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トランプ集会で再び騒動、警察が男を拘束...メディア批判直後に

ニューズウィーク日本版 2024年9月2日 17時10分

マーサ・マクハーディー
<トランプ前米大統領の選挙集会で再び騒動が勃発...現場はまたも激戦州ペンシルベニア>

ドナルド・トランプ前米大統領の選挙集会の会場で30日、男が記者席に乱入しようとする事件が起きた。男はすぐに取り押さえられた。

事件が起きたのはペンシルベニア州ジョンズタウン。事件の模様を撮影した動画によれば、ひげを生やしてサングラスをかけた男が記者やカメラクルーのいる記者席の周囲に置かれた柵を越え、一般席より高いところに作られていた記者席によじ登ろうとした。

【動画】トランプ集会で再び混乱、メディア批判直後に警察が男を拘束

AP通信が伝えたところでは、男は警備員に引きずり下ろされ、すぐに警察官らによって床に抑えつけられ、スタンガンで制圧された。

ニュースサイトのデーリー・ビーストはジョンズタウン警察の話として、男は身柄を拘束されたがその後釈放されたと伝えた。

ジョンズタウン警察のリチャード・プリチャード署長はAPに対し31日、男は逮捕された後釈放されたと述べた。近く迷惑行為と公共の集会の妨害、逮捕に対する抵抗の罪で正式に起訴される予定で、身元はその際に明らかにされるという。

プリチャードは逮捕には直接関わっておらず、動機についての見方も述べなかった。

トランプ陣営は、男や事件と距離を置こうとしている。陣営幹部のダニエル・アルバレスはAPに対し、男は反トランプ派だとほのめかした。

現場はまたも激戦州ペンシルベニア

「報道関係者を含む目撃者が、いかれた人物がトランプ(前)大統領を罵る言葉を叫んでいたと証言している」とアルバレズはAPに述べた。「男の標的は(前)大統領で、記者席に入ってステージを目指した」

アルバレスはその証言をした目撃者の身元も、それ以上の事件の詳細についても語らなかった。

本誌はジョンズタウン警察とトランプ陣営に電子メールでコメントを求めたが回答は得られなかった。

男が取り押さえされ、連行される中、トランプはこう述べた。「トランプ集会より楽しいところはないだろう?」

それからしばらくして、警察は観衆の中にいた別の男に手錠をかけて連行したとAPは伝えている。乱入事件との関係は分かっていない。

今回の事件現場から120キロメートルほど離れた同じくペンシルベニア州のバトラーでは7月13日、演説中のトランプが銃撃される事件が起きている。この時は集会参加者のうち1人が死亡し、2人が負傷。トランプも耳にけがをした。

今回の事件は、トランプが演説の中で自分の選挙運動、さらには選挙に対して否定的な報道をしているとメディアを批判している最中に起きた。

トランプはまた、ライバル候補である民主党のカマラ・ハリス副大統領に対してCNNが先ごろ行ったインタビューを批判した。このインタビューでハリスは、自分の「価値観」は変わっていない断言した。環境への悪影響が懸念される天然ガス・石油掘削技術のフラッキング(水圧破砕法)の問題や移民問題ついて、ハリスはこれまでの立場とは異なる政策を掲げている。

トランプは16年の大統領選挙で自分を批判した記者たちのことを「人民の敵」だと呼んで以降、メディアへの攻撃を政治運動の柱の1つにしてきた。

30日の集会でも「(自分に関する)フェイクニュースがたくさん」流されているというトランプの主張を受けて、観衆からはメディアに向けたブーイングの声が上がった。

またトランプは、「ペンシルベニア的なあらゆるものと合わない」存在だとしてハリスを叩いた。

「彼女は大統領には不適格だ。手を出すものすべてを台無しにする」とトランプは述べた。

本誌はハリス陣営に電子メールでコメントを求めたが回答は得られなかった。

トランプはまた、11月の大統領選の一般投票について、重要な激戦州であるペンシルベニアで勝利をつかむと宣言した。

「今から67日後、われわれはペンシルベニアで勝利する」とトランプは述べた。「カマラ・ハリス『同志』を打倒する」

「われわれはホワイトハウスに返り咲く。この国をこれまで以上に偉大なものにする」

会場の周辺には集会に合わせて多くのトランプ支持者が集まったが、抗議の声を上げる人々もいた。人工妊娠中絶や労働組合に対するトランプの姿勢への不満のほか、トランプは大統領在任中にジョンズタウンでの雇用を増やすことができなかったと主張する声も聞かれた。

Factcheck.orgによれば、トランプ政権下でアメリカの雇用者数は270万人減少し、失業率は1.7ポイント増えて6.4%となった。ちなみにトランプの任期は新型コロナウイルスのパンデミックの時期と重なっていた。

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