ財団にメールでコメントを求めている。本誌の独自調査ではこの映像の信憑性を確認できていない。
アメリカはスイッチブレードのほかにも、「フェニックス・ゴースト」「サイバーラックスK8」など数種の軍用ドローンをウクライナに供与している。スイッチブレードは小型の300と、比較的大きい600の両方を提供しているが、数については、米国防総省は公表を控えている。
「安全保障上の理由から、スイッチブレード600の攻撃映像を見る機会はないとされている」と、ジャーナリストで軍事専門家のデービッド・ハンブリングは今回の映像を見て、本誌に話した。
「既に10年以上使われているが、スイッチブレード 300の映像も極めて少ない......だからスイッチブレードと称する映像は、特に目を凝らして精査する必要がある」
ハンブリングの見るところ、映像に写っている自爆ドローンは動きが鈍く、「小さいし、見たところ翼もない」ため、スイッチブレードよりも、マルチコプター(ヘリコプターのような回転翼を3つ以上持つ)の自爆ドローンに似ている。
スイッチブレード600は固定翼があり、時速160キロ超でターゲットに接近できると、彼は付け加えた。
スイッチブレードの製造元である防衛請負企業エアロバイロンメントのチャーリー・ディーン副社長(グローバル事業開発・マーケティング担当)は昨年10月、スイッチブレード600は「ウクライナの防衛に極めて重要」だと、本誌に語っている。
それまでウクライナ軍は主としてスイッチブレード300を使用していたが、より大型の600に切り替えていく予定だと、このときディーンは述べていた。
今回のBUK-M2攻撃に使われたのがどの自爆ドローンであれ、小型のドローンがロシアの高価な防空システムを撃破すれば「成果は大きい」と、ハンブリングは言う。
「小型のドローンに対しては、いかに非力な防空システムかがよく分かる」
<戦場に投入されながらも、その能力は未知数だった「スイッチブレード」。小型ドローンがロシア軍の地対空ミサイルを撃破する映像が公開された>
アメリカがウクライナに供与した自爆ドローン「スイッチブレード」がロシア軍の移動式中距離防空システムを撃破する瞬間を捉えたとされる映像が公開された。スイッチブレードの「徘徊型攻撃」映像は非常に珍しい。
■【動画】自爆ドローン「スイッチブレード600」がロシア軍の地対空ミサイルBUK-M2を撃破したとされる映像
この映像は、ウクライナ軍を支援する「カムバックアライブ(生きて帰れ)財団」が6月12日にメッセージアプリ「テレグラム」に投稿したもの。
まず1機の偵察ドローンが、ウクライナ東部ドネツク州の都市ドクチャイエフスク近郊を移動中のロシア軍の地対空ミサイルシステム「BUK(ブーク)-M2」を探知する。
この辺りはロシア軍の支配地域だが、西方にはウクライナ軍の要衝である炭鉱町のブフレダルがあり、ロシア軍がウクライナに本格的な侵攻を開始して以来、この一帯では激しい戦闘が繰り返されてきた。
偵察ドローンはBUK-M2を追跡。財団によれば、その後にスイッチブレードがBUK-M2に接近する。アメリカ製のこの軍用ドローンは、空中を数時間飛び回って標的に自爆攻撃を行う、いわゆる「徘徊型兵器」だ。映像では、BUK-M2に体当たりして爆発したように見え、炎が上がり、辺りはもうもうたる煙に包まれる。
スイッチブレードの実戦での使用映像はごくわずか
ウクライナ軍がスイッチブレードでロシア軍を攻撃する映像がネット上に初めて現れたのは2022年半ばだ。しかし、ほかの兵器の威力を示す映像は盛んに投稿されるのに、スイッチブレードの実戦での使用映像はごくわずかで、その能力は未知数だった。
本誌はロシア国防省とカムバックアライブ財団にメールでコメントを求めている。本誌の独自調査ではこの映像の信憑性を確認できていない。
アメリカはスイッチブレードのほかにも、「フェニックス・ゴースト」「サイバーラックスK8」など数種の軍用ドローンをウクライナに供与している。スイッチブレードは小型の300と、比較的大きい600の両方を提供しているが、数については、米国防総省は公表を控えている。
「安全保障上の理由から、スイッチブレード600の攻撃映像を見る機会はないとされている」と、ジャーナリストで軍事専門家のデービッド・ハンブリングは今回の映像を見て、本誌に話した。
「既に10年以上使われているが、スイッチブレード 300の映像も極めて少ない......だからスイッチブレードと称する映像は、特に目を凝らして精査する必要がある」
ハンブリングの見るところ、映像に写っている自爆ドローンは動きが鈍く、「小さいし、見たところ翼もない」ため、スイッチブレードよりも、マルチコプター(ヘリコプターのような回転翼を3つ以上持つ)の自爆ドローンに似ている。
スイッチブレード600は固定翼があり、時速160キロ超でターゲットに接近できると、彼は付け加えた。
スイッチブレードの製造元である防衛請負企業エアロバイロンメントのチャーリー・ディーン副社長(グローバル事業開発・マーケティング担当)は昨年10月、スイッチブレード600は「ウクライナの防衛に極めて重要」だと、本誌に語っている。
それまでウクライナ軍は主としてスイッチブレード300を使用していたが、より大型の600に切り替えていく予定だと、このときディーンは述べていた。
今回のBUK-M2攻撃に使われたのがどの自爆ドローンであれ、小型のドローンがロシアの高価な防空システムを撃破すれば「成果は大きい」と、ハンブリングは言う。
「小型のドローンに対しては、いかに非力な防空システムかがよく分かる」