ジェームズ・クロフォード=スミス
<2021年8月に「動物の権利」を主張してバッキンガム宮殿の噴水に赤い染料を注いだ活動家たちへの判決が3年越しに下された。英王室を標的とした抗議活動は今年も次々に起こっている──>
バッキンガム宮殿の噴水に赤い染料を注いだ、アニマルライツ(動物の権利)を主張する活動家たちが、器物損壊の罪で有罪判決を受けた。これは、2021年に行われた「血に見える赤い液体」を用いた抗議活動の一環だった。
【画像】【動画】バッキンガム宮殿の噴水を「血まみれ」に...動物の権利を叫ぶ活動家の姿
「安全でサステナブルな植物ベースの食料システムへの移行」と、「大規模な再野生化プログラム(リワイルディング:土地や動物への人間の干渉を極力抑えて、もとの自然に近い状態に戻す試み)」を求める団体「アニマル・ライジング」のメンバー5人が8月28日、ロンドンのサザーク刑事法院に出廷し、有罪判決を受けた。5人の量刑判断は年内に行われることになる。
2021年8月26日、クリストファー・ベネット、ルイス・マッケンジー、ライリー・イングス、クレア・スミス、レイチェル・スティールの5人は、バッキンガム宮殿の外にある有名なビクトリア女王記念碑をとりまく噴水に、環境に優しい赤い染料を投入した。
これは、当時の女王エリザベス2世を担当する複数の弁護士が、スコットランドの大臣たちに法案を変更するようロビー活動を行った、との報道を受けたものだった。
弁護士たちは、この法案に含まれていた二酸化炭素排出量削減を目的とする環境イニシアチブについて、女王の私有地を適用外とするよう求めたと報じられた。
アニマル・ライジングのメンバーは噴水の周りの石を赤い染料で汚し、「動物農業──王室の大虐殺」と書かれたプラカードを掲げた。
同団体はプレスリリースで、自分たちの抗議行動は「われわれ一般人が生存可能な未来に向けて戦っている中で、英王室が狩猟や競馬、毛皮の取引、法律の適用免除を推進している現状にスポットライトを当てるのに一役買った」と述べている。
23歳のマッケンジーは、判決を受けるまで3年もの間待たされたことに不満を表明した。
「今日の判決は理想的なものではないが、予想した通りだった」とマッケンジーは述べた。「この国の司法制度(ジャスティス・システム)は、本当の意味での正義(ジャスティス)に基づいて作られてはいない。現状維持の意図のもとで作られている」
「あの抗議活動から3年が過ぎたということ自体が私にとっては信じ難い。その間、われわれは摂氏40度の酷暑を体験したが、我が国の政府からは明確な行動はない。プラントベースの食料システムを実現するまで、われわれには前進し続ける以外の選択肢はない。現状は、私たちの世代や後に続く世代への裏切りになるだろう」
英王室が抗議デモに直面したケースはこれが初めてではない。
王室関連の祝賀行事やイベントでは、イギリス最大の反君主制団体「リパブリック」が抗議行動を行うのが常だが、その他にも王室は数多くの環境保護団体の標的となってきた。
今年6月には、アニマル・ライジングの活動家2人が、ロンドンのあるギャラリーに展示されていた、国王チャールズ3世の新しい肖像画に汚損行為をはたらいた。これは、国王が関与している王立動物虐待防止協会(RSPCA)に対する抗議を目的とした行動だった。
同団体のメンバーは、画家のジョナサン・ヨーが描いた国王の肖像画にメッセージやイラストを貼り付けた。国王の頭部には、イギリスの人気コメディ・アニメシリーズ「ウォレスとグルミット」の登場キャラクター「ウォレス」の顔を切り抜いたものを貼り付けた。
さらに、次のように書かれた吹き出しも添えられた。「チーズはないよ、グルミット。RSPCAが認定した農場で起きている、あらゆる虐待行為を見てごらん」
この肖像画を展示していたギャラリーは警察に被害届を提出した。肖像画自体はアクリル樹脂で保護されていたため損傷はなかった。
同じく6月には、ウィリアム皇太子が環境保護団体「ジャスト・ストップ・オイル」の抗議活動から間一髪で逃れるという一件もあった。
皇太子は、イングランドのチチェスター大聖堂で行われた親しい友人であるウェストミンスター公爵の結婚式に出席していた。結婚式の出席者たちが大聖堂を出たところで、抗議活動家の2人が消火器からオレンジ色の粉を噴射した。
抗議を行った2人は結婚式出席者を見ようと待っていた群衆に紛れていたが、警察によって群衆から排除された。そのうち1人はジャスト・ストップ・オイルのプレスリリースに以下のようなコメントを残している。
「結婚式は祝賀のために集まり、未来に誓いを立てる時だ。しかしながら、私たちが団結して石油とガス(の使用)を止めなければ、世界中の無数の人々にとって未来はない。ゆえにわれわれは、イギリスの次期政権に対し、他国と連携して2030年までに化石燃料を段階的に廃止するよう求めている」
(翻訳:ガリレオ)
<2021年8月に「動物の権利」を主張してバッキンガム宮殿の噴水に赤い染料を注いだ活動家たちへの判決が3年越しに下された。英王室を標的とした抗議活動は今年も次々に起こっている──>
バッキンガム宮殿の噴水に赤い染料を注いだ、アニマルライツ(動物の権利)を主張する活動家たちが、器物損壊の罪で有罪判決を受けた。これは、2021年に行われた「血に見える赤い液体」を用いた抗議活動の一環だった。
【画像】【動画】バッキンガム宮殿の噴水を「血まみれ」に...動物の権利を叫ぶ活動家の姿
「安全でサステナブルな植物ベースの食料システムへの移行」と、「大規模な再野生化プログラム(リワイルディング:土地や動物への人間の干渉を極力抑えて、もとの自然に近い状態に戻す試み)」を求める団体「アニマル・ライジング」のメンバー5人が8月28日、ロンドンのサザーク刑事法院に出廷し、有罪判決を受けた。5人の量刑判断は年内に行われることになる。
2021年8月26日、クリストファー・ベネット、ルイス・マッケンジー、ライリー・イングス、クレア・スミス、レイチェル・スティールの5人は、バッキンガム宮殿の外にある有名なビクトリア女王記念碑をとりまく噴水に、環境に優しい赤い染料を投入した。
これは、当時の女王エリザベス2世を担当する複数の弁護士が、スコットランドの大臣たちに法案を変更するようロビー活動を行った、との報道を受けたものだった。
弁護士たちは、この法案に含まれていた二酸化炭素排出量削減を目的とする環境イニシアチブについて、女王の私有地を適用外とするよう求めたと報じられた。
アニマル・ライジングのメンバーは噴水の周りの石を赤い染料で汚し、「動物農業──王室の大虐殺」と書かれたプラカードを掲げた。
同団体はプレスリリースで、自分たちの抗議行動は「われわれ一般人が生存可能な未来に向けて戦っている中で、英王室が狩猟や競馬、毛皮の取引、法律の適用免除を推進している現状にスポットライトを当てるのに一役買った」と述べている。
23歳のマッケンジーは、判決を受けるまで3年もの間待たされたことに不満を表明した。
「今日の判決は理想的なものではないが、予想した通りだった」とマッケンジーは述べた。「この国の司法制度(ジャスティス・システム)は、本当の意味での正義(ジャスティス)に基づいて作られてはいない。現状維持の意図のもとで作られている」
「あの抗議活動から3年が過ぎたということ自体が私にとっては信じ難い。その間、われわれは摂氏40度の酷暑を体験したが、我が国の政府からは明確な行動はない。プラントベースの食料システムを実現するまで、われわれには前進し続ける以外の選択肢はない。現状は、私たちの世代や後に続く世代への裏切りになるだろう」
英王室が抗議デモに直面したケースはこれが初めてではない。
王室関連の祝賀行事やイベントでは、イギリス最大の反君主制団体「リパブリック」が抗議行動を行うのが常だが、その他にも王室は数多くの環境保護団体の標的となってきた。
今年6月には、アニマル・ライジングの活動家2人が、ロンドンのあるギャラリーに展示されていた、国王チャールズ3世の新しい肖像画に汚損行為をはたらいた。これは、国王が関与している王立動物虐待防止協会(RSPCA)に対する抗議を目的とした行動だった。
同団体のメンバーは、画家のジョナサン・ヨーが描いた国王の肖像画にメッセージやイラストを貼り付けた。国王の頭部には、イギリスの人気コメディ・アニメシリーズ「ウォレスとグルミット」の登場キャラクター「ウォレス」の顔を切り抜いたものを貼り付けた。
さらに、次のように書かれた吹き出しも添えられた。「チーズはないよ、グルミット。RSPCAが認定した農場で起きている、あらゆる虐待行為を見てごらん」
この肖像画を展示していたギャラリーは警察に被害届を提出した。肖像画自体はアクリル樹脂で保護されていたため損傷はなかった。
同じく6月には、ウィリアム皇太子が環境保護団体「ジャスト・ストップ・オイル」の抗議活動から間一髪で逃れるという一件もあった。
皇太子は、イングランドのチチェスター大聖堂で行われた親しい友人であるウェストミンスター公爵の結婚式に出席していた。結婚式の出席者たちが大聖堂を出たところで、抗議活動家の2人が消火器からオレンジ色の粉を噴射した。
抗議を行った2人は結婚式出席者を見ようと待っていた群衆に紛れていたが、警察によって群衆から排除された。そのうち1人はジャスト・ストップ・オイルのプレスリリースに以下のようなコメントを残している。
「結婚式は祝賀のために集まり、未来に誓いを立てる時だ。しかしながら、私たちが団結して石油とガス(の使用)を止めなければ、世界中の無数の人々にとって未来はない。ゆえにわれわれは、イギリスの次期政権に対し、他国と連携して2030年までに化石燃料を段階的に廃止するよう求めている」
(翻訳:ガリレオ)