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『ザ・ボーイズ』がくれた「イケメン俳優」像を笑いものにする機会...『ゴシップガール』の型を破って

ニューズウィーク日本版 2024年7月5日 13時42分

H・アラン・スコット(ライター、コメディアン)
<堕落したスーパーヒーロー「ディープ」を演じるチェイス・クロフォードが、「超クレイジー」なドラマの魅力と俳優としての新境地を語る──(インタビュー)>

スーパーヒーローが邪悪な存在になったら? そんな疑問に答えを出そうとするのが、アマゾンプライム・ビデオのドラマ『ザ・ボーイズ』だ。

同名のコミックが原作。「常識外れの原作の本質を生かしながら、ドラマ作品として成立しているのがすごい」。第4シーズンが配信中の本作で、堕落したスーパーヒーローの1人、ディープに扮するチェイス・クロフォードはそう話す。

「(核にあるのは)絶対的な力は徹底的に腐敗するという考え方。そうした力を持つスーパーヒーローが現実社会で何をするかと問いかける」

人気テレビドラマ『ゴシップガール』に出演して有名になったクロフォードは、ディープを演じるチャンスに飛び付いた。付きまとう「素敵な青年」というイメージを笑いものにする役柄だからだ。「この手の役は頻繁には巡ってこない。それに、自分自身を笑うユーモアのセンスが必要だと思う」

「超クレイジー」な作風にもかかわらず、『ザ・ボーイズ』が現実感を失わないのは、企画・制作総指揮のエリック・クリプキのおかげだという。「スーパーヒーローもののレンズを通して、現実の問題について語ろうとしている。素晴らしい試みだよね」

本誌H・アラン・スコットが話を聞いた。

◇ ◇ ◇

──本作は新鮮さを失わない。

最も重要な点は意外性だ。以前のシーズンを見ていなくても、すぐ作品に入り込める。(ほかのドラマには)スーパーヒーローをめぐる伝統的なストーリーがあり、どこか型どおりだ。このドラマは、とにかく超クレイジーだから。

──独特のスーパーヒーローだ。どうやってディープを共感できる人物に保っている?

大変だよ。クリプキがいつも言うように、僕たちは彼らをグレーゾーンにいる存在にしたい。それが、彼らの本質だ。ひどい人々だから名誉挽回する気はないけど、その在り方をのぞき込みたい。

──『ゴシップガール』のせいで型にはめられたと思う?

そうだね。枠に押し込められていた時期があった。こんな外見をしていると、特定の見方をされる。自分は幅のある俳優だと思っているし、今回の役のおかげでそれを証明する機会、人を笑わせながら、リアルな感情やニュアンスを表現する機会を手にできた。

──アメリカで6月公開のコメディー映画『リユニオン』でも、とんでもない登場人物を演じている。

こんなばかげた人物を演じること、そんな役に僕を想定して「彼ならできる」と思ってもらえることは大きな喜びだよ。これは、間違いなく『ザ・ボーイズ』のおかげ。



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