マヤ・マララ
<アメリカを脱出したい理由について、「政治的な二極化」を挙げる専門家も。世界の移民の行き先としての人気も落ちている>
ギャラップが実施した新しい世論調査によると、アメリカを脱出して海外へ移住したいと考えるアメリカ人の数が過去最高に達した。
ギャラップが世界の人々に聞いた調査をみると、自国からの移住を希望する回答者は、10年前に比べて大幅に増加している。2023年には、世界の成人の16%が、海外への移住を希望している。これは2011〜2018年にかけての記録を上回っている。
アメリカはカナダと同じグループに分類されているが、2011年には10%だった海外への移住希望者の割合が2023年には18%に上昇した。
2023年に海外への移住希望者が過半数を超えたのはアフリカの貧しいサハラ以南の地域だった。逆に最も少ないのは東アジアだ。
調査は、142の国と地域で14万6000人の成人を対象に行われた。
南米やカリブ海諸国、東南アジアなどでは移住希望者が減少したか、あるいは横ばいになっている。一方、アメリカ人の移住希望者は過去12年間、着実に増加している。
アメリカとカナダは、移民たちの目的地の1位と2位であるにもかかわらず、その国民の多くは、国外への移住を希望しているのだ。2023年にはアメリカ人の17%が移住を希望していたが、2024年にはその割合は21%に上昇した。
ギャラップのワールドニュース担当編集長を務めるジュリー・レイは本誌に寄せた声明の中で次のように述べている。「人々の移住願望に関するギャラップの最新調査結果は、意図というより、むしろ希望を反映している。それは、何億という人々が、さまざまな理由から、自国以外の国に惹かれる、あるいは自国から出ていきたいと感じているわけだ」
「そして、世界中のほとんどの場所で、この願望は消えていない。アメリカやカナダのような移民受け入れ国のなかでは記録的なレベルだ。もちろん、カナダ人やアメリカ人の20%が、明日にでも荷物をまとめて国を出ようとしているというわけではないが、彼らが国を出たがっているという事実は注目に値する」
アメリカの人気は、アメリカ人だけでなく移民の間でも落ちている。世論調査によると、2017年以降、移民の間で将来住みたい国としてのアメリカの人気が低下している。
2007〜2009年にかけて行われた移民調査では、回答者の24%、つまり全世界の成人1億6500万人が、135か国の中で「永住したい移住先として最も望ましい国」としてアメリカを挙げていた。
現在も移民にとって最も人気ある国のひとつだが、2023年にはその人気は18%にまで落ち込んだ。
最近行われた別の調査でも、アメリカを去りたいという願望が、アメリカ人の間で何十年も上昇し続けていることを示している。2024年3月に発表されたモンマス大学のレポートによると、アメリカから脱出したいと願うアメリカ人の数は、1974年と比べて3倍になっており、アメリカ人の34%が「できることなら他の国に定住したい」と答えたとしている。
このレポートはまた、アメリカからの移住を望む人の割合は、1950年には5%にまで落ち込んでいたが、1970年代から1990年代までは9%〜13%の間で推移していたと述べている。
ギャラップの世論調査について、アメリカの超党派シンクタンク、移民政策研究所のコミュニケーション・ディレクター、ミシェル・ミッテルシュタットに話を聞いた。
ミッテルシュタットは、「移住願望を表明することと、実際に移住することの間には、常に大きな溝がある」と強調した。
「移住は、人生において人が下しうる最も大きな決断のひとつだ。その決断からは、愛する人との別れ、転職や転居、新しい社会への適応、そして、多くの場合は言葉の問題など、数え切れないほどの変化が生まれる」とミッテルシュタットは言う。
「この種の世論調査では、調査を行う対象国によっては、移住を希望したり、移住の意向を示したりする人がかなりの割合を占めることがあり、それは驚くことではない。現実には、国際的な移民は、世界人口の4%にも満たない」
だが同意にこれらの世論調査は「自国内における人々の満足感を示すバロメーターのようなもの」であり、「アメリカを離れたいと言う人が増えているのは、政治的ニ極化が強まり、この国が間違った方向に進んでいることを感じているからだろう」と付け加えた。
「アメリカは、世界一の移民受け入れ国だが、国民がよそへ移住した数では26位だ」とミッテルシュタットは言う。「対してイギリスは、海外に移住した国民の数で13位になっている」
(翻訳:ガリレオ)
<アメリカを脱出したい理由について、「政治的な二極化」を挙げる専門家も。世界の移民の行き先としての人気も落ちている>
ギャラップが実施した新しい世論調査によると、アメリカを脱出して海外へ移住したいと考えるアメリカ人の数が過去最高に達した。
ギャラップが世界の人々に聞いた調査をみると、自国からの移住を希望する回答者は、10年前に比べて大幅に増加している。2023年には、世界の成人の16%が、海外への移住を希望している。これは2011〜2018年にかけての記録を上回っている。
アメリカはカナダと同じグループに分類されているが、2011年には10%だった海外への移住希望者の割合が2023年には18%に上昇した。
2023年に海外への移住希望者が過半数を超えたのはアフリカの貧しいサハラ以南の地域だった。逆に最も少ないのは東アジアだ。
調査は、142の国と地域で14万6000人の成人を対象に行われた。
南米やカリブ海諸国、東南アジアなどでは移住希望者が減少したか、あるいは横ばいになっている。一方、アメリカ人の移住希望者は過去12年間、着実に増加している。
アメリカとカナダは、移民たちの目的地の1位と2位であるにもかかわらず、その国民の多くは、国外への移住を希望しているのだ。2023年にはアメリカ人の17%が移住を希望していたが、2024年にはその割合は21%に上昇した。
ギャラップのワールドニュース担当編集長を務めるジュリー・レイは本誌に寄せた声明の中で次のように述べている。「人々の移住願望に関するギャラップの最新調査結果は、意図というより、むしろ希望を反映している。それは、何億という人々が、さまざまな理由から、自国以外の国に惹かれる、あるいは自国から出ていきたいと感じているわけだ」
「そして、世界中のほとんどの場所で、この願望は消えていない。アメリカやカナダのような移民受け入れ国のなかでは記録的なレベルだ。もちろん、カナダ人やアメリカ人の20%が、明日にでも荷物をまとめて国を出ようとしているというわけではないが、彼らが国を出たがっているという事実は注目に値する」
アメリカの人気は、アメリカ人だけでなく移民の間でも落ちている。世論調査によると、2017年以降、移民の間で将来住みたい国としてのアメリカの人気が低下している。
2007〜2009年にかけて行われた移民調査では、回答者の24%、つまり全世界の成人1億6500万人が、135か国の中で「永住したい移住先として最も望ましい国」としてアメリカを挙げていた。
現在も移民にとって最も人気ある国のひとつだが、2023年にはその人気は18%にまで落ち込んだ。
最近行われた別の調査でも、アメリカを去りたいという願望が、アメリカ人の間で何十年も上昇し続けていることを示している。2024年3月に発表されたモンマス大学のレポートによると、アメリカから脱出したいと願うアメリカ人の数は、1974年と比べて3倍になっており、アメリカ人の34%が「できることなら他の国に定住したい」と答えたとしている。
このレポートはまた、アメリカからの移住を望む人の割合は、1950年には5%にまで落ち込んでいたが、1970年代から1990年代までは9%〜13%の間で推移していたと述べている。
ギャラップの世論調査について、アメリカの超党派シンクタンク、移民政策研究所のコミュニケーション・ディレクター、ミシェル・ミッテルシュタットに話を聞いた。
ミッテルシュタットは、「移住願望を表明することと、実際に移住することの間には、常に大きな溝がある」と強調した。
「移住は、人生において人が下しうる最も大きな決断のひとつだ。その決断からは、愛する人との別れ、転職や転居、新しい社会への適応、そして、多くの場合は言葉の問題など、数え切れないほどの変化が生まれる」とミッテルシュタットは言う。
「この種の世論調査では、調査を行う対象国によっては、移住を希望したり、移住の意向を示したりする人がかなりの割合を占めることがあり、それは驚くことではない。現実には、国際的な移民は、世界人口の4%にも満たない」
だが同意にこれらの世論調査は「自国内における人々の満足感を示すバロメーターのようなもの」であり、「アメリカを離れたいと言う人が増えているのは、政治的ニ極化が強まり、この国が間違った方向に進んでいることを感じているからだろう」と付け加えた。
「アメリカは、世界一の移民受け入れ国だが、国民がよそへ移住した数では26位だ」とミッテルシュタットは言う。「対してイギリスは、海外に移住した国民の数で13位になっている」
(翻訳:ガリレオ)