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「隣は嫌だ!」「入口に陣取る」...理想的な「管理職の席」配置とオフィスレイアウト

ニューズウィーク日本版 2024年6月24日 17時40分

山口ヨシカズ ※経営ノウハウの泉より転載
<「壁を感じる」「話しかけづらい」それ、席の配置が理由かもしれません。知っているようで知らない「管理職の席はどこがよいか」問題>

「なんとなく部下との間に距離を感じる」「壁を感じる」「話しかけづらい......」そのように思っている管理職の方はいませんか? 実はそれ、オフィスでの席の位置が悪いからかもしれません。

管理職の席配置は、オフィスのレイアウトを決めるうえでかなり重要な問題です。本記事では、管理職の理想的な席配置について解説します。

オフィスで管理職の席が重要な理由

管理職の席の位置は、オフィスのレイアウトを決めるうえでとても重要です。席の位置により、部下とのコミュニケーションの質や量が大きく変わります。

たとえば、管理職の席が部下の席から離れすぎていたら、コミュニケーションが取りづらくなります。特に、自然発生する雑談やカジュアルなコミュニケーションが少なくなるでしょう。

それでは、逆に部下の席のすぐ近くにあればよいのかというと、そうとも言い切れません。近くに上司がいると、まるで監視されているような気分になる可能性があります。

管理職の席は、部下とほどよい距離感を保つことが重要です。必要なときにはすぐにコミュニケーションが取れるように、なおかつ部下がプレッシャーを感じすぎないように、管理職の席の位置は考えなければなりません。

(参考記事)次の候補がいないのはなぜ?管理職不足に陥る中小企業にありがちな3つの原因

オフィスレイアウトの種類と特徴

管理職の席について考えるために、まずはオフィスレイアウトの種類と特徴についておさらいしておきましょう。

■島型(対向型)

出典:コクヨマーケティング

島型レイアウトとは、デスクを島のように配置して向かい合わせで座るスタイルを指します。

お互いの顔が見えるため、コミュニケーションがとりやすい点がメリットです。情報共有がスムーズにでき、チームワークを重要視する部署や、密な情報交換が必要な職場に向いています。

ただし、デスクの間隔が近いため、プライバシーが守りにくい点がデメリットです。また、デスクの数が増えてくると通路が狭くなりがちなので、動線も考えなければいけません。

■背面型

出典:コクヨマーケティング

背面型レイアウトは、社員同士が背中合わせに座るレイアウトを指します。お互いの顔が見えないので、集中して作業ができる点がメリットです。その反面、コミュニケーションを取ることが難しくなるというデメリットもあります。

したがって、背面型レイアウトは個人の作業スペースを重視する職種、つまりデザイナーやプログラマーなどに向いているでしょう。

■クロス型

出典:コクヨマーケティング

クロス型は、オフィス内のテーブルを縦横に交差させて配置することで、部署間のコミュニケーションを促進するレイアウトです。

デスクの配置によりあえてジグザグの通路を作ることで、動線の固定化を防ぎ、自然と他部署の人と接する機会が増えるでしょう。また、他の人と視線が合うことが少なく、プライバシーが守られやすい・集中しやすいという点もメリットです。

ただし、多くのスペースが必要のため、スペース活用の効率が悪いというデメリットもあります。

■フリーアドレス型

フリーアドレス型は、自分の好きな席に自由に座れるレイアウトを指します。

フリーアドレスのメリットは、コミュニケーションがとりやすくなる点と、オフィスのスペースが節約できる点です。隣の席が毎日違う人になるので、自然と他部署の人とも話すようになるでしょう。

集中したいときは静かな席に座ったり、チームで作業するときはみんなで固まったりと、その日の業務に合わせて最適な環境を選べる点も魅力です。また、外回りの社員が多い職場では、フリーアドレスにすることで座席数を節約し、オフィスをコンパクトにできます。

一方で、社員の居場所を把握するのが大変だったり、書類や荷物の管理が難しくなったりする点がデメリットでしょう。会社の状況に合わせて、うまく活用していくことがポイントです。

(参考記事)管理職になりたくない社員が77%!組織に必要な取り組みとは

管理職の席を決めるにあたって意識したいポイント

ここからは、管理職の席を決めるにあたり意識したいポイントを解説します。

■慣習にとらわれすぎない

まず、表面的な慣習やマナーにとらわれすぎないことです。

管理職の席の位置には、昔からの慣習やマナーがあります。たとえば上座・下座や、「上司は一番奥の席に座るべきだ」などの概念です。

たしかにこのような慣習やマナーは、職場の秩序や適度な緊張感の形成に役立つかもしれません。しかし、組織のパフォーマンスを上げるという観点からは、必ずしも最適ではない場合もあるでしょう。

役職に関係なくその人に適した席を選ぶことで、働きやすさや生産性の向上につながります。固定観念に縛られないことが、快適に働けるオフィスを作る第一歩です。

■視界は完全に遮らない

先述したように管理職と一般社員の席は、ほどよい距離感を保つことがポイントです。しかし、限られたスペースの中で、物理的に距離を離すのはなかなか難しいかもしれません。

そのようなときは、視界の遮り方によって距離感を調整しましょう。パーテーションなどで視界を完全に塞ぐと、心理的な距離が遠のきます。一方、全く仕切りがないと今度は集中力が落ちたり、プライバシーの問題が出てきたりするでしょう。

低めの棚やパーテーションを置いて、ほどよく視線を遮ることがおすすめです。

■入口側に管理職のデスクを配置する

風通しのよい職場にしたいなら、管理職のデスクをあえて入口側に置くレイアウトが考えられます。

管理職のデスクが入口側にあると、社員が出勤したり退勤したりするときに、自然と管理職と顔を合わせる機会が増えます。

お互いに気軽に挨拶したり、ちょっとした雑談をしたりするようになるでしょう。そうすればコミュニケーションが活発になり、社員の状況も把握しやすくなるはずです。

また、社員が通る動線上に管理職の席があれば、仕事の相談や報告なども気軽に行える雰囲気になります。些細なことでも、すぐに管理職に声をかけられるのは心強いでしょう。

ただ、管理職としては自分の行動には気をつけないといけません。いつも社員から見られている状態になるので、お手本となるような姿勢を心がける必要があるでしょう。

まとめ

管理職の席の位置は、オフィスの雰囲気や生産性に影響します。部下とのコミュニケーションを取りやすくするためには、管理職の席の向きや位置を上手く設定することが大事です。

管理職の席の位置選びは、意外と奥が深く、さまざまなアイデアが考えられます。ぜひ参考にしてみてください。

[執筆者]
山口ヨシカズ
大手精密機械メーカーのソフトウェアエンジニアを経てライターに転向。IT、DX、テクノロジー関連を中心に、金融、不動産、マーケティングなど幅広いジャンルで執筆している。大学院時代の専攻は電子情報システム工学。猫が好き。

※当記事は「経営ノウハウの泉」の提供記事です






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