藤野英人
<投資に興味を持つ人が増える一方、いつから始めるべきか思い悩んでいる人も多い──そんな中、『「日経平均10万円」時代が来る!』著者の藤野英人氏と元日本経済新聞記者の後藤達也氏は「少額からの挑戦」を勧めている>
総括するには少し気が早いが、2024年が日本の株式市場にとって歴史的な一年となったことは間違いない。
新NISA(少額投資非課税制度)の開始を幕開けに、2月22日には日経平均株価が35年ぶりに史上最高値を更新。3月、17年続いたマイナス金利政策にようやく終止符が打たれ、7月11日の日経平均終値は史上初の4万2000円台をつけた。
これらを機に投資に興味をもつ人が増えた一方、「今から始めても手遅れなのではないか」と心配する声も。これに対し、日本の資産運用会社レオス・キャピタルワークスの最高投資責任者である藤野英人氏は「タイミングを考えるより、少しずつ小さく始めたほうがいい」と助言する。
同社のYouTubeチャンネル「お金のまなびば!」の動画「経済ジャーナリストが投資をはじめる人に伝えたいこととは?【藤野英人×後藤達也】」では、元日本経済新聞記者の後藤達也氏と対談。
後藤氏は2022年からフリージャーナリストとして独立し、経済や投資になじみのない人でも理解しやすい経済情報を発信。著書『転換の時代を生き抜く投資の教科書』(日経BP)は、経済の入門書として好評を博している。
そんな後藤氏が投資未経験者へ伝えたいことも藤野氏と同じく、「まずは少額から始めてみること」。月1000円程度でも積み立てを続けることで、どのくらい損得があるのかなどが肌感覚で分かってくる。そこから色々な方法を模索するのがおすすめだという。
これには藤野氏も「日本人は極端な人が多い」と同意。「切羽詰まった顔で相談に来たかと思えば、『僕は1000万の貯金があるんですけど、全て投資したほうがいいですか』と聞かれる。100%投資する必要は全くない。10%でも15%でも、立派な投資家だ」と続ける。
最初から大きな額を投資することは「素振りもキャッチボールもしたことがないのにいきなり草野球の試合に出場するようなもの」と後藤氏。「それまで全く投資をしたことがない人が退職金を全額投資信託に回してしまうことはあまり好ましくない。時間をかけて練習することが大事だ」と話す。
初心者が少額積立投資を始めるメリットとは?
レオス・キャピタルワークスの最高投資責任者、藤野英人氏(「お金のまなびば!」より)
両者によると、少額からでも積立投資を始めるメリットは主に3つ。株価が暴落して資産が半分になったとしても小さな損失で済むこと、社会や世界を見る目が変わること、株価が下落したときに安くたくさん買えることだ。
後藤氏の元には、「経済を勉強するのが楽しくなってきた」という声が多数届くという。後藤氏は、投資を呼び水に得られる学びについてこう話す。
「経済はリアルタイムで見られる予測不能かつ壮大なドラマ。エンターテインメントとして楽しめると同時に、それ自体が教養となって自分自身の仕事や生活にも生きる。お金が増えるだけでなく、企業や国際情勢に関するインプットがどんどん広がっていく」
上記の3つめのメリットは「ドルコスト平均法」という考え方に基づくものだ。常に一定金額を、定期的に購入することで、価格が低いときには購入量が多く、価格が高いときには購入量が少なくなり、平均購入単価を抑えることが期待できる。
「積み立てで"おいしい"のは株価が下がっていくとき。ドルコスト平均法は投資の武器の中でもトップクラスに有効性の高いものだ」と藤野氏も太鼓判を押す。
最後に、これから投資を始める人に向けて、後藤氏は次のようなアドバイスを送る。
「重い気持ちにならずに、ライトに始めてほしい。1~2年経つと、自然と面白いことに気づくと思うから。日本人はポジティブな面を見て前向きに考えるより、批判的に物事を見る傾向がある。粗を探せばいくらでも見つかるが、そこからイノベーションは生まれない。もっと前を向いて明るく過ごすと、人生も楽しくなるかもしれない」
デフレからインフレへの転換、AIの進歩、働き方の多様化と、社会の変化は目まぐるしい。これからの時代において求められるのは、失敗するかもしれないけれど前向きにリスクを取り、チャレンジする姿勢。それを教えてくれる手段の1つが投資なのかもしれない。
構成・酒井理恵
●YouTubeチャンネル「お金のまなびば!」
経済ジャーナリストが投資をはじめる人に伝えたいこととは?【藤野英人×後藤達也】
<投資に興味を持つ人が増える一方、いつから始めるべきか思い悩んでいる人も多い──そんな中、『「日経平均10万円」時代が来る!』著者の藤野英人氏と元日本経済新聞記者の後藤達也氏は「少額からの挑戦」を勧めている>
総括するには少し気が早いが、2024年が日本の株式市場にとって歴史的な一年となったことは間違いない。
新NISA(少額投資非課税制度)の開始を幕開けに、2月22日には日経平均株価が35年ぶりに史上最高値を更新。3月、17年続いたマイナス金利政策にようやく終止符が打たれ、7月11日の日経平均終値は史上初の4万2000円台をつけた。
これらを機に投資に興味をもつ人が増えた一方、「今から始めても手遅れなのではないか」と心配する声も。これに対し、日本の資産運用会社レオス・キャピタルワークスの最高投資責任者である藤野英人氏は「タイミングを考えるより、少しずつ小さく始めたほうがいい」と助言する。
同社のYouTubeチャンネル「お金のまなびば!」の動画「経済ジャーナリストが投資をはじめる人に伝えたいこととは?【藤野英人×後藤達也】」では、元日本経済新聞記者の後藤達也氏と対談。
後藤氏は2022年からフリージャーナリストとして独立し、経済や投資になじみのない人でも理解しやすい経済情報を発信。著書『転換の時代を生き抜く投資の教科書』(日経BP)は、経済の入門書として好評を博している。
そんな後藤氏が投資未経験者へ伝えたいことも藤野氏と同じく、「まずは少額から始めてみること」。月1000円程度でも積み立てを続けることで、どのくらい損得があるのかなどが肌感覚で分かってくる。そこから色々な方法を模索するのがおすすめだという。
これには藤野氏も「日本人は極端な人が多い」と同意。「切羽詰まった顔で相談に来たかと思えば、『僕は1000万の貯金があるんですけど、全て投資したほうがいいですか』と聞かれる。100%投資する必要は全くない。10%でも15%でも、立派な投資家だ」と続ける。
最初から大きな額を投資することは「素振りもキャッチボールもしたことがないのにいきなり草野球の試合に出場するようなもの」と後藤氏。「それまで全く投資をしたことがない人が退職金を全額投資信託に回してしまうことはあまり好ましくない。時間をかけて練習することが大事だ」と話す。
初心者が少額積立投資を始めるメリットとは?
レオス・キャピタルワークスの最高投資責任者、藤野英人氏(「お金のまなびば!」より)
両者によると、少額からでも積立投資を始めるメリットは主に3つ。株価が暴落して資産が半分になったとしても小さな損失で済むこと、社会や世界を見る目が変わること、株価が下落したときに安くたくさん買えることだ。
後藤氏の元には、「経済を勉強するのが楽しくなってきた」という声が多数届くという。後藤氏は、投資を呼び水に得られる学びについてこう話す。
「経済はリアルタイムで見られる予測不能かつ壮大なドラマ。エンターテインメントとして楽しめると同時に、それ自体が教養となって自分自身の仕事や生活にも生きる。お金が増えるだけでなく、企業や国際情勢に関するインプットがどんどん広がっていく」
上記の3つめのメリットは「ドルコスト平均法」という考え方に基づくものだ。常に一定金額を、定期的に購入することで、価格が低いときには購入量が多く、価格が高いときには購入量が少なくなり、平均購入単価を抑えることが期待できる。
「積み立てで"おいしい"のは株価が下がっていくとき。ドルコスト平均法は投資の武器の中でもトップクラスに有効性の高いものだ」と藤野氏も太鼓判を押す。
最後に、これから投資を始める人に向けて、後藤氏は次のようなアドバイスを送る。
「重い気持ちにならずに、ライトに始めてほしい。1~2年経つと、自然と面白いことに気づくと思うから。日本人はポジティブな面を見て前向きに考えるより、批判的に物事を見る傾向がある。粗を探せばいくらでも見つかるが、そこからイノベーションは生まれない。もっと前を向いて明るく過ごすと、人生も楽しくなるかもしれない」
デフレからインフレへの転換、AIの進歩、働き方の多様化と、社会の変化は目まぐるしい。これからの時代において求められるのは、失敗するかもしれないけれど前向きにリスクを取り、チャレンジする姿勢。それを教えてくれる手段の1つが投資なのかもしれない。
構成・酒井理恵
●YouTubeチャンネル「お金のまなびば!」
経済ジャーナリストが投資をはじめる人に伝えたいこととは?【藤野英人×後藤達也】