レオニー・ヘルム
<デジタル機器の画面から目が受ける影響は大変なもの。目の健康を日常的に守るポイントを専門家に聞いた>
私たちは、歯や肌、髪といった顔のパーツのケアに多くの時間とお金を費やしている。そのくせ、目が日常的に受けている負担については、それほど深く考えない。
デジタル機器のスクリーンに向き合う時間が急増した今、目はこれまでにないプレッシャーにさらされている。目の健康を保つために、やれることは何でもやるべきだ。
検眼医でアメリカ検眼協会(AOA)の会長を務めるロナルド・ベナーに、目の健康を保つ簡単な方法を聞いた。
「近視、遠視、乱視、老眼などの屈折異常は、視力障害の最も一般的な原因」と、ベナーは言う。
「これらの症状は、コンタクトレンズの不適切な衛生状態(例えばレンズを着けたまま泳いだり、眠
ったりするなど)や、不正確な処方箋で作った眼鏡やコンタクトレンズの着用、デジタル機器の使いすぎ、あるいは適切な保護眼鏡を着用しなかったことによっても起こる」
目の問題の一部は加齢が原因で、大抵は40代半ばくらいから起こる。
「特に本を読んだりデジタル機器を使う際に、近いものがはっきり見えないという問題が出てくる。ほかには、遠くのものが見えにくい、暗い所や夜間に見えにくい、光やまぶしさに過敏になる......などがある」
「20-20-20」が効果あり
加齢による問題だと聞けば、軽く考えてしまうかもしれない。だが、加齢黄斑変性や白内障、緑内障など、より深刻な問題の兆候の可能性もある。
「目の問題は、明らかな兆候や症状がないまま進行することがある。かなり重くなるまで気付かないことも多い。しかし視力を脅かす病気の多くは、早期の診断によって治せたり、進行を遅らせることができる」と、ベナーは言う。
そのため目の健康状態に関係なく、年に1度は定期検診を受けることが大切だ。
コンピューターのない生活は、もう考えにくい。画面を見続けることが目に与える影響はいくつもあるが、最も一般的なのは疲れ目。まばたきをすると、ぼやけていたものがよく見えるような感覚があれば、それは眼精疲労だ。
「目を2〜3秒つぶり、また開けるという、まばたき運動を繰り返すと、スクリーンを見続けることで生じた眼精疲労には効果がある」と、ベナーは言う。
「定期的に休憩を取り、理想的には外を散歩するなど、近くのものを見続けないようにするといい」
ベナーが勧めるのは「20-20-20」のルールだ。
「電子機器やコンピューターを使うときは、20分ごとに20秒の休憩を取り、20フィート(約6メートル)離れたものを見るといい」
ほかにベナーが挙げる賢い目のメンテナンス法は──。
■紫外線から目を守る
冬でも目が日光にさらされる時間が長いほど、白内障や加齢黄斑変性などのリスクが高まる。紫外線を適切にカットするサングラスを選ぶこと。
■定期的に運動をする
運動は血液の循環をよくし、目への酸素供給を増やし、毒素を排出するのに役立つ。
■たばこを吸わない
喫煙は危険な化学物質に目をさらし、加齢黄斑変性や白内障の発症リスクを高める。
■健康的な食事を取る
健康的な食事は、多くの身体機能や能力を維持する上で大切だ。
「栄養が目の健康にどのような影響を与えるかについては、考慮すべきさまざまな要因があり、個人によっても異なる」と、ベナーは言う。
「オーガニックの牧草で育った牛肉には、オメガ3脂肪酸やビタミンB群、アミノ酸、それに鉄やマンガンなどの微量ミネラルが含まれており、目にいい影響を与える。抗酸化作用のあるホウレンソウなどの緑黄色野菜も目にいい」
さらには以下の6つの栄養素が、視力を守り、目の健康促進に役立つことが確認されている。
■ルテインとゼアキサンチン
ルテインとゼアキサンチンが加齢黄斑変性や白内障などの目の病気のリスクを軽減することは、多くの研究が示している。この2つの栄養素が豊富な食品には、ホウレンソウやブロッコリーなどの緑黄色野菜や、トマト、ニンジン、パプリカ、卵黄、マンゴーなど鮮やかな黄色や赤色の食品などがある。
■ビタミンC
果物や野菜に含まれるビタミンCは、白内障の発症リスクを低下させる。他の必須栄養素と組み合わせて摂取すると、加齢黄斑変性や視力低下の進行を遅らせることにもつながる。
■ビタミンE
ナッツ類や栄養強化シリアル、サツマイモなどに含まれる強力な抗酸化物質。健康な組織を破壊する
フリーラジカルと呼ばれる不安定な分子から目の細胞を守ることが研究で分かっている。
■必須脂肪酸
神経系を維持し、細胞に燃料を供給し、免疫系を高める。オメガ3脂肪酸は、適切な視覚発達と網膜
機能にとって重要であることが、研究で明らかになっている。サケやマグロ、ニシン、サバなどの冷水魚にはオメガ3脂肪酸が豊富に含まれており、炎症を抑え、涙の分泌を促進する。
■亜鉛
目の保護色素であるメラニンを生成するために、ビタミンAを肝臓から網膜に運ぶ上で重要な役割を果たす。亜鉛は目に多く存在し、大半が網膜と脈絡膜(網膜の下の血管が豊富な組織)にある。
「これらの栄養素は体内で自然には作られないので、食事に取り入れ、場合によってはサプリメントで補うことが大切」と、ベナーは勧める。
<デジタル機器の画面から目が受ける影響は大変なもの。目の健康を日常的に守るポイントを専門家に聞いた>
私たちは、歯や肌、髪といった顔のパーツのケアに多くの時間とお金を費やしている。そのくせ、目が日常的に受けている負担については、それほど深く考えない。
デジタル機器のスクリーンに向き合う時間が急増した今、目はこれまでにないプレッシャーにさらされている。目の健康を保つために、やれることは何でもやるべきだ。
検眼医でアメリカ検眼協会(AOA)の会長を務めるロナルド・ベナーに、目の健康を保つ簡単な方法を聞いた。
「近視、遠視、乱視、老眼などの屈折異常は、視力障害の最も一般的な原因」と、ベナーは言う。
「これらの症状は、コンタクトレンズの不適切な衛生状態(例えばレンズを着けたまま泳いだり、眠
ったりするなど)や、不正確な処方箋で作った眼鏡やコンタクトレンズの着用、デジタル機器の使いすぎ、あるいは適切な保護眼鏡を着用しなかったことによっても起こる」
目の問題の一部は加齢が原因で、大抵は40代半ばくらいから起こる。
「特に本を読んだりデジタル機器を使う際に、近いものがはっきり見えないという問題が出てくる。ほかには、遠くのものが見えにくい、暗い所や夜間に見えにくい、光やまぶしさに過敏になる......などがある」
「20-20-20」が効果あり
加齢による問題だと聞けば、軽く考えてしまうかもしれない。だが、加齢黄斑変性や白内障、緑内障など、より深刻な問題の兆候の可能性もある。
「目の問題は、明らかな兆候や症状がないまま進行することがある。かなり重くなるまで気付かないことも多い。しかし視力を脅かす病気の多くは、早期の診断によって治せたり、進行を遅らせることができる」と、ベナーは言う。
そのため目の健康状態に関係なく、年に1度は定期検診を受けることが大切だ。
コンピューターのない生活は、もう考えにくい。画面を見続けることが目に与える影響はいくつもあるが、最も一般的なのは疲れ目。まばたきをすると、ぼやけていたものがよく見えるような感覚があれば、それは眼精疲労だ。
「目を2〜3秒つぶり、また開けるという、まばたき運動を繰り返すと、スクリーンを見続けることで生じた眼精疲労には効果がある」と、ベナーは言う。
「定期的に休憩を取り、理想的には外を散歩するなど、近くのものを見続けないようにするといい」
ベナーが勧めるのは「20-20-20」のルールだ。
「電子機器やコンピューターを使うときは、20分ごとに20秒の休憩を取り、20フィート(約6メートル)離れたものを見るといい」
ほかにベナーが挙げる賢い目のメンテナンス法は──。
■紫外線から目を守る
冬でも目が日光にさらされる時間が長いほど、白内障や加齢黄斑変性などのリスクが高まる。紫外線を適切にカットするサングラスを選ぶこと。
■定期的に運動をする
運動は血液の循環をよくし、目への酸素供給を増やし、毒素を排出するのに役立つ。
■たばこを吸わない
喫煙は危険な化学物質に目をさらし、加齢黄斑変性や白内障の発症リスクを高める。
■健康的な食事を取る
健康的な食事は、多くの身体機能や能力を維持する上で大切だ。
「栄養が目の健康にどのような影響を与えるかについては、考慮すべきさまざまな要因があり、個人によっても異なる」と、ベナーは言う。
「オーガニックの牧草で育った牛肉には、オメガ3脂肪酸やビタミンB群、アミノ酸、それに鉄やマンガンなどの微量ミネラルが含まれており、目にいい影響を与える。抗酸化作用のあるホウレンソウなどの緑黄色野菜も目にいい」
さらには以下の6つの栄養素が、視力を守り、目の健康促進に役立つことが確認されている。
■ルテインとゼアキサンチン
ルテインとゼアキサンチンが加齢黄斑変性や白内障などの目の病気のリスクを軽減することは、多くの研究が示している。この2つの栄養素が豊富な食品には、ホウレンソウやブロッコリーなどの緑黄色野菜や、トマト、ニンジン、パプリカ、卵黄、マンゴーなど鮮やかな黄色や赤色の食品などがある。
■ビタミンC
果物や野菜に含まれるビタミンCは、白内障の発症リスクを低下させる。他の必須栄養素と組み合わせて摂取すると、加齢黄斑変性や視力低下の進行を遅らせることにもつながる。
■ビタミンE
ナッツ類や栄養強化シリアル、サツマイモなどに含まれる強力な抗酸化物質。健康な組織を破壊する
フリーラジカルと呼ばれる不安定な分子から目の細胞を守ることが研究で分かっている。
■必須脂肪酸
神経系を維持し、細胞に燃料を供給し、免疫系を高める。オメガ3脂肪酸は、適切な視覚発達と網膜
機能にとって重要であることが、研究で明らかになっている。サケやマグロ、ニシン、サバなどの冷水魚にはオメガ3脂肪酸が豊富に含まれており、炎症を抑え、涙の分泌を促進する。
■亜鉛
目の保護色素であるメラニンを生成するために、ビタミンAを肝臓から網膜に運ぶ上で重要な役割を果たす。亜鉛は目に多く存在し、大半が網膜と脈絡膜(網膜の下の血管が豊富な組織)にある。
「これらの栄養素は体内で自然には作られないので、食事に取り入れ、場合によってはサプリメントで補うことが大切」と、ベナーは勧める。