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未知数ハリスの一発勝負!テレビ討論でトランプを負かし初の女性大統領になれるか

ニューズウィーク日本版 2024年9月10日 17時19分

アンドリュー・スタントン
ハリスの政策と弁舌は批判に耐えるか、トランプはどんな攻撃を用意しているのか、初顔合わせにどんなサプライズがありそうか見どころをガイド

11月の米大統領選挙に向けて、ドナルド・トランプ前大統領とカマラ・ハリス米副大統領が9月10日、激戦州ペンシルバニアのフィラデルフィアでテレビ討論を行う(日本時間9月11日午前10時〜)。前回6月のテレビ討論会ではトランプとジョー・バイデン米大統領が対決したが、その後数カ月でバイデンが選挙戦から撤退しハリスが民主党の大統領候補となるなど、大統領選をめぐる状況は大きく変化している。

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歴史に残る候補者交代劇

世論調査によれば、複数の激戦州でハリスとトランプの支持率は拮抗しており、2人は無党派層やまだ誰に投票するか決めていない有権者の支持を新たに獲得しつつ、自らの支持基盤をさらに強化しなければならない。今回のテレビ討論会では経済や外交政策、中絶問題などの重要課題について激しい議論を交わすことになる見通しだ。

トランプとバイデンが対決した6月のテレビ討論会以降、選挙戦の状況は劇的に変化した。バイデンはこの討論会で言葉に詰まったり話の流れを見失ったりする様子がみられ、高齢不安を指摘する声に拍車がかかった。バイデンでは11月の大統領選に勝てないという声が民主党内でも高まったことで、バイデンは1カ月後に選挙戦からの撤退を発表した。

また約2カ月前の7月13日には、ペンシルベニア州バトラーで開かれた集会でトランプが暗殺未遂に遭うという事件もあった。銃を持った男が集会のさなかに発砲し、その弾丸がトランプの耳をかすめ、観客席にいた男性の命を奪った。

この激動の数カ月を経て行われる今回の討論会について、いくつか知っておくべきことを以下に紹介する。

テレビ討論は米ABCニュースが主催し、米東部時間の午後9時から放送される。地上波ABCニュースで生放送されるほか、ABCニュース・ライブ、ディズニープラスとHuluでストリーミング配信が行われる。ABCのアプリやウェブサイトはスマートフォンやタブレット端末でも視聴が可能。

討論会は2回のCMを挟んで90分間にわたって行われる予定だ。

討論会のルール

ABCニュースは討論会に先立ち、いくつかのルールを発表した。

まず、9月3日に行われたコイントスにより、演壇の配置と討論会後に行われるスピーチの順番が決まった。コイントスで勝利したトランプが、討論会後のスピーチをハリスの後に行うことを選び、ハリスは視聴者から見て右側の演壇を選択したということだ。討論会開始時のスピーチは行われない。

候補者は、備品や事前に書いたメモを持ち込むことは許されていないが、ペンとメモ用紙、ボトル入りの水1本が用意される。討論のテーマは、事前に候補者には知らされていない。

持ち時間は司会からの質問に対する回答がそれぞれ2分、それに対する反論が2分、補足説明のために1分が与えられる。候補者が発言する際には、もう一方の候補者のマイクはミュートされる。

ハリスとトランプは、互いに質問したり、CM中にスタッフと話をしたりすることはできない。また会場に観客は入らない。

見どころ

今回のテレビ討論会は、トランプとハリスにとって初めての直接対決となる。

ウェブサイトで政策提案を公開しているハリスには、自らの立場についてより明確に説明できるかもしれない。討論会に先立つ数週間でハリスは、移民政策から環境問題に至るまでの多くの問題について、中道寄りにシフトしている。「リベラルすぎる」という懸念を和らげることがその狙いだ。

世論調査によれば、有権者は外交政策や経済政策、移民対策や人工妊娠中絶をめぐる問題を最も重視している。

一方のトランプは、討論会でハリスに対する新たな攻撃を展開することが予想されている。ただし一部の保守派は、黒人でアジア系で女性というハリスのアイデンティティーを攻撃するのはやめるようトランプに警告している。トランプは7月に全米黒人ジャーナリスト協会が開いたイベントで、ハリスが「都合よく黒人になった」と発言して批判を浴びている。

必勝のペンシルベニア州

今回の大統領選で最も重要な州はペンシルベニア州かもしれない。ハリスにとってここは決して負けられない州だ。バイデンが選挙戦から撤退してハリスが民主党の大統領候補になったことで、民主党は勢いを盛り返しているものの、共和党のトランプとの激しい競り合いは続いている。

ペンシルベニア州は、民主党と共和党の支持がほぼ二分されている状態だ。2020年の大統領選ではバイデンが1.2ポイントの差で、2016年の大統領選ではトランプが0.7ポイントの差で勝利を果たしている。ペンシルベニアは中西部の「青い壁(ブルーウォール)」と呼ばれ、伝統的に民主党が強い州の一つであり、民主党にとっては大統領選で勝利するために必ず獲得しなければならない州とされている。

ハリスがペンシルベニア州で勝利するためには、フィラデルフィア、ピッツバーグやその周辺地域など、ここ数年「左寄り」の傾向がみられる地域でトランプを大きくリードする必要がある。また共和党支持が増えつつある農村部などではトランプから票を奪う必要もある。

世論調査分析サイト「ファイブサーティーエイト」によれば、ペンシルベニア州でのトランプとハリスの支持率はほぼ互角で、ハリスがわずかに0.9ポイントのリード(ハリス46.6%に対しトランプ45.7%)を維持している。



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