ジュリア・カーボナロ(米政治・経済担当)
<アメリカで行われた最新調査では「2024年ほど経済的ストレスを強く感じた年はない」と答えた人が約半数。今後も続く「生活費危機」を乗り切るためにできることは?>
こんな暮らしをしているはずではなかった、というのがリトルトン夫妻の偽らざる思いだ。
10年前、夫妻はよりよい仕事を求めて故郷カリフォルニア州からテキサス州に移り住んだ。夫のポール(49)は現在、建設会社で見積もりを担当し、プロジェクトマネジャーを務める。妻ステファニー(48)は信託管理関係の仕事をしている。
ポールもステファニーも年齢とともに収入は上がった。だが子供の学資ローンの返済もあり、ここ数年の物価高騰のあおりを受けて今はぎりぎりの生活だ。
50代を目の前にして経済的な状況は20代の新婚当時からちっとも進歩していないと、2人は言う。「生活費が上がったことだけが唯一の違いなのだから、嫌になる」と、ステファニーは嘆く。
「私たちは長女が学資ローンを返すのを助けていて、末娘は家賃の払える住居が見つからずに恋人とわが家に居候中。家計のストレスは私たちの心の健康と家族関係に、破壊的な悪影響を及ぼした」
この手のストレスを経験しているのはリトルトン夫妻だけではない。金融情報サイトのマーケットウォッチから本誌が独占入手した最近の調査結果によれば、経済的不安は大勢のアメリカ人の心の健康をむしばんでいる。
家計の管理を投げ出す人々
2022年6月のピーク時に比べ、インフレは格段に落ち着いた。
しかしマーケットウォッチの調査では、回答者の半数近く(47%)が2024年ほど経済的ストレスを強く感じる年はないと答えた。経済的ストレスをある程度感じるとした回答者は88%、家計のやりくりが最大のストレスだと答えた人は65%に上った。
また生活苦で心の健康が「破壊された」とおよそ41%が答え、「やりくり疲れ」を感じている人は全体の約3分の2に当たる64%だった。
経済的ストレスの影響が表面化するのはメンタルヘルスだけではない。調査では睡眠不足(56%)、肉体疲労(47%)、頭痛(45%)、体重の増減(38%)、食欲の変化(34%)、消化不良(33%)といった症状が報告された。
「物価高による『生活費危機』が全米で家計を圧迫し続けるなか、生活の苦しい人々の多くが今後ますますやりくりに苦労するだろう」と価格調査サイト、マネーエキスパートのディレクター、リズ・ハンターは予想する。
「低所得者層には借金や経済的不安への対処に慣れている人もいるが、今回の生活費危機で生まれて初めて金の苦労を知った人も少なくない」
リトルトン夫妻も後者だ。生活費の高騰を受け、ステファニーは「収入の上昇に合わせて今まで享受してきた食事のデリバリーやスポーツジム通い、家事代行サービスといった贅沢」をやめた。
定期的な運動は心身の健康に有効だから、「ハイキングコースや自転車用のトレイルが近くにあってうちはラッキー」だと彼女は言う。
ガソリン価格は一時に比べて下がったが SCOTT OLSON/GETTY
そもそも、具体的に何が人々を苦しめているのだろう。
マーケットウォッチがストレスの原因を尋ねたところ、57%が生活必需品の価格の上昇、47%が貯蓄不足、46%が収入の不足を挙げた。また39%が負債を、同じく39%がアメリカ経済の動向をストレス要因とした。住居費の高さと答えた人は36%、高金利とした人は33%だった。
金の苦労や不安に対処するのに疲れ果て、家計の管理を投げ出す人も多い。マーケットウォッチの調査では、深刻な事態に陥るまで経済的な問題は見て見ぬふりをすると答えた人が、44%もいた。だが問題を無視したり放置したりすれば、状況はさらに悪化しかねない。
ストレスのせいで「悪癖」に陥った人もかなりの割合に上った。
家計を細かく管理していないと答えた回答者は58%。57%が家計関連の重要な決断を下すのを先延ばしにし、44%がストレス解消のために浪費し、同じく44%は身の丈に合わない商品を購入していた。41%が請求書を開封せず、クレジットカードの利用明細を確認していなかった。
せめて銀行口座の取引明細は確認してほしいと、マネーエキスパートのハンターは勧める。
「当たり前だと言われるかもしれないが、口座の明細を定期的にチェックすれば出ていく金と入ってくる金の額が正確に分かる。その時点で使える金がいくらなのかも把握できる」と、彼女は言う。
「問題に速やかに対処できるというメリットもある。不正な引き落としがあればピンとくるし、普通口座の残高が少ないことに気付けば、残高を超えた額を融資する当座貸越の利用(とその手数料)も防げる」
金絡みの苦境において、アメリカ人は孤独を感じがちだ。経済的ストレスはパートナーや家族に打ち明けないとした人は58%に上った。
アメリカはコロナ禍に続き、生活費危機に見舞われた。引き金となったのは急激なインフレだ。22年6月には物価上昇率がFRB(米連邦準備理事会)が目標とする2%を大幅に上回り、9.1%でピークに達した。
以降物価の上昇は鈍化しており、今年5月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で3.3%の上昇となり、前月からほぼ変わらなかった。
4月に2.8%上昇したガソリン価格は、5月には3.6%下がった。インフレ率は低下し、下落傾向が続いているように見えるが、FRBの政策金利と住宅ローン金利は高止まり。住宅コストは上がり続けている。
最新データによると、5月の住居費は0.4%上昇。住宅所有者や住宅購入希望者を苦しめている。食料品価格も0.1%と小幅に上昇した。
食料品などの生活必需品は高止まりを続け、家計にとって頭痛の種になっている NATEE MEEPIAN/ISTOCK
米経済への信頼感が低下
11月の大統領選挙を前に、経済問題は依然としてアメリカ人の懸念事項の上位を占めている。ギャラップ社の5月の調査によると、回答者の36%が現在のこの国の最重要課題として経済問題を挙げた。17%はアメリカ経済全般の状況を、12%が生活費の高騰を懸念事項と考えている。
5月に発表されたギャラップの別の調査では、今の家計にとって最重要の経済問題はインフレだと答えたアメリカ人の割合は41%で、23年の35%、22年の32%から増加している。
ギャラップの「経済信頼感指数」はアメリカ人の現在の景況感と景気の先行きについての見通しを示すものだが、同社が5月1~23日に調査したデータによると、経済への信頼感は低下している。
46%が5月のアメリカ経済を「悪い」と答え、4月の44%、3月の39%から上昇した。景気が「とても良い」「良い」と答えたのはわずか22%だった。
全米会衆派キリスト教会連合の公認クレジット・カウンセラーを務めるデービッド・アトキンスは、お金に関するストレスを回避するための3つの簡単なルールを挙げている。
1つ目は、支出をきちんと把握し、計画を立てること。出費を全て集計して、カテゴリー別(家賃、交通費、食費、娯楽費、衣服費、債務返済など)に分類した支出計画を立てる。そうすることで、各カテゴリーに必要な金額が正確に分かる。
2つ目は、日常的な出費には現金を使うこと。現金払いには、支出の抑制を促す心理的効果がある。
そして3つ目は、クレジットカードの負債をできるだけ早く返済すること。多くの場合、クレジットカードの金利は他のローンよりずっと高いので、債務残高をゼロにすることでかなりのコスト(と不安の)削減効果がある。
カード会社や貸金業者への返済に苦しんでいる場合は、毎月の返済額の減額交渉をしたり、返済計画の提示を依頼するのも手だと、マネーエキスパートのハンターは指摘する。
「そのためには、現在の返済額が支払えない理由を示す必要がある。彼らは通常、あなたの総収入、毎月の支出、必要不可欠な生活費を確認して、現実的に払える額がどれぐらいかを判断しようとする。ただし、これをやると信用格付けに影響する可能性があり、将来的に信用枠を獲得しにくくなるかもしれない」
1人で悩みを抱え込まない
高金利の債務を複数抱えている人は、借金を1つにまとめたいと考えるかもしれない。「毎月複数の支払いをする代わりに、1つの大きなローンを組んで全てを返済すれば、月々の支払いが1回で済む。債務整理をすることで(債務の)管理が容易になる」と、ハンターは言う。
「しかし、必ずしも最良の選択とは言えない。新しいクレジットカードの発行手数料、債務残高の移行手数料、年会費など、追加費用がかかる場合もある。クレジット・スコアが低いと高金利のローンしか組めないので、結局は高くつくケースもある。貸金業者を探すときは、契約内容を事前によく確認することが大切だ」
とはいえ家計の整理や見直しをするのは、その過程で破産の恐怖に直面する可能性があるだけに、気が重くなる作業だ。
心理学者で公認ファイナンシャル・セラピストのトレイシー・ウィリアムズは、経済的ストレスに悩んでいる人は自分1人だけではないことを思い出すべきだと助言する。「周囲の人々も詳しい家計の実態をオープンに打ち明けることは少ないので、自分が孤立しているように感じやすい」
だがマーケットウォッチの調査から分かるように、経済的ストレスを感じるのはごく普通の経験だ。
この苦境から抜け出す最も簡単な方法は、問題に正面から向き合い、解決策を見つけ出すこと。
「自分の経済状況にとってプラスになる結果を想像してみよう。それがどんなものか、そこに近づくためにどんなステップが必要なのかを考えることで、変わろうという意欲が湧くはずだ」と、ウィリアムズは言う。
「必要なステップのリストを作り、小さなことから始めよう。1度に1歩ずつ進むことに集中すれば、山を前にしても恐怖心が和らぐ。そして他の人に助けてもらおう。友人や家族に悩みを話すのも、クレジット・カウンセラーやファイナンシャル・カウンセラーに相談するのもいい。自分1人で解決する必要はない」
恐怖、不安、悲しみ、フラストレーションなど、自分の感情を受け入れることも、ストレスに負けて悪癖に陥るのを回避する良い方法だ。
「感情を押し殺すのではなく、ただそれを受け止め、いずれ過ぎ去ることを意識しよう」と、ウィリアムズは言う。「行動を起こすことで、ネガティブな感情にはまり込むのを防ぐことができる。自分でコントロールできることに集中しよう」
<アメリカで行われた最新調査では「2024年ほど経済的ストレスを強く感じた年はない」と答えた人が約半数。今後も続く「生活費危機」を乗り切るためにできることは?>
こんな暮らしをしているはずではなかった、というのがリトルトン夫妻の偽らざる思いだ。
10年前、夫妻はよりよい仕事を求めて故郷カリフォルニア州からテキサス州に移り住んだ。夫のポール(49)は現在、建設会社で見積もりを担当し、プロジェクトマネジャーを務める。妻ステファニー(48)は信託管理関係の仕事をしている。
ポールもステファニーも年齢とともに収入は上がった。だが子供の学資ローンの返済もあり、ここ数年の物価高騰のあおりを受けて今はぎりぎりの生活だ。
50代を目の前にして経済的な状況は20代の新婚当時からちっとも進歩していないと、2人は言う。「生活費が上がったことだけが唯一の違いなのだから、嫌になる」と、ステファニーは嘆く。
「私たちは長女が学資ローンを返すのを助けていて、末娘は家賃の払える住居が見つからずに恋人とわが家に居候中。家計のストレスは私たちの心の健康と家族関係に、破壊的な悪影響を及ぼした」
この手のストレスを経験しているのはリトルトン夫妻だけではない。金融情報サイトのマーケットウォッチから本誌が独占入手した最近の調査結果によれば、経済的不安は大勢のアメリカ人の心の健康をむしばんでいる。
家計の管理を投げ出す人々
2022年6月のピーク時に比べ、インフレは格段に落ち着いた。
しかしマーケットウォッチの調査では、回答者の半数近く(47%)が2024年ほど経済的ストレスを強く感じる年はないと答えた。経済的ストレスをある程度感じるとした回答者は88%、家計のやりくりが最大のストレスだと答えた人は65%に上った。
また生活苦で心の健康が「破壊された」とおよそ41%が答え、「やりくり疲れ」を感じている人は全体の約3分の2に当たる64%だった。
経済的ストレスの影響が表面化するのはメンタルヘルスだけではない。調査では睡眠不足(56%)、肉体疲労(47%)、頭痛(45%)、体重の増減(38%)、食欲の変化(34%)、消化不良(33%)といった症状が報告された。
「物価高による『生活費危機』が全米で家計を圧迫し続けるなか、生活の苦しい人々の多くが今後ますますやりくりに苦労するだろう」と価格調査サイト、マネーエキスパートのディレクター、リズ・ハンターは予想する。
「低所得者層には借金や経済的不安への対処に慣れている人もいるが、今回の生活費危機で生まれて初めて金の苦労を知った人も少なくない」
リトルトン夫妻も後者だ。生活費の高騰を受け、ステファニーは「収入の上昇に合わせて今まで享受してきた食事のデリバリーやスポーツジム通い、家事代行サービスといった贅沢」をやめた。
定期的な運動は心身の健康に有効だから、「ハイキングコースや自転車用のトレイルが近くにあってうちはラッキー」だと彼女は言う。
ガソリン価格は一時に比べて下がったが SCOTT OLSON/GETTY
そもそも、具体的に何が人々を苦しめているのだろう。
マーケットウォッチがストレスの原因を尋ねたところ、57%が生活必需品の価格の上昇、47%が貯蓄不足、46%が収入の不足を挙げた。また39%が負債を、同じく39%がアメリカ経済の動向をストレス要因とした。住居費の高さと答えた人は36%、高金利とした人は33%だった。
金の苦労や不安に対処するのに疲れ果て、家計の管理を投げ出す人も多い。マーケットウォッチの調査では、深刻な事態に陥るまで経済的な問題は見て見ぬふりをすると答えた人が、44%もいた。だが問題を無視したり放置したりすれば、状況はさらに悪化しかねない。
ストレスのせいで「悪癖」に陥った人もかなりの割合に上った。
家計を細かく管理していないと答えた回答者は58%。57%が家計関連の重要な決断を下すのを先延ばしにし、44%がストレス解消のために浪費し、同じく44%は身の丈に合わない商品を購入していた。41%が請求書を開封せず、クレジットカードの利用明細を確認していなかった。
せめて銀行口座の取引明細は確認してほしいと、マネーエキスパートのハンターは勧める。
「当たり前だと言われるかもしれないが、口座の明細を定期的にチェックすれば出ていく金と入ってくる金の額が正確に分かる。その時点で使える金がいくらなのかも把握できる」と、彼女は言う。
「問題に速やかに対処できるというメリットもある。不正な引き落としがあればピンとくるし、普通口座の残高が少ないことに気付けば、残高を超えた額を融資する当座貸越の利用(とその手数料)も防げる」
金絡みの苦境において、アメリカ人は孤独を感じがちだ。経済的ストレスはパートナーや家族に打ち明けないとした人は58%に上った。
アメリカはコロナ禍に続き、生活費危機に見舞われた。引き金となったのは急激なインフレだ。22年6月には物価上昇率がFRB(米連邦準備理事会)が目標とする2%を大幅に上回り、9.1%でピークに達した。
以降物価の上昇は鈍化しており、今年5月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で3.3%の上昇となり、前月からほぼ変わらなかった。
4月に2.8%上昇したガソリン価格は、5月には3.6%下がった。インフレ率は低下し、下落傾向が続いているように見えるが、FRBの政策金利と住宅ローン金利は高止まり。住宅コストは上がり続けている。
最新データによると、5月の住居費は0.4%上昇。住宅所有者や住宅購入希望者を苦しめている。食料品価格も0.1%と小幅に上昇した。
食料品などの生活必需品は高止まりを続け、家計にとって頭痛の種になっている NATEE MEEPIAN/ISTOCK
米経済への信頼感が低下
11月の大統領選挙を前に、経済問題は依然としてアメリカ人の懸念事項の上位を占めている。ギャラップ社の5月の調査によると、回答者の36%が現在のこの国の最重要課題として経済問題を挙げた。17%はアメリカ経済全般の状況を、12%が生活費の高騰を懸念事項と考えている。
5月に発表されたギャラップの別の調査では、今の家計にとって最重要の経済問題はインフレだと答えたアメリカ人の割合は41%で、23年の35%、22年の32%から増加している。
ギャラップの「経済信頼感指数」はアメリカ人の現在の景況感と景気の先行きについての見通しを示すものだが、同社が5月1~23日に調査したデータによると、経済への信頼感は低下している。
46%が5月のアメリカ経済を「悪い」と答え、4月の44%、3月の39%から上昇した。景気が「とても良い」「良い」と答えたのはわずか22%だった。
全米会衆派キリスト教会連合の公認クレジット・カウンセラーを務めるデービッド・アトキンスは、お金に関するストレスを回避するための3つの簡単なルールを挙げている。
1つ目は、支出をきちんと把握し、計画を立てること。出費を全て集計して、カテゴリー別(家賃、交通費、食費、娯楽費、衣服費、債務返済など)に分類した支出計画を立てる。そうすることで、各カテゴリーに必要な金額が正確に分かる。
2つ目は、日常的な出費には現金を使うこと。現金払いには、支出の抑制を促す心理的効果がある。
そして3つ目は、クレジットカードの負債をできるだけ早く返済すること。多くの場合、クレジットカードの金利は他のローンよりずっと高いので、債務残高をゼロにすることでかなりのコスト(と不安の)削減効果がある。
カード会社や貸金業者への返済に苦しんでいる場合は、毎月の返済額の減額交渉をしたり、返済計画の提示を依頼するのも手だと、マネーエキスパートのハンターは指摘する。
「そのためには、現在の返済額が支払えない理由を示す必要がある。彼らは通常、あなたの総収入、毎月の支出、必要不可欠な生活費を確認して、現実的に払える額がどれぐらいかを判断しようとする。ただし、これをやると信用格付けに影響する可能性があり、将来的に信用枠を獲得しにくくなるかもしれない」
1人で悩みを抱え込まない
高金利の債務を複数抱えている人は、借金を1つにまとめたいと考えるかもしれない。「毎月複数の支払いをする代わりに、1つの大きなローンを組んで全てを返済すれば、月々の支払いが1回で済む。債務整理をすることで(債務の)管理が容易になる」と、ハンターは言う。
「しかし、必ずしも最良の選択とは言えない。新しいクレジットカードの発行手数料、債務残高の移行手数料、年会費など、追加費用がかかる場合もある。クレジット・スコアが低いと高金利のローンしか組めないので、結局は高くつくケースもある。貸金業者を探すときは、契約内容を事前によく確認することが大切だ」
とはいえ家計の整理や見直しをするのは、その過程で破産の恐怖に直面する可能性があるだけに、気が重くなる作業だ。
心理学者で公認ファイナンシャル・セラピストのトレイシー・ウィリアムズは、経済的ストレスに悩んでいる人は自分1人だけではないことを思い出すべきだと助言する。「周囲の人々も詳しい家計の実態をオープンに打ち明けることは少ないので、自分が孤立しているように感じやすい」
だがマーケットウォッチの調査から分かるように、経済的ストレスを感じるのはごく普通の経験だ。
この苦境から抜け出す最も簡単な方法は、問題に正面から向き合い、解決策を見つけ出すこと。
「自分の経済状況にとってプラスになる結果を想像してみよう。それがどんなものか、そこに近づくためにどんなステップが必要なのかを考えることで、変わろうという意欲が湧くはずだ」と、ウィリアムズは言う。
「必要なステップのリストを作り、小さなことから始めよう。1度に1歩ずつ進むことに集中すれば、山を前にしても恐怖心が和らぐ。そして他の人に助けてもらおう。友人や家族に悩みを話すのも、クレジット・カウンセラーやファイナンシャル・カウンセラーに相談するのもいい。自分1人で解決する必要はない」
恐怖、不安、悲しみ、フラストレーションなど、自分の感情を受け入れることも、ストレスに負けて悪癖に陥るのを回避する良い方法だ。
「感情を押し殺すのではなく、ただそれを受け止め、いずれ過ぎ去ることを意識しよう」と、ウィリアムズは言う。「行動を起こすことで、ネガティブな感情にはまり込むのを防ぐことができる。自分でコントロールできることに集中しよう」