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マフィア一家に生まれた私の人生が好転した理由

ニューズウィーク日本版 2024年10月24日 11時27分

ジョン・ジョルダーノ(「JCの回復センター」共同オーナー)
<絶望的な環境から心機一転、断酒を決意して、薬物・アルコール依存に苦しむ人々を救う専門家に>

ニューヨーク・サウスブロンクスの治安が悪い地区で育った私の幼少期は、暴力と薬物・アルコール依存、法律違反に包囲されていた。普通の子供時代とは到底言えない。

マフィア一家で育った私の世界は、犯罪と危険と苦難の連続だった。麻薬の売人兼闇金融業者だった父は、違法行為に深く関わっていた。

その結果、父は私の成長期の数年間を刑務所で過ごすことになった。親が刑務所に入るというのは、どんな子供にとっても悲惨な経験だが、私にとっては幼少期の不安定な生活の一部にすぎなかった。

子供の頃の私は、近所の少年たちの性的虐待に耐えていた。9歳の時にはベビーシッターからも性的虐待を受けた。それに加え、中学3年生で学校を辞め、きちんとした教育を受けられなかった。

大人になってから、再び悲劇が起きた。私自身の結婚式で、叔父が自分を侮辱した仕出し業者を惨殺したのだ。私が育った混沌とした危険な世界を象徴する瞬間だった。私の家族は暴力や犯罪と切っても切れない関係にあった。

希望と回復の生きた見本

このような環境は心に深い傷を残し、私の行動だけでなく人生観にも決定的な影響を与えた。私は何年も内面の葛藤に苦しみ、自己破壊の道を歩み始めた。

私は空手で黒帯の師範となり、全国大会で5回優勝したが、薬物乱用の誘惑から逃れられなかった。私は長い間、過去のトラウマと混乱に対処するために薬物とアルコールに頼り続けた。

多くの人々と同様、私が薬物とアルコールに溺れたのも、感情的苦痛、環境の影響、生い立ちが複雑に絡み合った結果だった。私は幼い頃から暴力や犯罪を目の当たりにしてきたし、家族の歴史を振り返っても、それ以外の生き方はほとんど見つからなかった。

だが私の心の奥には、この逆境に立ち向かう強さがあった。それを理解するまでに何年もかかったが......。

人生の転機は、断酒を決意したことだ。決して簡単ではなかったし、長く険しい道のりだったが、私は自分の人生を好転させると誓い、今日まで40年間断酒を続けている。

この経験は私の人生を変えただけではない。薬物・アルコール依存と闘う人々に手を差し伸べ、治療するという将来の仕事の基礎を築いたのだ。

私はこれまで37年間、薬物・アルコール依存や精神的な問題に苦しむ人々の治療と支援に人生をささげてきた。私の個人的経験は、クライアントが直面する苦悩に対するユニークな観察眼を与えてくれる。同じ苦悩を克服した私の存在は、彼らにとって希望と回復の生きた見本にもなる。

私がわずか300ドルの資金で開設した薬物・アルコール治療センターは、依存症と闘う人々が人生を取り戻すために必要な支援、ケア、指導を受けられる場所になった。

今の私は依存症、メンタルヘルス、代替医療の専門家として知られている。トラウマの専門家としての仕事(特に銃撃戦を経験した退役軍人や警察官の治療)に加え、フロリダ州のノースマイアミ警察の施設付き牧師として苦悩する人々の精神的・感情的サポートも提供している。

回復への道のりは険しいが、それは可能であることを私の経験は示している。どんなに絶望していても、進み続ける勇気さえあれば誰でも人生を変えることができる。



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