藤野英人
<「投資は危険」というイメージも...レオス・キャピタルワークス藤野英人氏と元日本経済新聞記者の後藤達也氏が指摘する「投資初心者が陥りがちな沼」>
投資初心者が陥りがちな「沼」が、短期の価格変動に一喜一憂すること。株価急落に冷静さを失って資産運用を中断したり、損失を出した結果「怖い、危険」というイメージだけが残ったりしてしまうことも......。
こうしたよく起こりがちな投資への誤解について、日本の資産運用会社レオス・キャピタルワークスのYouTubeチャンネル「お金のまなびば!」の動画「経済ジャーナリストが投資をはじめる人に伝えたいこととは?【藤野英人×後藤達也】」で、同社の最高投資責任者である藤野英人氏と、元日本経済新聞記者の後藤達也氏が対談した。
第1回はこちら:「1000万円持っている人が来て...」後藤達也と藤野英人が投資をはじめる人に伝えたいこと
アプローチの方法は違えども、根底にある思想は共通するという後藤氏と藤野氏。両者にとって、単なる「お金儲けの手段」ではない、「投資という考え方」をどう広げるかは大きな課題であり目標だ。
では、投資とはそもそも何か。
後藤氏は「決して騙し合いではなく、ハッピーな繋がりをつくること」と分析する。顧客が投資することで企業に資金が集まり、設備投資や研究開発に役立てられる。企業が成長すれば株価が上がり、株主はそこで得た利益を次の投資に回す。こうして経済に良いサイクルが生まれていく。
「デフレからインフレの時代に突入し、賃金が上昇したり働き方に対する価値観が変化したりしている。今、投資を始めることは時代にすごくマッチするような気がしている」と後藤氏は言う。
同氏によると、「投資は危険、お金儲けは卑しいもの」というイメージが植え付けられたのは金融業者の責任も少なからずあるという。
「2010年頃まで日経平均株価は右肩下がりだった。その影響で、詐欺ではないがリスクの高い商品に高額な手数料を上乗せして販売していた業者も存在し、リーマンショックにより厳しい状況に追い込まれた個人投資家が少なくなかった」(後藤氏)。
だが、2012年から日経平均はほぼ右肩上がり、業者もクリーンになったという。「投資が危ないというイメージは20~30代の間では払拭されていると思う」と後藤は推察する。
値動きをチェックする頻度は週1回程度で十分
元日本経済新聞記者のフリージャーナリスト、後藤達也氏(「お金のまなびば!」より)
個人が投資信託などをすることは一般的になり、今はスマホ1つで簡単に値動きをチェックできるようになった。ただし手軽になった分、日々の変動に一喜一憂してしまう人は少なくない。
これに対し、後藤氏は「どういう稼ぎ方をしたいかにもよるが、基本的には長い時間をかけて老後の生活資金を確保するための資産形成が主な目的だと思う。だったら、半年や1年のスパンでの変動は全く気にしないほうがいい。時間と心の無駄遣いだから」とバッサリ。
価格変動に気を取られ過ぎて、仕事や家庭、趣味に時間を割けなくなったら元も子もないからだ。
では、どのくらいの頻度で価格変動をチェックするのが望ましいのか。後藤氏は「週1回くらいで十分。私も自分の資産がどうなっているかを見るのは週1回あるかないか」とアドバイスする。
これに対して藤野氏も、「僕もひふみ投信(レオス・キャピタルワークスが運用・販売する投資信託)の自身の資産状況は月1回も見ていないかもしれない」と同意した。
藤野氏は、個人が投資を始めるとき「小さく」「ゆっくり」「長く」続けることを推奨している。
「手に汗をかいてしまう時点ですでにリスクを取りすぎ。人によって手に汗をかく金額は違うので、自分の気持ちと対話することが大事。投資で一番大変なのは日々変動することなので、まずはその状況に慣れることが大事だ」と話す。
そもそも個人投資家が短期で儲けることは非常に難しい。何兆円もの資産や高度なコンピューターを投じているプロのプレーヤーが世界中にごまんといるからだ。しかし、これはあくまで短期に限った話。30年後の株価を予測することは大規模ファンドであっても簡単ではないからだ。
後藤氏は「長期投資ではプロと個人の間にあまり優劣がなく、むしろ個人投資家に分があるかもしれない。プロは何かあると嫌でも売らざるを得なかったり、短期でパフォーマンスを出さなければならなかったりと、制約も多いから。長期なら勝てる可能性が高いことを意識しておけば、『この1か月で損してしまった』と動揺する必要もなくなるはずだ」と指摘する。
リスクを低減させ、より高い運用成績を目指すならば長期的な視点で資産運用を行うこと。初心者でも、知識やお金が不足していても、個人投資家は時間を味方につけることができる。
構成・酒井理恵
●YouTubeチャンネル「お金のまなびば!」
経済ジャーナリストが投資をはじめる人に伝えたいこととは?【藤野英人×後藤達也】
<「投資は危険」というイメージも...レオス・キャピタルワークス藤野英人氏と元日本経済新聞記者の後藤達也氏が指摘する「投資初心者が陥りがちな沼」>
投資初心者が陥りがちな「沼」が、短期の価格変動に一喜一憂すること。株価急落に冷静さを失って資産運用を中断したり、損失を出した結果「怖い、危険」というイメージだけが残ったりしてしまうことも......。
こうしたよく起こりがちな投資への誤解について、日本の資産運用会社レオス・キャピタルワークスのYouTubeチャンネル「お金のまなびば!」の動画「経済ジャーナリストが投資をはじめる人に伝えたいこととは?【藤野英人×後藤達也】」で、同社の最高投資責任者である藤野英人氏と、元日本経済新聞記者の後藤達也氏が対談した。
第1回はこちら:「1000万円持っている人が来て...」後藤達也と藤野英人が投資をはじめる人に伝えたいこと
アプローチの方法は違えども、根底にある思想は共通するという後藤氏と藤野氏。両者にとって、単なる「お金儲けの手段」ではない、「投資という考え方」をどう広げるかは大きな課題であり目標だ。
では、投資とはそもそも何か。
後藤氏は「決して騙し合いではなく、ハッピーな繋がりをつくること」と分析する。顧客が投資することで企業に資金が集まり、設備投資や研究開発に役立てられる。企業が成長すれば株価が上がり、株主はそこで得た利益を次の投資に回す。こうして経済に良いサイクルが生まれていく。
「デフレからインフレの時代に突入し、賃金が上昇したり働き方に対する価値観が変化したりしている。今、投資を始めることは時代にすごくマッチするような気がしている」と後藤氏は言う。
同氏によると、「投資は危険、お金儲けは卑しいもの」というイメージが植え付けられたのは金融業者の責任も少なからずあるという。
「2010年頃まで日経平均株価は右肩下がりだった。その影響で、詐欺ではないがリスクの高い商品に高額な手数料を上乗せして販売していた業者も存在し、リーマンショックにより厳しい状況に追い込まれた個人投資家が少なくなかった」(後藤氏)。
だが、2012年から日経平均はほぼ右肩上がり、業者もクリーンになったという。「投資が危ないというイメージは20~30代の間では払拭されていると思う」と後藤は推察する。
値動きをチェックする頻度は週1回程度で十分
元日本経済新聞記者のフリージャーナリスト、後藤達也氏(「お金のまなびば!」より)
個人が投資信託などをすることは一般的になり、今はスマホ1つで簡単に値動きをチェックできるようになった。ただし手軽になった分、日々の変動に一喜一憂してしまう人は少なくない。
これに対し、後藤氏は「どういう稼ぎ方をしたいかにもよるが、基本的には長い時間をかけて老後の生活資金を確保するための資産形成が主な目的だと思う。だったら、半年や1年のスパンでの変動は全く気にしないほうがいい。時間と心の無駄遣いだから」とバッサリ。
価格変動に気を取られ過ぎて、仕事や家庭、趣味に時間を割けなくなったら元も子もないからだ。
では、どのくらいの頻度で価格変動をチェックするのが望ましいのか。後藤氏は「週1回くらいで十分。私も自分の資産がどうなっているかを見るのは週1回あるかないか」とアドバイスする。
これに対して藤野氏も、「僕もひふみ投信(レオス・キャピタルワークスが運用・販売する投資信託)の自身の資産状況は月1回も見ていないかもしれない」と同意した。
藤野氏は、個人が投資を始めるとき「小さく」「ゆっくり」「長く」続けることを推奨している。
「手に汗をかいてしまう時点ですでにリスクを取りすぎ。人によって手に汗をかく金額は違うので、自分の気持ちと対話することが大事。投資で一番大変なのは日々変動することなので、まずはその状況に慣れることが大事だ」と話す。
そもそも個人投資家が短期で儲けることは非常に難しい。何兆円もの資産や高度なコンピューターを投じているプロのプレーヤーが世界中にごまんといるからだ。しかし、これはあくまで短期に限った話。30年後の株価を予測することは大規模ファンドであっても簡単ではないからだ。
後藤氏は「長期投資ではプロと個人の間にあまり優劣がなく、むしろ個人投資家に分があるかもしれない。プロは何かあると嫌でも売らざるを得なかったり、短期でパフォーマンスを出さなければならなかったりと、制約も多いから。長期なら勝てる可能性が高いことを意識しておけば、『この1か月で損してしまった』と動揺する必要もなくなるはずだ」と指摘する。
リスクを低減させ、より高い運用成績を目指すならば長期的な視点で資産運用を行うこと。初心者でも、知識やお金が不足していても、個人投資家は時間を味方につけることができる。
構成・酒井理恵
●YouTubeチャンネル「お金のまなびば!」
経済ジャーナリストが投資をはじめる人に伝えたいこととは?【藤野英人×後藤達也】