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逃げ場はゼロ...ロシア軍の演習場を襲うウクライナ「ATACMS」攻撃、無防備な兵士たちを一斉爆撃

ニューズウィーク日本版 2024年10月18日 17時7分

ブレンダン・コール
<ウクライナのテレグラムチャンネルに投稿された動画は、ロシア兵が演習場とみられる広場で一斉に爆撃を受ける瞬間を捉えている>

ウクライナ軍がアメリカから供与された長距離ミサイルでロシア軍の演習場を攻撃した。その様子が現場の映像とともに伝えられている。

【動画】逃げ場はゼロ...ロシア軍の演習場を襲うウクライナ「ATACMS」攻撃、無防備な兵士たちを一斉爆撃

SNSに投稿されたドローン映像は、ウクライナ南部ザポリージャ州の現場で起きた爆発とされる場面を映し出している。同州の一部はロシアに占拠されている。

地上には兵士や軍の装備が見える。そこで爆発が起き、同時多発的に地面から円形の砂塵が噴き上がった。撮影日時は不明で、映像は独自に検証されたものではない。本誌はロシア国防省にメールでコメントを求めている。

映像は「演習場をクラスターATACMSで攻撃して敵兵を殲滅」という言葉とともに、ウクライナのテレグラムチャンネル「Division Tivaz」に投稿された。

ATACMSはロッキード・マーティン社が製造するアメリカ製の陸軍戦術ミサイルで、M142高機動ロケット砲システム(HIMARS=ハイマース)から発射される。射程は約300キロ。ウクライナ軍が使用すれば、はるか後方からロシア軍の前線を攻撃できる。

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は2023年10月、戦場でロシア軍に対して初めてATACMSを使用したことを認めた。作戦は「極めて正確に実行された」と述べ、それ以上の詳細は明らかにしなかった。

5月には、ウクライナ東部のルハンシク州でロシアの兵士数十人をATACMSの標的にしたとするドローン映像が投稿された。

今回公開された映像はXのアカウント「War Translated」にも掲載された。

同アカウントによると、ロシアのテレグラムチャンネル「Military Informer」は「敵がロシアの『ドローン+戦術ミサイルの組み合わせ』に似たシステムを使用している。だが幸いなことに、西側諸国からの不十分なミサイル供給、さらには今も続くロシア領内への攻撃禁止措置が、そうした攻撃の妨げとなっている」とコメントしているという。

Xアカウントの「CJ」は、同じ映像について「アメリカのウクライナ支援はどんな様子なのか。占領されたウクライナの一区画が消し去られた」と投稿。

「ロシアの演習場がATACMSの子弾数百発で攻撃された。飛び散った大量の破片のため、開けた場所にいた無防備な兵士たちに、ほとんどチャンスはなかった」と付け加えた。

軍事アナリストのロブ・リーも「ウクライナのATACMSクラスター弾が演習場にいたロシアの兵士を襲った」と投稿した。

一方、親ウクライナのXアカウント「Special Kherson Cat」は「一部の(実際には多数の)ウクライナのテレグラムチャンネルが、全てのHIMARSクラスター弾攻撃をATACMS攻撃と呼びたがる。M30クラスター弾の存在を忘れて」とアメリカが供与した別の兵器が使われた可能性に言及している。

この投稿に添えられた攻撃の映像4本のうち、ザポリージャで撮影されたとする1本については、M30クラスター弾だった可能性が大きいとの見方を示し、もしATACMSだったとすれば子弾の数はもっと多く、範囲もこれより広かったはずだとしている。

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