ブレンダン・コール、ジョン・フェン
<ロシア軍は、ウクライナ軍越境攻撃の目標の一つだった東部戦線から兵を割くこともなく5万の兵力をそろえて占領地を奪還する構え>
ロシア西部クルスク州で戦闘を続けるウクライナ軍が、ロシア軍による激しい攻勢に直面しているようだ。
ウクライナは8月にクルスク州への越境攻撃を開始。ロシア軍は初動こそ遅れて進軍を許したが、現在は5万の兵力を国境地帯に結集させて大規模な攻勢に備えていると、米ニューヨーク・タイムズ紙が11月10日に報じた。
アメリカとウクライナの当局者(いずれも匿名)は同紙に対し、5万人の中には北朝鮮兵も含まれていると明かしている。
同紙によれば米政府は新たな戦況分析の中で、ロシアは激戦地であるウクライナ東部から兵を割くこともなく国境地帯に新たな部隊を結集させており、ドネツクやトレツク、チャシブヤールやクピャンスクなどの複数の戦線で同時に戦闘を展開することができる状態にあると結論づけた。
ニューヨーク・タイムズはウクライナ当局者の発言を引用する形で、ロシアは北朝鮮の兵士たちに機関銃や狙撃銃、対戦車ミサイルや携行式ロケット弾を支給し、さらに砲撃や基本的な歩兵戦術、塹壕制圧などの訓練を行っていると報じた。
このことは、北朝鮮兵の一部がウクライナ軍の地下防衛拠点への正面攻撃に参加する可能性があることを示している。
北朝鮮兵の投入はロシアとウクライナの紛争に不確実性をもたらしているが、彼らの能力には疑問符がついている。
ウクライナ軍の元兵士で地政学アナリストのビクトル・コバレンコは本誌に対して「北朝鮮の兵士がもたらす脅威を過大評価しない方がいい」と述べている。
「これまでに入っている情報によれば、北朝鮮の兵士は訓練や装備が不十分で、ロシア軍にはそれを補う装備や武器もない」と彼は指摘する。
「また北朝鮮の兵士たちはロシア語が分からず、言語の壁と文化の壁のためロシアの兵士たちと効果的に連携することができていない」
コバレンコはさらに「投入される北朝鮮兵の数は数十万の規模には達しておらず、集中攻撃でウクライナ軍の防衛線を突破できる可能性は低い」とつけ加えた。
「それに北朝鮮のこの世代は戦争を経験したことがない。彼らがパニックに陥って逃げ出す可能性は高い」
米シンクタンク「戦争研究所」は、クルスク州のウクライナ軍占領地域ではウクライナ軍とロシア軍の双方が成果を挙げていると報告。
ウクライナ軍は8月6日に越境攻撃を行ってから急速に進軍を遂げたが、ロシア軍がウクライナ軍の拠点にミサイル攻撃や砲撃を行って領土の奪還を進めているもようだとしている。
戦争研究所は10日に公表した最新の戦況分析の中で、ロシア軍がクルスク州コレネヴォ近郊の集落ノボイワノフカの南に進軍した一方で、ウクライナ軍はノボイワノフカの北に進軍したことを示す位置情報つきの映像を引用した。
同研究所はまた、ロシア軍はウクライナ軍が越境攻撃の開始後すぐに占領したスジャの北に進軍したとも報告した。一方、ロシア国防省は、ウクライナ軍がコレネヴォの南東と東部で反転攻勢を開始したと述べた。
ウクライナ軍のある旅団は、ロシア軍が装甲兵員輸送車、歩兵戦闘車や戦車を使って攻勢を強化していると報告した。この地域ではロシア黒海艦隊の第810海軍歩兵旅団や南部軍管区の部隊が作戦を展開しているという。
【マップ】クルスクのウクライナ占領地(青線)
【マップ】主戦場のウクライナ東部戦線(赤線)と
北に外れた小さなクルスク占領地(青線)
<ロシア軍は、ウクライナ軍越境攻撃の目標の一つだった東部戦線から兵を割くこともなく5万の兵力をそろえて占領地を奪還する構え>
ロシア西部クルスク州で戦闘を続けるウクライナ軍が、ロシア軍による激しい攻勢に直面しているようだ。
ウクライナは8月にクルスク州への越境攻撃を開始。ロシア軍は初動こそ遅れて進軍を許したが、現在は5万の兵力を国境地帯に結集させて大規模な攻勢に備えていると、米ニューヨーク・タイムズ紙が11月10日に報じた。
アメリカとウクライナの当局者(いずれも匿名)は同紙に対し、5万人の中には北朝鮮兵も含まれていると明かしている。
同紙によれば米政府は新たな戦況分析の中で、ロシアは激戦地であるウクライナ東部から兵を割くこともなく国境地帯に新たな部隊を結集させており、ドネツクやトレツク、チャシブヤールやクピャンスクなどの複数の戦線で同時に戦闘を展開することができる状態にあると結論づけた。
ニューヨーク・タイムズはウクライナ当局者の発言を引用する形で、ロシアは北朝鮮の兵士たちに機関銃や狙撃銃、対戦車ミサイルや携行式ロケット弾を支給し、さらに砲撃や基本的な歩兵戦術、塹壕制圧などの訓練を行っていると報じた。
このことは、北朝鮮兵の一部がウクライナ軍の地下防衛拠点への正面攻撃に参加する可能性があることを示している。
北朝鮮兵の投入はロシアとウクライナの紛争に不確実性をもたらしているが、彼らの能力には疑問符がついている。
ウクライナ軍の元兵士で地政学アナリストのビクトル・コバレンコは本誌に対して「北朝鮮の兵士がもたらす脅威を過大評価しない方がいい」と述べている。
「これまでに入っている情報によれば、北朝鮮の兵士は訓練や装備が不十分で、ロシア軍にはそれを補う装備や武器もない」と彼は指摘する。
「また北朝鮮の兵士たちはロシア語が分からず、言語の壁と文化の壁のためロシアの兵士たちと効果的に連携することができていない」
コバレンコはさらに「投入される北朝鮮兵の数は数十万の規模には達しておらず、集中攻撃でウクライナ軍の防衛線を突破できる可能性は低い」とつけ加えた。
「それに北朝鮮のこの世代は戦争を経験したことがない。彼らがパニックに陥って逃げ出す可能性は高い」
米シンクタンク「戦争研究所」は、クルスク州のウクライナ軍占領地域ではウクライナ軍とロシア軍の双方が成果を挙げていると報告。
ウクライナ軍は8月6日に越境攻撃を行ってから急速に進軍を遂げたが、ロシア軍がウクライナ軍の拠点にミサイル攻撃や砲撃を行って領土の奪還を進めているもようだとしている。
戦争研究所は10日に公表した最新の戦況分析の中で、ロシア軍がクルスク州コレネヴォ近郊の集落ノボイワノフカの南に進軍した一方で、ウクライナ軍はノボイワノフカの北に進軍したことを示す位置情報つきの映像を引用した。
同研究所はまた、ロシア軍はウクライナ軍が越境攻撃の開始後すぐに占領したスジャの北に進軍したとも報告した。一方、ロシア国防省は、ウクライナ軍がコレネヴォの南東と東部で反転攻勢を開始したと述べた。
ウクライナ軍のある旅団は、ロシア軍が装甲兵員輸送車、歩兵戦闘車や戦車を使って攻勢を強化していると報告した。この地域ではロシア黒海艦隊の第810海軍歩兵旅団や南部軍管区の部隊が作戦を展開しているという。
【マップ】クルスクのウクライナ占領地(青線)
【マップ】主戦場のウクライナ東部戦線(赤線)と
北に外れた小さなクルスク占領地(青線)