スザンヌ・ブレーク
<「いまは第3次大戦の序盤戦だ」と、JPモルガンのジェームズ・ダイモンCEOは警鐘を鳴らす。「アメリカが適切な軍事介入を行わなければ、大変なことになる」>
米金融大手JPモルガン・チェース銀行のトップが第3次世界大戦は既に始まっていると警鐘を鳴らした。
これについて本誌が話を聞いた専門家は、パニックになるのは時期尚早と断りつつ、無視できない警告との認識を示した。
JPモルガンのジェームズ・ダイモンCEOは先日、国際金融協会で行ったスピーチで、ウクライナと中東で今起きている紛争は、第3次世界大戦の序盤戦と位置付けられると述べた。
ダイモンは以前にロシア、北朝鮮、イランを「悪の枢軸」と呼び、中国ともどもNATOなど西側の同盟や組織の破壊を企んでいると論じたことがある。
「彼らは今まさにそれを実行すべく示し合わせている」と、ダイモンは今回のスピーチで述べた。「歴史が示すように、そうなれば世界は桁外れのリスクにさらされる」
問題は、進行中の紛争が他地域に飛び火するかどうかではなく、いつ飛び火するかだ、というのだ。
「第3次世界大戦は既に始まっている。その証拠に、複数の国家が関与する地上戦が既に展開されているではないか」
アメリカが事態を甘く見て介入を避けていれば、敵の思う壺になると、ダイモンは警告する。
「成り行きに任せれば事態はどんどん悪化する。適切な介入により、事態を打開する必要がある」
時間がたつにつれて、脅威が縮小する可能性も否定できないが、現状のまま推移すれば、人類は考えるだに恐ろしい状況に直面することになると、ダイモンは言う。
「問題は、事態が悪化した場合に人類が直面するリスクだ。私たちが予測するシナリオは、みなさんを驚愕させるだろう。口にするのがはばかられるような展開だ」
ダイモンが真っ先に挙げる懸念材料は、ロシアの核の脅威だ。
「1人の男が核を脅しに使う状況を、人類はいまだかつて経験したことがない。『おまえらが優勢になったら、こっちは核を使う覚悟ができている』──そう言われて、震え上がらない人はいないはずだ」
多くの国が核を保有するようになったことは「人類が直面する最大のリスク」だと、ダイモンは言う。
「(人類が直面する問題は)気候変動ではない。核拡散だ。今後2年ほど、われわれは(軍事的な)目標の設定と達成に極めて慎重でなければならない」
核を保有する国が増えれば、核使用の確率が高まり、地球上の多くの都市が壊滅的打撃を受けるリスクが高まると、ダイモンは指摘する。
「世界の主要都市が狙われるのは、時間の問題となる。そのリスクを明確に認識し、他の事柄を全て後回しにしてでも、今すぐこの脅威を止めなければならない」
オハイオ州立大学の政治学者ポール・ベックは、ダイモンの警告が傾聴に値することを認めつつ、第3次世界大戦が不可避であるとは考えていないと言う。
旧ソ連が崩壊し、冷戦が終わった1991年以降、しばらくの間アメリカとロシアは比較的平穏な関係を保っていたが、いまその潮目は変わったとみていいと、ベックは本誌に話した。「ロシアのウクライナ侵攻や米選挙に対するロシアの干渉で、今は米ロの対立が過熱している状況だ」
「さらにイランとの『冷戦』も継続中で、イスラエルの動きにより、それが熱い戦争に発展する恐れもある。一方で台湾に対する中国の脅威もあり、それらを見渡せば、確かに第3次世界大戦の始まりとも解釈できる状況だ。しかし、そこまでは行っていないと私はみている」
米大統領選の共和党候補ドナルド・トランプ前大統領は10月初め、イランがイスラエルに過去最大規模の約200発の弾道ミサイル攻撃を行ったという報道を受けて、ウィスコンシン州ワウナキーで行った選挙集会で「世界的な大惨事はすぐそこまで迫っている」と支持者に警告した。
「私はかなり前から第3次世界大戦について語ってきた。予言はしたくない。予言は必ず実現するからだ」と断った上で、トランプは、目前に迫った世界的な大惨事を止められるのは自分だけだと豪語した。
<「いまは第3次大戦の序盤戦だ」と、JPモルガンのジェームズ・ダイモンCEOは警鐘を鳴らす。「アメリカが適切な軍事介入を行わなければ、大変なことになる」>
米金融大手JPモルガン・チェース銀行のトップが第3次世界大戦は既に始まっていると警鐘を鳴らした。
これについて本誌が話を聞いた専門家は、パニックになるのは時期尚早と断りつつ、無視できない警告との認識を示した。
JPモルガンのジェームズ・ダイモンCEOは先日、国際金融協会で行ったスピーチで、ウクライナと中東で今起きている紛争は、第3次世界大戦の序盤戦と位置付けられると述べた。
ダイモンは以前にロシア、北朝鮮、イランを「悪の枢軸」と呼び、中国ともどもNATOなど西側の同盟や組織の破壊を企んでいると論じたことがある。
「彼らは今まさにそれを実行すべく示し合わせている」と、ダイモンは今回のスピーチで述べた。「歴史が示すように、そうなれば世界は桁外れのリスクにさらされる」
問題は、進行中の紛争が他地域に飛び火するかどうかではなく、いつ飛び火するかだ、というのだ。
「第3次世界大戦は既に始まっている。その証拠に、複数の国家が関与する地上戦が既に展開されているではないか」
アメリカが事態を甘く見て介入を避けていれば、敵の思う壺になると、ダイモンは警告する。
「成り行きに任せれば事態はどんどん悪化する。適切な介入により、事態を打開する必要がある」
時間がたつにつれて、脅威が縮小する可能性も否定できないが、現状のまま推移すれば、人類は考えるだに恐ろしい状況に直面することになると、ダイモンは言う。
「問題は、事態が悪化した場合に人類が直面するリスクだ。私たちが予測するシナリオは、みなさんを驚愕させるだろう。口にするのがはばかられるような展開だ」
ダイモンが真っ先に挙げる懸念材料は、ロシアの核の脅威だ。
「1人の男が核を脅しに使う状況を、人類はいまだかつて経験したことがない。『おまえらが優勢になったら、こっちは核を使う覚悟ができている』──そう言われて、震え上がらない人はいないはずだ」
多くの国が核を保有するようになったことは「人類が直面する最大のリスク」だと、ダイモンは言う。
「(人類が直面する問題は)気候変動ではない。核拡散だ。今後2年ほど、われわれは(軍事的な)目標の設定と達成に極めて慎重でなければならない」
核を保有する国が増えれば、核使用の確率が高まり、地球上の多くの都市が壊滅的打撃を受けるリスクが高まると、ダイモンは指摘する。
「世界の主要都市が狙われるのは、時間の問題となる。そのリスクを明確に認識し、他の事柄を全て後回しにしてでも、今すぐこの脅威を止めなければならない」
オハイオ州立大学の政治学者ポール・ベックは、ダイモンの警告が傾聴に値することを認めつつ、第3次世界大戦が不可避であるとは考えていないと言う。
旧ソ連が崩壊し、冷戦が終わった1991年以降、しばらくの間アメリカとロシアは比較的平穏な関係を保っていたが、いまその潮目は変わったとみていいと、ベックは本誌に話した。「ロシアのウクライナ侵攻や米選挙に対するロシアの干渉で、今は米ロの対立が過熱している状況だ」
「さらにイランとの『冷戦』も継続中で、イスラエルの動きにより、それが熱い戦争に発展する恐れもある。一方で台湾に対する中国の脅威もあり、それらを見渡せば、確かに第3次世界大戦の始まりとも解釈できる状況だ。しかし、そこまでは行っていないと私はみている」
米大統領選の共和党候補ドナルド・トランプ前大統領は10月初め、イランがイスラエルに過去最大規模の約200発の弾道ミサイル攻撃を行ったという報道を受けて、ウィスコンシン州ワウナキーで行った選挙集会で「世界的な大惨事はすぐそこまで迫っている」と支持者に警告した。
「私はかなり前から第3次世界大戦について語ってきた。予言はしたくない。予言は必ず実現するからだ」と断った上で、トランプは、目前に迫った世界的な大惨事を止められるのは自分だけだと豪語した。